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【完結】キスの続きを、まだ知らないままで。  作者: 泉水遊馬
第4章:「触れるたび、深く溺れていく」
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4-1

窓の外では、雨が細く長く降り続いていた。

都会のざわめきが濡れて滲み、しおりの部屋はまるで水の底のように静かだった。


午後二時。

灯はソファの上、白いシャツに黒のタイトスカートという職場そのままの装いで、膝をそろえて座っていた。

まるで今にも逃げ出しそうな横顔に、しおりはそっと微笑む。


「…落ち着かないの?」

「うん、だって…先生、ずっと見てるから…」


しおりは頬杖をついたまま、視線を逸らさずに言った。


「灯がかわいいから、見てるだけよ」

「……からかってる」

「違うわ。本当に、たまらないの」


しおりは立ち上がり、ゆっくりと近づいていく。

その視線は、まるで獲物を捉える猫のように鋭く、そして慈しみに満ちていた。


灯の前に立つと、しおりはその頬に触れた。服の上から、膝に手を置く。

指先でゆっくり、なぞるように太ももを撫で上げる。


「今日は…服のままで、いい?」

「……え?」

「脱がないまま、感じるの。ね?」


灯は目を見開いたまま、声を失っていた。

けれど――その瞳の奥には、抗えない熱が宿っていた。


鏡の前に立たされた灯。

タイトスカートのまま、シャツのボタンを一つずつ開けられていく羞恥。

しおりの囁くような声が、耳元で甘く絡みつく。


「ほら、見て…あなたの顔。濡れてるでしょう?」

「……いや…そんな…」

「気持ちよくなってる顔、ちゃんと見て。あなた自身が、一番綺麗よ」


視線と声で追い詰められながら、灯の身体はゆっくりと熱に沈んでいく。

しおりの指が、スカートの裾を押し上げるたびに、空気の感触さえ官能的に感じられる。



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