蒲団
きっと、全部知っている。
僕からこぼれた、雫をすべて。
一日の、朝と、夜と。
昼の熱を蓄えて、僕の雫と、入れ替える。
一日の思い。
毎日の思い。
きっと、全部知っている。
泣いたこと。
怒ったこと。
悩んだこと。
悔んだこと。
きっと、全部知っている。
首筋から、足の先まで。
きっと、全部知っている。
おととい繋いだ、手の熱も。
昨日付いた、首の痣も。
今日ついた、背中のひっかき傷も。
明日に流す、涙の量も。
全部、僕の体から、雫になって、流れ出す。
全部、蒲団に落ちていく。
僕が詰まった、蒲団の中で。
僕は、ずっと、夢を見る。
いいとこどりだけ、思い出す。
思い出になって、思い出を忘れて。
思い出に追われて。
夢に、出てくるよ。