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005 仲間が育った

 アルビノの森犬の子犬、シロという仲間を得た俺だが、困った事がある。

 シロが可愛すぎて困るって訳じゃない。

 まあ、可愛いのは確かだけど。それで困るわけじゃないし。

 ちなみにシロは雌犬だ。どうりで可愛いわけである。

 

 困り事っていうのはシロが、俺に常に付いて来たがることである。

 俺の今までのLVアップのための狩の仕方は、奇襲が基本。

 正々堂々と不意打ちするのを信条にしているのだ。

 なのに付いてくるシロ。

 柔らかそうな肉を持つ子犬。

 この魔の森の中で狙われない理由がないのである。

 俺みたいに、擬装スキルがあるわけじゃないし。


 その結果、狙われまくるシロ。

 幸いながら、俺がレベルを見れないような強そうなのがいなくて助かったけど。

 肉食兎なんて、既に敵では無い。

 返り討ちにして、シロと俺の夕食を増やすことができた。


 そういえば、最近は、俺もシロを見習って肉を食うようになったのだ。

 新鮮な内臓って旨い。

 近くで岩塩も見つけたので、塩味で食べている。

 後は、火を扱えられるようになればバーベキューができるのだが。

 左腕しかない身としては、大変なのである。

 棒を擦りあわせて摩擦熱を起こすのって、両手があることが前提のやりかたなんだよなあ。

 火熾し弓とか作ろうにも、片手だけしかない我が身では無理。

 山火事でも起きりゃ、火種を手に入れられるのに。

 落雷で火がつくって話も聞いたことがあるような無いような。


 まあ、それはともかく。

 

 困った事というか、問題というか。

 俺って、正面から戦うのに必要なスキルを取っていないのだ。

 基本的に、奇襲からの絞殺か首折りがメイン。

 腕があるんだから、武器が使えないかなあと思ったりもしたんだけどね。

 木の枝に尖った石を取り付けたりしてさ。

 挑戦はしたんだけど、はっきりいって無理。

 槍もどきを作っても、持ち運べない。木に引っ掛かって邪魔になる。

 あれって、ちゃんと手足のある人間じゃないと扱えない。

 それに、武器って体重が無いと自分が振り回されるんだ。

 腕一本だけしかな俺が持てる武器なんて、たかが知れているのだ。

 ナイフとかあればいいんだけど。

 小型のものなら使えそう。

 でも、そんなものは無い。

 

 ということで、困ったときはスキルに頼る!

 攻撃魔法みたいなのが希望なんだけど、そんなものは見当たらない。


 武器として使えそうなのが、能動スキルの”鋭い爪”と”平たい爪”。

 きっと、こいつらは爪を武器とすることができるスキルに違いない。

 

 鋭い爪は予想がついている。きっと猛禽類の爪の様な、突き刺し、切り裂くための武器になるのだろう。


 問題は、もう一つの平たい爪。

 これって何だろうか。烏賊の目と同じくらい気になっているのだ。


 暫く悩みながら、シロを撫でていると思いついた。

 所詮スキルポイント1しか使わないのだから、両方とればいいやと。

 

 受動スキルのスキルポイント1で取得できるものは全て取っているのだ。

 能動スキルで同じことをしてもいいだろう。

 

 うん、思いついたって自慢できるほどの結果じゃないよね。


 俺は早速、鋭い爪を取得することにしたのだ。

 これで残りのスキルポイントは0になる。

 誰だ、1ポイントは常に残しとくって言ってた奴は。

 

 ちょっと怖いけど、ここはシロの為だ。

 護衛と自衛。

 両方やらなきゃいけないのが、主の辛いところだな。



 『個人名称:ユンデ 種族名称:不明キモい

 レベル 15 HP194/194 MP38/38

 状態:正常

 固有能力:疑似感覚、疑似生命、簡易鑑定、剛力、固着

 残スキルポイント:0

 [受動スキル]

 自動回復(小)、柔軟、気配感知、頑強、伸縮、鷹の目

 [能動スキル]

 身体強化、擬装、回復、回復(他)、鋭い爪』

 

 『取得可能受動スキル

 必要スキルポイント2

  気配探知、強靭、烏賊の目


 必要スキルポイント4

  変形、自動回復(中)』


『取得可能能動スキル

 必要スキルポイント1

  平たい爪

   

 必要スキルポイント2

  身体操作、擬態、鎌の爪

  

 必要スキルポイント4

  回復(複)』

 

 早速使ってみた。

 予想通り、爪が厚く鋭く変化する。

 MPは6減った。あまり大して消費しないみたいだ。

 試しに近くの木を引っ掻いてみると、深く抉れた傷をつけることができた。

 突き刺してみると、爪全体が埋まるほど突き立つ。

 これは、剛力のお蔭もあるんだろうけど。

 これに身体強化を組み合わせれば、更に威力が上がりそうである。

 

 さらに試してみる。

 身体強化を発動させた上で、伸縮を利用して腕を伸ばして木に一撃。

 普段は掴みにかかるけれど、今回は爪付の貫手となる。

 

 …木の幹半ばまで、指がめり込んだ。

 

 そのまま指を握ると、木の幹が抉りとれた。

 あまり大きな木じゃなかったけど、あと一撃を加えたら折れそうだ。

 

 すげえ、こいつは使える!


 そこに、のこのこと狐があらわれた。


『森狐 LV12』


 シロって本当にいい囮になるな。

 

 でも、いいテスト相手じゃないか。運がいい。

 俺の爪の最初の餌食となれ。


 そして、いきなり失敗した。

 

 攻撃を掛けた瞬間、鋭い爪の効果時間が切れた。

 擬装と同じで一時間くらい効果があると思いこんでいたよ!

 

 え、何これ。只、無防備に相手に飛び掛かっただけ?

 このスキル、3分ちょっとしか効果が無いのか。

 

 やばい、咬まれる。

 

 襲いかかってくる狐。

 躱しきれそうにない、一撃は甘受するしかないかと覚悟を決める。

 その狐の態勢が乱れた。なんだ?

 

 シロが狐に体当たりしていた。

 お、更に噛みついている。いいぞ、もっとやれ。


 でも、効果は少ないようだ。

 だが、それで十分。


「シロ、よくやった!」


 再び鋭い爪を発動させる。念の為に身体強化も。

 そして、そのまま狐に伸縮してからの貫手。

 俺の爪はあっさりと、狐の腹を貫通したのだった。

 それも派手に。

 撒き散らし過ぎだね。

 すぐに、周囲の気配が変化するのを感じる。

 血の臭いに引かれた魔物たちが寄ってくる気配だ。

 

 ヤバい。

  

「シロ、逃げるぞ」

「うぉん」


 とりあえず、隠れ家に戻る俺達だった。

 まだまだ俺は弱い。複数を相手どるのは厳しいのだ。



「さっきは助かったよ。シロ」


 褒めるとシロは嬉しそうに尻尾をぱたぱた振って、体を摺り寄せてくる。

 うん、可愛い。

 しかも可愛いだけじゃない。さっきも、俺のミスをフォローしてくれたのだ。

 立派な相棒である。

 そういや、従魔になっていたっけ

 ちょっと、確認してみる。


 『個人名称:シロ  種族名称:森犬(変異種)

 レベル 4  HP31/31 MP4/4

 状態:正常

 特性:従魔

 残スキルポイント(付与分):1

 [付与スキル] 無』


 お、レベルアップしているじゃないか!

 ファンファーレとか鳴らないから、気づかなかったよ。

 シロも戦っていたんだから、レベルが上がって当然だな。

 

 そういや、スキルを与えることができるって説明があったな。

 さて、どうしよう?


 しばらく考えたけど、シロのMPの少なさからすると能動スキルは使え無さそうだ。

 そうなると、俺の受動スキルの中から選ぶしかないのか。

 といっても、悩むことは無いか。

 まずは生き残れることが優先だし。


 そして、俺は受動スキルの頑強をシロの為に選んだのだった。

 これでシロのHPは+50されて81に。

 なんか、毛並が更に良くなった気がする。これも頑強の効果なんだろうか?

 ふわふわ度が向上して、モフモフ感が更にすばらしくなった。


 とりあえず俺は、シロの撫で心地を楽しむのであった。

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