3-1
部屋の静けさに、微かな水音のような呼吸が溶け込んでいた。
白いシーツの上、私は仰向けになって、灯に身を預けていた。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、まだ火照った私たちの肌をやさしく撫でていた。
彼女の指が、私の太ももをなぞる。
何度も触れた場所のはずなのに、そのたびに、新しい感覚が私の神経を駆け上がっていく。
「……こんなふうに、誰かに触れられて、壊されていくのが……怖くないなんて、思ってなかった」
「壊れてなんかいないよ、しおり。
むしろ……今のあなた、とても綺麗」
灯は私の脚を開かせ、その間に身を沈める。
舌先が、ためらいなく、濡れた奥へと触れてきた。
「んっ……あっ……や、あかりさん……」
言葉にならない吐息が、唇から零れる。
舌が、螺旋を描くようにゆっくりと、しかし確実に、私の奥の熱をかき回していく。
粘膜が震え、腹の奥が痺れるように疼く。
「灯さん、……あ、そんな……強く、したら……」
「もっと声を聞かせて。しおりが、気持ちいいって言ってくれると……私も、たまらなくなるの」
舌だけではない。指も、私の奥に入ってくる。
ぬるりと吸い込まれるように、それは私の内側を確かめるように蠢きながら、痙攣する膣壁を刺激してくる。
「ふぁ……! んんっ……やっ……止まらない……」
シーツを握りしめる指先が震える。
脚の付け根が痺れ、骨盤の奥から蜜が溢れてくる。
「あ……だめ、だめなのに……奥、すごく……」
「こんなに濡れてる。気持ちよくなってくれるの、うれしい」
灯の声が熱を帯びて耳に届き、私は思わず彼女の髪を掴んだ。
もっと触れて、もっと壊して、もっと愛して。
そう、叫びたくなる。
ふたりの汗と愛液が絡み合い、体温が境界を曖昧にする。
どこまでが私で、どこからが灯なのか、もうわからなかった。
ただ、彼女の中に溺れていく。
感情も、記憶も、傷も、すべてが灯に抱かれて、溶けていった。