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1-1 プロローグ

『神様やめたくて』と『■■■・アンド・ハーレム~オタク剣鬼、エロゲの世界の中ボスに転生したらヒロインみんなちょっとエッチでだいぶ狂ったやつらばかりでした~』を始めました。ぜひ読んでください(m_ _m)。


いいね!や評価、コメント頂けると、とても嬉しいです!!


――エロゲとは人生である――


重度のオタクであり、鮮血の剣鬼と呼ばれた宮本刀祢(みやもととうや)は、最期の時、自らの人生を思い返す。



思えば、きっかけは些細なものだった。


初心で病弱だった幼少期。ふと立ち寄ったゲームショップで彼は運命に出会った。

陳列棚に整然と並べられたパッケージ、その一つに美少女達に囲まれながら剣を持つ一人の青年がいたのだ。


どうしてか、彼はそのイラストに強く惹きつけられた。

そのイラストから目が離せなかった。

気付けば、彼はなけなしのお年玉でそのゲームを購入していた。



少し恥ずかしかったけれど、それを大切に胸に抱え走った家路。

彼は家に帰るなりそのゲームをプレイし、そしてすぐにその世界の虜になった。


ストーリーとしてはよくあるもの。

一人の少年が剣一本で困難に立ち向かい、多くのヒロインを救い恋仲になる、そんなお話。


ただ一つ普通と違ったのは、そこに出て来るヒロイン達の愛が重すぎるせいで非常にあれな展開になっていることだが、そこは恋愛経験のない無垢な少年。

素直にそういうものだと思ってしまった。


そして、そのストーリーは彼の心に深く突き刺さり、彼の精神の指針となった。


「そうだ、この主人公みたいに強くなって困難に立ち向かえば、素敵な未来が待っているに違いない!!」


それから彼は努力をした。


血尿が出るほど体を鍛え、木刀を振り、滝に打たれ、目が充血するほどラノベ熟読し、エロゲを攻略しまくった。

その鍛錬は過酷で、寝る時間さえ削りながら日々を訓練に費やした。


結果、病弱だった彼は国内最強の剣士と呼ばれるまでになった。

皆が彼を素晴らしい、最強だと称賛した。


だが、その時、彼は思った。


『おかしい、全くイベントが発生しない』と。


確かに強くなったし、エロゲのヒロインを落とす自信も付いた。

けれど、現実世界ではヒロインを助けるイベントが全く発生しなかった。

そう、エロゲで言う最初のイベントシーンが発生しなかったのだ。


これは由々し事態である、彼は思った。

このままでは、自分は一生理想を果たせないのではないか。

その焦燥が心を満たす。


思い悩んだ彼は、イベントがないなら自分でイベントが発生しているところに行けばいいじゃない、そう考えた。


そうして彼は国外に進出することにした。愛刀一本を携え、世界の戦場という戦場を駆け巡り、弱きを助け、悪を挫いた。

もちろん、その間もラノベは欠かさず読んだし、移動中には様々なエロゲをやり込んだ。


結果、彼は寝不足でフラフラとなり、瞳は常に充血し、満身創痍の状態で戦場を駆け巡ることになったのだ。

その目を血ばらせた幽鬼のような姿から、血をもとめる剣の鬼、鮮血の剣鬼と呼ばれ敵からは大いに恐れられた。



◇◇◇



それから数十年、気絶し倒れ伏した数多の敵兵と壊れた武器の残骸が積み上がる中心。そこに佇む桜の古樹、その幹に背を預け刀祢はいた。


傍らには折れた愛刀。

その体からは夥しい血が流れ出ており、死神の鎌が彼の首に迫っていることは誰の眼から見ても明らかであった。


彼は静かに目を閉じる。


「・・・某の道、未だ半ばなり・・・」


なぜこんなことになっているのか。

それはふとした思い付きがきっかけだった。


奈落(アビス)、地球上で最も過酷と呼ばれる紛争地帯。


彼は今回もイベントを発生させるため、剣と銃弾と血しぶきが舞い踊るその戦場に参戦した。


最初こそ良かった。

多くの敵を薙ぎ払い、いくつもの戦場を停戦まで持ち込んだ。

常であればこのまま終戦となっていく。


けれど今回は勝手が違った。


そこはアビス。


人々の憎しみと利権が折り重なり、時間が経てばまたすぐに新たな戦いが発生した。


終わらぬ戦場、やまぬ銃声。

故に彼は思った、根本的な解決が必要だと。


ではどうすればいいか。

彼は必死に考えた、頭痛がするほど考えた。

胃に穴が開いて吐血するほど考えた。


そして、ふと自らの幼少期を思い出す。


そうだ、皆がエロゲをプレイすれば解決するのではないだろうか!!!


それからの彼の行動は早かった。

敵組織の中枢まで入り込むと、そこのスパコンに次々とエロゲをインストールしていったのだ。


それは桜をモチーフにしたエロゲだったり、たい焼きが好きな少女が出て来るエロゲだったり、英雄を召喚するエロゲだったり、仮想現実にダイブするエロゲだったり、彼が素晴らしいと思った作品たちを片っ端からインストールしていったのだ。


敵兵たちは思っただろう、何でデスクトップの一番目立つところにデフォルメされた美少女のアイコンがあるのだろうと、これは何かの罠だろうかと。


そして、彼が最大の敵基地、そのスパコンにエロゲをインストールしている時にそれは起こった。


彼の行動を見越していた敵兵に囲まれたのだ。


当然である。

彼に攻められた基地すべてにエロゲがインストールされていたのだから。


彼は必死に戦った。

インストールが完了するまでの5分間、PCを庇うためいくつもの銃弾に体を貫かれながら戦った。

そしてインストール完了画面が表示された瞬間、彼はゲームディスクを抱え、敵基地を飛び出し、今に至るというわけだ。


「けれど、これで世界が平和になってくれるなら・・・・・・」


そう呟きつつ、彼の頬を一筋の涙が零れる。


「ああ、けれど叶うのなら、理想へ触れたかった。某の望みを叶えたかった。そして・・・・・・」


刀祢は背中を桜の幹に預けずるずると崩れ落ちる。


「無念・・・・・・」


大量の吐血と共にそう呟いた瞬間、風が桜の花びらを巻き上げた。

無数の花弁に反射した白光が彼を包み込みその視界を白く染め上げる――――



瞬間、世界に声が響いた。


『当該世界で空間の揺らぎを確認』


それはどこか無機質な機械めいた声。


『揺らぎの発生源を特定。

個体名【宮本刀祢】。

個体の情報を閲覧。人格、経歴、ともに英雄候補と認定。

上位存在へのオーダー。


承認。


かの魂を英雄の座へと引き上げます』


自分のことを話している。白く染まった世界の中で刀祢はそれを自覚する。


『個体名【宮本刀祢】の魂を保存。保存完了。続いて肉体のガ、ガガガガ』


だが、音声が唐突に崩れる。それは壊れたスピーカーのよう。


『外部からの介入を確認。ファイヤーウォール起動。外部要因の排除を確認。

肉体の保存再試行、失敗。先ほどの介入により通常処置継続が困難と判断。


再演算、失敗。


肉体の保存は不可能と判断、肉体を廃棄します。

同時に、魂単独の保存は消失のリスクが高いと判断。

代替策を検索―――――。魂の転生を提案。上位存在に申請。


許可受諾。


この世界への魂の、ガガガガ』


再度音声が乱れる。


『外部からの干渉を再度検知しました。こここ、この世界への転生は、困難と判定。べべべべ、別世界への転生を、てて、提あ、ピーーーー、ブツッ』


音声が途切れる。

不穏な気配に刀祢が訝しんでいると、数瞬後、それまでの不調が嘘のように滑らかな音声が響きだす。

それはまるで人が変わったような―――。


『失礼。問題ありません。

許可受諾。別世界検索のため、個体名【宮本刀祢】の潜在意識を抽出します、希望をどうぞ』


不審に思いながら刀祢は考える。

これは死ぬ寸前の夢幻か。それとも神や仏の思し召しか。

胡散臭いことこの上ない、この上ないが、けれど、そう、希望、希望が叶うならば―――。


ぼんやりとした意識の中、刀祢は自らの望みを思い浮かべる。


――イベントが発生していれば何か変わっていたのだろうか――


『承認。イベントの満ちる世界を検索、ヒット数253831』


――某の剣術があれば、ヒロインを救えただろうか――


『承認。刀剣の使用が可能な世界を検索、ヒット数8331。絞り切れません、さらなる希望を』


音声は変わらず滑らかに問う。

希望と言われ、刀祢はふと最初に買ったゲームを思い出す。

思えばあれが始まりだった。

ならばと、刀祢は一瞬迷うような、ためらうような素振りを見せた後、意を決して告げる。


――某は・・・・・・――


『承認((笑))。

個体名【宮本刀祢】のステータスを参照。

自力での達成は困難と判定しました。サポートシステムを有する世界を再検索。

ヒット数1』


それまでは機械のように抑揚が無かった音声が、最後だけは人を馬鹿にしたような笑いを含ませる。

そして、声はさらに続ける。


『適合世界を確認、世界名【■■■・アンド・ハーレム】。あ、これは宮本さんにはぴったりな世界ですね((笑))。

おっと、いけない、いけない。


個体名【宮本刀祢】の潜在意識との照合を確認。オールクリア。

転生可能個体の存在を確認、クリア。

上位存在の許可受諾は、うーん、不要で。

システム確認、オールグリーン。


個体名【宮本刀祢】の転生を開始します。

カウント3.2.1』


刀祢は突然の展開について行けず茫然としている。

けれど声は待ってはくれない。


『転生システム開始、ぽちっとな』


そして、その全身を白い光が包み込んでいき――――――

意識がゆっくりと薄れていく。そんな中、


『グッドラック、宮本さん、いえ刀祢さん。その世界、中々にハードですよ』


何処か楽し気な声が世界に響くのであった。



◇◇◇



―――転生システム起動―――


システムの起動を確認、オールグリーン。

続いて転生システムを実行。

転生者【宮本刀祢】、転生先【神代刀祢(かみしろとうや)】と規定。

転生得点【ステータス】を付与します。

継承スキル:桜華天元流剣技、瞑想、悟りの境地、見切り

称号:千人斬り、鮮血の剣鬼、桜華天元流開祖、天下無双、世捨て人、限界突破童貞、剣豪、鈍感師匠、


継承完了。続いて、転生後魂の調整を実行します。

新規スキル:致命の選択(クリティカルチョイス)、ラッキースケベ、巻き込まれた体質


新規スキル定着を確認。


継承システム全工程を実行終了。

転生システム正常に作動。魂の移行を確認、異常なし。


以上で全シークエンス終了します。


―――転生実行―――

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