第27話 秘密結社(ひみつけっしゃ)『イルミナティ・キッズ』と入会の儀(にゅうかいのぎ)
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【ここまでのあらすじ】
長年キッゾニアに通い続けた者だけが存在を知らされる、秘密のパビリオン『忍者養成道場』。そこでベテランとしての実力を存分に発揮した翔太は、湊に初めて「すごい」と認められ、誇らしい気持ちになった。
【主な登場人物】
水無瀬 湊
本作の主人公。令和2年生まれの5歳児。中身は冷静な20代。先輩の「経験」という名の強さを、素直にリスペクトしている。
桜木 翔太
本作の先輩。平成29年生まれの小学二年生、8歳。ベテランとして認められ、自信を完全に取り戻した。
――忍者道場でベテランの仲間入りを果たした翔太先輩。そんな彼の元に、今度は更なる謎の招待状が…。それは、キッゾニアの未来を影から操るという、エリートだけの「秘密結社」からのスカウトだった!
忍者道場でベテランとして認められたことで、翔太先輩はすっかり自信を取り戻していた。
「俺は、このキッゾニアの表も裏も知り尽くした男だからな!」
そんな彼の元に、ある日、一通の黒い封筒が届いた。中には、3つのメダルと、ピラミッドに目が描かれた、謎の紋章だけが記されている。
「なんだこれは…? また隠しパビリオンか?」
案内状にあったキッゾニア銀行に向かい、店舗内の像に3つのメダルを入れると、これまで壁だと思っていた場所が静かに開き始めた。どういう仕組みなんだこれは?
その奥は、薄暗い石造りの部屋だった。中央の円卓を、フードを深くかぶった子供たちが囲んでいる。その雰囲気は、忍者道場とは比べ物にならないほど、重々しく、そして知的だった。
「よく来たね、桜木翔太くん」
上座に座る少年が、フードを取った。
名門私立小のジョージアくんだった。
「ここは、秘密結社『イルミナティ・キッズ』。キッゾニアの未来を、影から操るエリートたちの集いだ」
円卓を見渡すと、空売りの天才少年や、VIPくんの顔もあった。かつて翔太先輩が「敵わない」と感じた、各界のトップたちが、ここに集結していたのだ。
「我々は、君の噂を聞いている。スカベンジャーパビリオンで少女に自分の権利を与えたそうだな。その金や権力になびかない精神、我々の組織にふさわしい」
ジョージアくんは、翔太先輩をスカウトしに来たのだ。
「だが、その前に、入会の儀式を行おう。この『真実の天秤』に、君が最も大切だと思うものを捧げてもらいたい」
目の前に置かれたのは、古めかしい天秤。片方の皿には、山積みのキッゾが乗っている。
翔太先輩は、一瞬、イルカの絵で失った3000キッゾのことを思い出し、心が揺らいだ。
しかし、彼は首を横に振ると、迷うことなく、自分のプロフェッショナルメンバーのカードを、もう片方の皿に乗せた。
「俺が大切にしているのは、キッゾなんかじゃない。このキッゾニアで積み上げてきた、経験とプライドだ!」
彼の力強い言葉に、天秤はわずかに彼のカードの方へ傾いた。
ジョージアくんは、満足げに頷いた。
「合格だ。今日から君も、我々の仲間だ。我々の目的は、キッゾニアを、金や権力に支配されない、真に子供たちのためだけの国にすること。そのために、時には非情な手段も取る」
翔太先輩は、自分がとんでもない組織に入ってしまったことに気づきつつも、その崇高な(?)目的に、胸を熱くしていた。
「おう! 任せとけ! 俺の正義で、この国を良くしてやるぜ!」
彼は、自分がこの国の未来を担うエリートの一員になったのだと、高揚していた。
その活動内容が、主に「運営への匿名の改善要求メールを送る」「新パビリオンのスポンサー企業の素行調査」といった、非常に地味なものであることを、彼はまだ知らない。




