003 成長しました
自己ステータス内容修正しました。
見直してみたら、見づらいのと矛盾しているところがあったので。
きちんとエクセルで管理できるようにしておかねば…
さて、翌日。
木のうろを見つけて、そこに隠れて眠りつつ考えていたことがある。
現状については、文句を言いたいことも多いが、いまさら言ってもしょうがない。
受け入れるしかないのだ。
だが、たとえ個人の記憶が無いとしても、このまま魔の森の怪生物として一生を過ごすつもりは無い。
この世界ではゲームみたいに比較的簡単に成長できるようなのである。
ここは、ローロルーラを殴るという目標を達成するために努力すべきであろう。
なにしろ、他にすることもないし。
いや、実際。娯楽など全くない。
生きるのに必死になればいらないって説もあるけど、退屈は心を殺すんだよ。
ならば、このゲームみたいな世界そのものを楽しむしかないじゃないか。
現実はくそゲーだと言うけど、異世界でなら面白いかもしれない。
男なら己の腕一つだけで成り上がるんだ!
まあ、俺は物理的に腕一つしかないけどな!!
とはいっても、慢心などしない。セーブポイントなんて無いだろうし。
安全第一。
なんせ簡易鑑定スキルで、周囲の動物というか魔物らしきものを観察しても、半分以上はこう表示される。
『四手熊 LV???』
『大角鹿(凶化) LV???』
『角縞蛇 LV???』
LVが見えないってことは、きっとLV差が大きすぎるってことだよね。
幸いながら、こいつらはオレのような小動物を相手にしないようだ。
何しろ体の大きさが違うからなあ。腹の足しにならないのだと思う。
大体100倍以上?
ちなみに、さきほどの三種の主食は猪っぽい獣らしい。
その餌役のレベルも見れないけど!
俺みたいな小さい生き物は、うっかり前を通りかからなきゃ狙われないようだ。
探し出してまで狩る対象ではないのだろう。よかった。
ここで悔しがれるようなバトルジャンキーでは無い。
怪獣戦争には参加せずに、俺に出来る範囲で頑張るのだ。
ということで頑張ってみました。
一日の成果としては大したものだと思う。
『個人名称:ユンデ 種族名称:不明
レベル 5 HP64/64 MP18/18
状態:正常
固有能力:疑似感覚、疑似生命、簡易鑑定、剛力
残スキルポイント:2
[受動スキル]
自動回復(微)、柔軟
[能動スキル]
身体強化』
『取得可能受動スキル
必要スキルポイント1
気配感知
頑強
鷹の目
必要スキルポイント2
自動回復(小)
伸縮』
『取得可能能動スキル
必要スキルポイント1
擬装
鋭い爪
平たい爪
回復
必要スキルポイント2
身体操作』
新しく取得したのは、受動スキルの柔軟と、能動スキルの身体強化。
様子見がてら、外れがないようなものを取得してみた。
なにせ、取得するまでスキルの詳細説明がでないのでスキル名称から選ぶしかないし。
身体強化は定番だと思ったので獲ってみた。
能動スキルは、使用するときにMPを消費するようだ。
その分、効果は目覚ましいものがあるに違いない。
ちなみに身体強化を発動させるとMPが6ほど減って、3分間程力が強くなった。
肉食兎相手だと、そのまま首の骨を握り潰せるくらいに。
使い込んでいくと、効果時間とか伸びるのかな?
ローロルーラのフザケタ説明には、そのあたりのことは何も書かれていない。
本気で攻略WIKIが見たい。
受動スキルは、取得と同時に効果が常に発揮されるようだ。
柔軟を選んだのには理由がある。
やばかったんだ。
誰だ、強い連中は俺を狙わないって言った奴は。
角のついたでかい蛇に樹上で追われて、木のうろに逃げ込んだんだけど、内部が狭い上に曲がっていて、奥まで入ることができなかったので、慌てて取得したのだった。
そのおかげで、奥にまで入ることができて、隠れることに成功。
通りすがりのおやつになることは避けられた。
このスキル、関節の可動範囲が広がるのは予想していたけど、まさか関節の無い骨の部分まで曲がるようになるとは思わなかった。
これで、俺は今までの指の力を利用した動き意外に、蛇のように腕全体をくねらせて動くことができるようになったのだ。
…更に、人間らしさが無くなった気がするけど。
翌日、俺は新たな獲物を狙うことにした。
肉食兎だと物足りない。やっぱり、LVが上がるにつれて強い相手を選ばないと成長しずらいのは、こういう時のお約束だと思うし。
とはいっても、堂々と森の中を進んで、襲いかかってくる相手を倒す!なんて、ことはしない。
先手必勝、奇襲上等。
正々堂々戦うなんて馬鹿のすることだ。
というか、この森のなかでのヒエラルキーでは最下位に近い俺が、そんなことをしたらあっという間に死んでしまうだろうし。
こそこそと動き、獲物を見つけて素早く仕留める。
リスクを出来るだけ減らすのが、正解だと思う。
柔軟のお蔭で、木の上でもするすると動けるようになっているのが非常に助かる。
そして獲物発見。
『森狐(弱) LV8』
狐のようだ。肉食兎よりLVが高い。
体のサイズも大きいな。
(弱)って表示が気になるけど。(強)ってのもいるのか?
そういや、(凶化)って表示のでていた鹿もいたし。
よく判らん。
周囲を確認する。なんせ、この世はバトルロイヤルなのである。
仕留めている間を狙われてはたまらない。
そして、樹上から奇襲。
狐の上に落ちると、素早く首に巻きつく。
指で掴むには首が太すぎるので、腕全体で巻きついたところで、身体強化を発動。
一気に締め上げると、悲鳴を上げる間もなく狐が倒れた。
窒息死させる前に首が折れたようだな。
牙も爪も鋭い物をもっているけど、奇襲でしとめてしまえば問題ないのである。
この調子で、どんどんLVを上げていこう。
余っているスキルポイントでスキルの取得もしたい。
でも、何か問題が起きた時のために、溜めておいた方がいいのだろうか。
詳しい内容が判らないから、どうしても取得に躊躇ってしまうのだ。
俺って貧乏性なのかもしれない。
それに、もし死んだ時にさ
「スキルポイントがあれば生き返れたのに、残念だったね」
なんて、どや顔のローロルーラが出てきそうで・・・
根拠は無いけど、あいつならやりかねない。
…1ポイントは常に残しておくことにしようっと。
ということで、1ポイントは余分に使えるので、受動スキルの気配感知を取ってみた。
取った瞬間に感じたものは眩暈。
そして、囲の様子が変わる。
いや、周囲を認識する感覚の方が変わったのだろう。
何気なく耳にする音や振動が、明確な意味を持って感じられていく。
周囲に生息する生物の気配を感じるとは、こういう事なのか。
そして、判ったことが。
俺ってもしかして、今まで運が良かっただけ?
慎重に行動してきたお蔭で、危険を避けてきたつもりだったけど。
気配感知で感じる。俺を獲物として狙っている視線。
それも複数。
ひょっとしたら、変な生物相手なので警戒して襲ってこなかった魔物とか動物とか一杯いたんだろうか。
とりあえず、こそこそと身を隠す俺だった。
落ち着く。
気付かなければ幸せってのはこういう事だったのかもしれない。
周囲の気配が、視線が怖い。
…あれ、俺ってもしかして人間だった時引き籠りしてたわけじゃないよね?
そして、引き籠った俺が、気配感知に慣れるまでに半日は必要だったのである。
この森にきてから2週間程が経過した。
正確に日付を数えていたわけじゃないけどね。
気配感知に慣れてからは、より一層慎重に狩を重ねてLVアップをはかったのだ。
慣れれば気配感知まじ便利。
獲物のいる場所を、あっという間に特定できるし、俺を狙う相手に感ずくことができる。
これなしで森の中を彷徨ってたなんて、今思うと自殺行為だった。
そして、今の俺の状態は
『個人名称:ユンデ 種族名称:不明
レベル 10 HP154/154 MP28/28
状態:正常
固有能力:疑似感覚、疑似生命、簡易鑑定、剛力、固着
残スキルポイント:1
[受動スキル]
自動回復(微)、柔軟、気配感知、頑強、伸縮
[能動スキル]
身体強化、擬装、回復』
『取得可能受動スキル
必要スキルポイント1
鷹の目
必要スキルポイント2
自動回復(小)
気配探知
強靭
必要スキルポイント4
変形』
『取得可能能動スキル
必要スキルポイント1
鋭い爪
平たい爪
必要スキルポイント2
身体操作
擬態
回復(他)』
スキルとかいろいろ増やした。
LV10になったら、固有能力で固着ってのがでてきた。
『固着:引っ付くよ』
説明はもの凄くいい加減。
なんじゃこりゃあて感じだ。
まあ、ローロルーラだしな…
実際試してみると効果は単純だった。肩の部分でいろいろな所に引っ付くことができるのだ。
説明通りだった。
たとえば、垂直な木の幹とか、枝の下でも大丈夫。
まるで生えたかのように、しっかりと引っ付くことができる。
木の幹に生えた腕。
ホラーだね。
受動スキルの頑強は、防御能力が向上するのかなあと思ったら、HPが+50しただけだった。いま一つ面白くない。
柔軟の上位スキルだった伸縮は面白い。
腕が伸びる。指も伸びる。
大体、体長の3倍くらいに伸びる。ますます怪奇生物化しているのが悲しいけど。
そして、能動スキルの擬装。
これは、体の色が変わる。保護色みたいに変化させることができる。
発動させるのにMPを10ほど使うけど、効果時間は長い。
一時間以上もつのだ。
そして、回復。
文字通り、MPを使用して自分のHPを回復できる。MP4消費でHPは30ぐらい回復した。
これの上位スキルに回復(他)があるから、自分以外は回復できなそうだ。
狩の方法は、相変わらず奇襲オンリー。
増えたスキルを有効活用している。
まずは獲物を発見すると、固着で木の枝にぶらさがった状態になる。
そして、艤装で木の枝の色になるように色を変える。
その状態で、待ち伏せをして下を通りかかった瞬間、伸縮で体を伸ばして首を捉えるのだ。
失敗したら、即座に縮んで木の上に退避。
このやりかたで、結構上のLVの相手も倒せるようになった。
あっさり倒せるんで、つい調子にのったら、四手熊に殺されそうになった。
普通の熊と思い込んで、ろくに簡易鑑定しなかったのが間違いだったんだけど。
熊パンチ一発が掠っただけで、HPが残り10くらいになって死にかけた。
木に登れないようなので助かったけど、熊パンチが直撃していたら間違いなく死んでいただろう。
油断大敵。
俺にはローロルーラを殴るという目標があるのだ。
こんな所で躓くわけにはいかない。
俺は登り始めたばかりなのだ、このLVアップ坂をよお。
未完!
じゃないです。続きます。