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ヤンキー魔法少女!  作者: 雨夕美
5/10

第5話  戦闘!? 頑張れニーターくん!



 秘密結社サイアークの首領ドンであるサイアークさんは、次に都合の良い日を私たちに聞いてきた。その日にまたもや同じ公園で撮影許可を出すという。そうして迎えた本日は晴れ。絶好のお散歩日和と言える。


「気持ちいいね」

「気持ちいいエロ」


 前回来た時は不安もあったが、一度来た場所という安心感と、彼らニーターくんが思っていたよりも優しさに満ちあふれていたので、安堵した私。


(でもあの服装はないよね…… はぁ……)


 男性がホットパンツを履いているだけでも違和感があるのに、上半身が裸なのだ。年頃の娘としては大変に気になってしまう。


(それにあのサスペンダーとハイソックス……)


 上履きやマスクに至るまで全身が白。色だけで見れば正義の使者のようにも感じるが、いかんせん格好が格好なだけにそうは思えなかった。


「着いたね」

「いくエロ」

「うん」


(今日は変身するのかなぁ?)


「待っていたぞ!」

「たぶんバイト代が入って飯がちゃんと喰えたエロ」

「くっ」

「お身体は大丈夫ですか?」

「心配をかけたな。もう大丈夫だ」

「もしかしてフルローンの支払いなんとかなったエロか?」

「あぁ。ファミレスで契約したことが幸いして、クーリングオフ出来た」

「よかったですね」

「ありがとう魔法少女よ」

「ふふっ」

「ははっ」

「なに和んでるエロ!? こいつはエロを留置場に導いた極悪人エロよっ!?」

「でもそれってエロちゃんが持ってた、有害指定図書がいけなかったんだよね?」

「そうだ。逆恨みも程々にな」

「エローーーっ!?」


(ニーターさん達の姿が見えないけど、また公衆便所で待機させられているのかな?)


「もう謝っても許さないエロ」

「謝って許してくれるとも思えないがな」

「……」

「……」

「平行線のようエロ」

「平行線もなにも触れ合い存在だ……私たちはな」

「なら奇襲万歳だエロで、変身ヤンキー魔法少女エロっ!」

「なっ!? 卑怯だぞっ!?」

「……」

「……」

「……」

「……ちょっと待ってエロ」

「……あぁ。こっちも公衆便所まで、ここからだと離れてるから呼んでくる」

「分かったエロ」

「行ってくる」


 エロちゃんは何か呟きだして小さい魔方陣をいくつか展開する。その光景に見とれていると、サイアークさんとニーターさんがこちらに向かって歩いてくる。


「待たせたな」

「いえ」

「……もうちょっと待ってエロ」

「……」

「……」


(緊張感がないのは良いことだよね?)


「(やっぱり見間違いじゃない…… 知り合いだ…… はぁ……)」

「(えっ!? もしかして付き合ってるっすかっ!?)」

「(オデェ!?)」

「(……)」

「(それはない。ただ、嘘をついているんだ)」

「(嘘っすか?)」

「(オデェ?)」

「(……っ)」

「(大丈夫か?)」

「(す、すいません。だ、大丈夫です。が、頑張ります)」

「(みんないるから安心っすよ?)」

「(オデェ!)」


(まだ一人の方は元気なさそうだけど、大丈夫なのかな?)


「お前達! 準備はいいか!?」

「「「「 ニー!!!! 」」」」

「前から順番にコードネームを授ける! シンシ! チョリ! バグ! オデ!」

「「「「 ニー!!!! 」」」」


「(俺はシンシか…… ふふっ 社会派紳士としては最高のネーミングだな)」

「(チョリ-ッス! チョリっす!)」

「(ぼ、僕、無視されてたから…… そ、それで…… バグにして、も、もらったんだ…… ハハッ)」

「(オデェ…… オデ?)」


 秘密結社サイアークの戦闘員ニーターさん達を眺めていると、エロちゃんからお呼びがかかった。


「待たせたエロね」

「うん」

「ふっ どこからでもかかってくるがいい」

「いくエロ! 変身! ヤンキー魔法少女エロ!」

「うん!」

「……」

「……」

「……何も起こらないけど?」

「……こないだはエロ、初回限定版で魔法使いまくって変身させたエロ。だから今回からちゃんとした手順を踏むエロ」

「……うん」


 するとエロちゃんは先ほどのように何かを高速で呟き、小さい魔方陣を手のひらに展開する。その小さい手のひらに浮かび上がってきたのは、お父さんの会社で見たことがあるタイムレコーダーだった。それとタイムカードが一枚。そこには藤堂麗華と名前が記載されていた。


「この魔法タイムレコーダーに、このタイムカードを入れるエロ」

「……うん」


 言われるがままに、タイムカードをタイムレコーダーの上から差し入れた瞬間、私の身体が光に包まれていく。


(すごい! 光が私を支配してっ!?)


 気がつくとこないだの特攻服マトイを着ている。胸の部分はサラシである。なんだかとても恥ずかしい。


「そこで叫ぶエロっ!?」

「や、ヤンキー魔法少女! 見参っ!?」

「おー エロ (パチパチ)」

「……」

「(……)」

「(……)」

「(……バタッ)」

「(……バタッ)」


(えっ!? 二人がもう倒れちゃった!?)


「ま、魔法少女よ…… あ、ありがとう…… い、いや…… ありがとうございます!」

「え?」

「(なぁ…… あの娘さぁ…… 中学二年生なんだけど…… まだ……)」

「(そんなもんすよ! 個体差があるっすよ!)」

「(は、はだか…… ふ、婦女子の…… は、はだか……)

「(オデェ…… もう死んでも…… オデェ…… 女神様オデェ……)」

「え?」

「なにしてるエロか!? 今がチャンスだエロ!」

「で、でも……なんで二人倒れちゃったの? そ、それに、サイアークさんがありがとうございますって……」

「気がつかなかったエロか?」

「……うん」

「変身する時に一時的に全裸になってたエロ」

「えっ!? いやぁーーー!?」

「駄目エロっ!? 気合いを入れ続けてエロっ!?」

「いやぁーーー!?」


 私は恥ずかしさの余り、公衆便所にダッシュし引きこもった。


(なんで? なんで私がこんな目に…… うぅ……)


 するとエロちゃんが私に声を掛ける。


「麗華ちゃんエロ」

「……」

「大丈夫エロ。あいつらを倒した暁には、記憶すらも吹き飛ばしてあげるエロ」

「……ホント?」

「本当エロ。それくらい任せるエロ」

「……絶対?」

「絶対エロ。エロは魔法の国で最高の魔法士エロだエロ!」

「……うん」

「理解してくれて嬉しいエロ。麗華ちゃんエロ? 今はものすごい魔力がエロから流れ出てしまっているエロ。だから気合いを入れてくれないと困ってしまうエロ」

「……うん。分かった。記憶を抹消させる為に本気になる」

「お願いエロ」


(でも…… みんなの前に出るの恥ずかしい…… 全部…… 見られちゃったんだよね…… うぅ……)


「わ、私は何も見ていないぞっ!? ヤンキー魔法少女よっ!?」

「ありがとうございますって言いましたよね?」

「うっ……(バタッ)」

「「「「 ひっ!? 」」」」


 秘密結社サイアークの首領ドンであるサイアークさんの鳩尾みぞおちに一発綺麗なのを入れた。私はヤンキー魔法少女として絶大な力を持っている。そしてそれは世界平和の為に使うのではない。彼らの記憶を抹消する為にあるのだ。


「並んで下さい?」


「「「「 いやぁーーー!? 」」」」

「うっ……(バタッ)」

「「「 いやぁーーー!? 」」」

「うっ……(バタッ)」

「「 いやぁーーー!? 」」

「うっ……(バタッ)」

「 いやぁーーー!? 」

「うっ……(バタッ)」


「エロちゃん?」

「ひっ!? エロっ!?」

「出来るよね?」

「で、出来るエロっ!? ま、ちょ、待って!?」

「早くね?」

「サー!」


 タイムレコーダーとタイムカードを出した時のように、魔方陣を展開する。今回は指先にだ。その展開された魔方陣を脳へ直接入れ込むようにしている。


「お、終わったエロ」

「終わった?」

「終わったエロ! 本当エロ!」

「終わってないよね?」

「終わったエロ! 本当エロ!」

「まだ終わってないじゃない? ね?」

「え、エロ?」

「エロちゃん? 見たよね?」

「エローーーっ!? 嫌ぁエロっ!? こんな魔法式の魔方陣を脳内にブチ込みたくないエロっ!?」

「じゃあ……物理的に忘れさせてあげるね?」

「え、エロ? うっ……(バタッ)」


 そうして秘密結社サイアークとの今回の戦いは、幕を引くことになるのであった。





★ 次回  最悪!? 悪の幹部だゲハラドさん! 前編  ★






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