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【完結】キスの続きを、まだ知らないままで。  作者: 泉水遊馬
第3章:「触れるたびに、私は“わたし”を取り戻していく」
7/32

3-1

部屋の静けさに、微かな水音のような呼吸が溶け込んでいた。


 白いシーツの上、私は仰向けになって、あかりに身を預けていた。

 カーテンの隙間から差し込む朝の光が、まだ火照った私たちの肌をやさしく撫でていた。


 彼女の指が、私の太ももをなぞる。

 何度も触れた場所のはずなのに、そのたびに、新しい感覚が私の神経を駆け上がっていく。


 「……こんなふうに、誰かに触れられて、壊されていくのが……怖くないなんて、思ってなかった」


 「壊れてなんかいないよ、しおり。

  むしろ……今のあなた、とても綺麗」


 灯は私の脚を開かせ、その間に身を沈める。

 舌先が、ためらいなく、濡れた奥へと触れてきた。


 「んっ……あっ……や、あかりさん……」


 言葉にならない吐息が、唇から零れる。

 舌が、螺旋を描くようにゆっくりと、しかし確実に、私の奥の熱をかき回していく。

 粘膜が震え、腹の奥が痺れるように疼く。


 「灯さん、……あ、そんな……強く、したら……」


 「もっと声を聞かせて。しおりが、気持ちいいって言ってくれると……私も、たまらなくなるの」


 舌だけではない。指も、私の奥に入ってくる。

 ぬるりと吸い込まれるように、それは私の内側を確かめるように蠢きながら、痙攣する膣壁を刺激してくる。


 「ふぁ……! んんっ……やっ……止まらない……」


 シーツを握りしめる指先が震える。

 脚の付け根が痺れ、骨盤の奥から蜜が溢れてくる。


 「あ……だめ、だめなのに……奥、すごく……」


 「こんなに濡れてる。気持ちよくなってくれるの、うれしい」


 灯の声が熱を帯びて耳に届き、私は思わず彼女の髪を掴んだ。

 もっと触れて、もっと壊して、もっと愛して。

 そう、叫びたくなる。


 ふたりの汗と愛液が絡み合い、体温が境界を曖昧にする。

 どこまでが私で、どこからが灯なのか、もうわからなかった。


 ただ、彼女の中に溺れていく。


 感情も、記憶も、傷も、すべてが灯に抱かれて、溶けていった。

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