3-2
彼女の胸元に、わたしの手のひらが触れている。触れてしまっている。
それだけなのに、鼓動が苦しくて、呼吸が追いつかない。
「……しおり、ほんとに……いいの?」
灯の声が、濡れていた。恥じらいではない、どこか切なさを孕んだ濡れ声。そんな声、聞いたことがない。
私は答えなかった。ただ、彼女のシャツのボタンを、ゆっくりと外していく。
白くて、なめらかな肌。
灯の体は想像していたよりもずっと女性的で、柔らかく、そして、怖いくらいに綺麗だった。
鎖骨から胸元へと指をすべらせる。
そのたびに彼女の体が微かに震え、乳房の頂点が徐々に紅潮していくのが見て取れた。
「やだ、見ないで……そんなに、じっと……」
そう呟く灯の声は、拒絶ではなかった。
その手は、私の腰に回って、シャツの裾を探っていた。
服の間から、指先が滑り込んでくる。細くて、すこし冷たい、でも芯に熱を帯びた指。
乳房のふくらみをなぞると、乳首が小さく反応し、まるで灯の鼓動と連動しているようだった。
「……やわらかい。灯の体、やっぱり、好き」
私は呟きながら、唇を近づけた。
そして、その紅潮した小さな頂点を、舌で包み込んだ。
「んっ……しおり……ダメ……そこ、感じちゃ……」
声にならない声が喉奥からこぼれ、灯の脚がわずかに震える。
太腿がこすれ合い、薄い布の向こうに、すでに湿った感触があるのを私は感じ取っていた。