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【完結】キスの続きを、まだ知らないままで。  作者: 泉水遊馬
第3章:「触れるたびに、私は“わたし”を取り戻していく」
9/32

3-3

灯の脚の間に、わたしの手が伸びていく。

 彼女の下着は、もう濡れていた。布越しでもわかるほど、はっきりと。


 指先でそっと撫でると、ぴくんと灯の腰が跳ねた。

 目が合った。彼女の瞳の奥に、欲望と、恥じらいと、甘い諦めが滲んでいる。


 「……もう、戻れないよ?」

 問いかけたのは、わたしなのに。


 「戻らない。……戻りたくない」

 灯は小さくうなずき、手を伸ばして、わたしの首を引き寄せた。


 唇が重なる。

 最初のそれは優しくて、でも、すぐに深くなった。


 灯の舌が、わたしの中に入ってくる。熱い。

 唇の内側、歯茎、舌をくすぐるように触れてきて、息が詰まりそうになる。


 その間にも、わたしの手は、彼女のショーツの中に滑り込んだ。

 熱く、柔らかく、濡れている。まるで花びらの奥に溺れていくような感触。


 「……っあ、しおり、そんな、急に……んっ……」


 灯の指がわたしの肩に喰い込み、背中をぎゅっと抱きしめてきた。

 彼女の呼吸が乱れ、唇からは止めどなく甘い声がこぼれていく。


 「もっと……奥、さわって……そこ、んっ、やっ……」


 わたしの指は、ゆっくりと花弁の奥へと沈んでいった。

 そこは、信じられないほど熱く、湿っていて、まるでわたしを吸い込むようだった。


 「すごい……ここ、灯のいちばん奥」


 灯は顔を逸らして、息を呑んだ。

 でも、わたしの指が動くたびに、彼女の体は反応する。

 脚が震え、太腿がわたしの手を締めつけてくる。


 「しおり……お願い、もっと、きて……わたし……壊れそう……」


 その声に応えて、わたしは、彼女の上にゆっくりと覆い被さった。


 太腿を割って、灯の脚の間に自分の脚を差し入れる。

 秘部と秘部が触れ合い、ぬるんとした水音が静かに室内に広がった。


 「ん、っ……!」


 互いの熱が擦れ合い、肌と肌の間から、甘く湿った声が漏れていく。

 灯は目を閉じ、額に汗を浮かべながら、わたしの名を何度も呼んだ。


 「しおり、好き……大好き……わたし、こんなに、誰かを……」


 その言葉が胸の奥に刺さって、涙がこぼれそうになった。

 でも今は、泣かない。彼女を気持ちよくしてあげたい。

 触れて、満たして、つながって、すべてを――愛していたい。


 「わたしも……灯。あなたが、全部ほしい」


 熱がひとつになり、指が、舌が、身体が、想いが、絡み合う。

 どこまでが彼女で、どこまでが自分かわからなくなる。


 ――あぁ、これが、愛することなんだ。

 ただ触れて、ただ求め合って、それだけで満たされていく。


 肌がふれあった夜。

 その瞬間から、わたしたちのすべてが、変わっていった。

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