新入部員はおかしな少女
「きゃ…あ、ごめんなさい…」
「…いえ、」
僕はあまり目立たない。
そんな僕が夢見ている事、それは
ヒーローになること、皆が頼ってくれるヒーローに…。
そんな事を思う、小学校時代だ。
でも、そんな小学校時代は簡単に過ぎ……
中学生…
…僕は、高校生になった。
高校生になって変わった事、友達ができた。簡単な事だって?僕と話が合う人なんているはずないじゃないか、
だって…僕は、 ヒーローなんだから。そう、皆の憧れるヒーローなんだ!
「そんなヒーローの正体を知っている友達だぞ!
さあ、僕と友達になれたことをもっと喜ぶがいいっ!」
「…
どうでもいいけどさ、どーすんの?
部員数少な過ぎっしょ…ってうおっ!
おい!見ろよ!俺の好きな作者さんの新作ラノベ、発売日決定だってよ!!」
「あ、あぁ…」
こいつは俺とは少し部類の違うオタク、あ、や、俺はオタクではなくヒーローなんだけどな。ちなみに名前は荒垣千尋。モテるみたいだけど、僕の方がかっこいいに決まってるっ!あ、僕の名前は一宮陽向。かっこいいでしょ?でも、みんなには女の子ぽいね、なんて言われる。みんなきっとおかしいんだ。
「大体、ポスターに『おかしい男子2人の集まりだよ!』とか書いて人来るわけねーだろ!まず、俺はおかしくねーよ、おかしいのはお前だろ?アホか!」
「は?僕はアホじゃない、おかしくもない!ヒーローだっ!」
「じゃあなんでおかしい男子2人っていったの?!」
「え、ノリ?」
ボケた、能天気な顔で僕は言う。すると千尋は怒って…きそうになった。なぜなら、その瞬間
ガラッーーー
「あのっ!えと、入部しにきましたっ!
部長の一宮陽向ちゃんはいますかっ?」
おっと、救世主!って…ちゃん?
「…お前、名前は?」
俺は少し声を怖くして言った。
だって、今の聞いたか?一宮陽向ちゃん、陽向ちゃんって誰だよ!俺はヒーローなんだぞ、皆ヒーローの扱いが酷すぎる!これまで落ちこぼれでやってきたのか?まあ、いい。そんな事より、名前だ。
「あ、赤崎彩葉です!オタ部に入りたく、来ました!」
「…赤崎彩葉、か。おい、赤崎!…」
僕は次の言葉を誰かにかき消された、決まっている。
赤崎彩葉が来て、まだ1度も言葉を発していない…荒垣千尋だ。
「あのさ、陽向、お前ヒーローなんだろ?ヒーローは人に優しくするんだぜ?」
千尋が少し笑いを含みながら、バカにしたような目でこちらを見てきた。僕は背が低いため、当然見下ろされてる気分…いや、見下ろされてる、な。うん。これ、結構怖い…
「あ、はい。ヒーローは優しいです…。」
「よし、」
納得いかねー!と、言うわけで、僕はその後一言も喋らず、只々話を聞いていた。
「…名前は説明し終わったから、次は自己紹介…と言いたいところだが、陽向が落ち込んでるためパスしよう。」
「え」
「じゃあ…」
と、千尋は少し考えた後
「君、何が好きなの?
ほら、ここオタク部でしょ?俺はロリが出てるラノベだっ!というかまず、書いてたよね?おかしな男子が2人います。って」
「え、あー、おかしいって私はてっきりあっち系なのかと…」
「あっち系?あー、もしかして君…腐女子?」
ちょっと困った感じの様子で問う千尋に対して、赤崎彩葉は元気よく答えた。
「はいっ!!」
うわっ、なんか面倒なの来たな〜。まさか救世主がこんな面倒なやつだとは。腐女子とかめっちゃ困んじゃん?
僕たちは面倒な腐女子が増えた部室で賑やかに活動を進める事にした。