妖精とともに伝説を
あらすじにも書きましたが、プロローグしか出来てません。
ここからつながるように書いていこうと思うのでよろしくお願いします。
とある森。魔素が薄く、探索者の標的である人の世の脅威となる魔物も資源となる魔物も生息しておらず、かといって狩人が踏み込むにはあまりにも深い、そんな人にとって立ち入る意味のない森の一角に一人の妖精が暮らしていた。
そもそも一般的に妖精とは10cmから20cm程度の大きさで、かろうじて喜怒哀楽の感情を持つ小妖精、自我を持ち他者と言語によるコミュニケーションをも可能とする人と変わらぬ知恵をもつ大妖精、そして妖精の王国を作り出し妖精を守護する王妖精の三種類によって形成される種族であり特にフェアリー以上は人の形をとるものが多い。妖精は世界に漂うマナから偶然に生まれる存在であり、その存在は非常に不安定で脆弱なものであった。それ故に妖精は生まれたとしても世界の中でその存在を保てず、すぐにまたマナへと還ってしまう。そんな妖精たちが暮らしていける世界、それが妖精の王国である。極めて稀に誕生する大きな力を持って生まれるクイーンによって作られる世界の中の異世界、世界中に数ヶ所存在すると言われているその中で、妖精たちは暮らしている。その生態ゆえに、人の世では妖精や妖精の王国はお伽話の中の存在のように語られているのであった。
では、なぜこの妖精は、妖精の王国でもないこの森の一角にたった一人暮らしているのだろうか。それはある種、奇跡のようなものであった。
世界を廻るマナの流れの末端の淀みによって途方もなく長い年月をかけてこの森に生まれた魔素溜まり。もともとマナが薄いせいでマナを持つ魔物は生息しておらず、濃いマナというものに慣れていない動物たちは森ですでに異質な場所になっていたそこには警戒して近づかなかった。そんなマナプールから生まれたのが彼女、クイーンになり得たかもしれない妖精である。しかし、不幸にも彼女の力は妖精の王国を作りだすほどの強くはなく、そして、彼女にとって幸か不幸か、彼女の存在は世界というものに耐え切れずマナへと霧散してしまうほど脆弱でもなかった。
その結果、彼女は一人ぼっちになってしまった。マナプールは彼女の誕生により枯渇し、スピリットを生み出すのでさえ長き時間を必要としたし、仮に誕生したとしてもすぐにマナへと霧散してしまうだろう。彼女は世界中を廻っていたマナの集合体であり、そこに残されていた記憶から自分というものを何となく理解していた。自分が孤独であるということをわかっていながら、恐れから自分の生まれた森から離れることができず、ただ森を彷徨うだけの日々を送っていた。
そんな変わらぬ毎日だったが、ある日、彼女は森の地面に妙な球体がめり込んでいることに気がついた。身長16cm程度の彼女の腰くらいの高さでほのかに熱をもつその球体は大きな魔力を秘めており、魔力生命体である彼女にとって心地いいものであった。彼女は地面に座り込み、その球体に背を預けて微睡みだした。母親に抱かれているようなやすらぎは孤独に耐えてきた彼女の心をほぐし、彼女は無意識に自分の願いを口にしていた。
「友だち、ほしいなぁ……」
彼女がそう口にした途端、球体が大きく光り轟音とともにはじけ飛んだ。
「ふっぎゃぁあああああああああ!」
微睡みの中から突然の衝撃に吹き飛ばされ地面を転がり落ち葉と泥まみれになった彼女はすぐさま上体を起こしその原因へと目を向けた。
「な、なによ!なんなの!なんだっていうの!」「っ痛ぇ……何だよもう!」
「え?」「ん?」
球体があったその場所には、彼女にとって初めて会話をする知性体、異世界人の男が座り込んでいた。彼女にとって初めての友人にして、未来の最高にして最愛のパートナーとなる男性との出会いであった。
彼女の小さな願いに端を発したこの二人の冒険は、やがてこの世界の始まりの伝説をめぐる大騒動に巻き込まれていくとは、まだ二人は知る由もない。
処女作ですのでおかしな書き方や違和感を感じる部分など多かったかもしれませんが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。