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#1「桜」

 ──────お、やっほ~!

俺の名前は、桜木花斗!大学一年生で十八歳、普通の学…ってまぁ変な趣味があるけど…うん!普通の学生、学生です!うん!

 見た目は陰キャ中身は陽キャだ!

 …っと、名探偵リボンみたいだな。ふふっ。

 今彼は、人混みの交差点の中、両耳にイヤホンをつけて最近SNSで流行りの“マゾク”という曲を鼻歌で熱唱しながらスキップしている。

[ルンルンルン♪]

(俺、いつもは遠回りの安全な道で帰宅していたけど今日は車通りの多いちょっと危ない近道を通ってるんだ。)

と踊り出したい喜びを抑えて、もうスキップではなく小走りしていた花斗。

 何故、花斗が今通っている近道が危険かというと…

(まぁ、近道って想像すると大体危ないと思うけどさ。)

 そう、最近、高齢者ドライバーの事故が全国多発しているそうで花斗が通っている近道の近所は、高齢者さんが多いのであまり通りたくないのだ。

 が、その近道で早く帰宅したい程俺はしたいことがある。

 あと、内緒だが花斗の一人称は「俺」なのだが本人はそれが恥ずかしいと心の内で思ってるんだ。

 で、話を戻して花斗が見た目を陰キャにしている理由は少し目立つと暴力やいじめを受けてしまうのが怖いから。

 花斗の理想は、静かに平凡な女の子と付き合って影を薄くし目立たないように楽しく青春を謳歌したいのだ。

(って…ん?)

 何で、こんなにもテンションが上がっている理由だって?

 俺はその言葉に反応して、少しずつ瞳がキラキラしていき嬉しくて興奮している。

 そして、もっと聞いて欲しくて何回も聞き返す俺。

(知り、た、い…?!知りたいのっ!?)

(そ、れ、はっ!)

 花斗は“ふるふる”と震え、我慢していた叫びたいエネルギーを一気に放つ。

 もちろん、周りに迷惑にならないように心の中でね。

(大好きな作家のBL小説が買えたから~!近道しているのは、早く家に帰宅して読みたかったからだぁ~!)

 大きく体を使って“やったぜ”とガッツポーズを心の中でする俺は何かを思い出す。

 片手を握り、縦に“ポン”と軽く叩いて

(そういや俺、腐男子でぇ~す。うぇい!)

 と片目を閉じ、舌を口からちょっと出したテヘペロ顔で何故か威張った。

“腐男子って……それ威張って恥ずかしくないの?大丈夫?”

 そう思う方もいる……のではないだろうか。

 (ちなみに俺が好きなBLのジャンルが、異世界系で、攻めが一卵性の双子の従者で受けがその主とがか~───)

 俺が好きを、心の内で熱熱と語っている次の瞬間!

目の前に軽トラが、猛スピードで暴走しているのが見え周りの人々は一直線に走って逃げている。

 だが俺は、足の力が急に“ガクン”と抜けて立ち上がって逃げることは出来ず座り込んでしまった。

“キキーッ!”

 周り一面に、軽トラの急ブレーキが響く。

「危ない!」

 誰かが叫ぶ前には、もう俺は軽トラにひかれて横たわっていた。

「え……?」

 俺は“ゴプッ”と口から“何か”が大量に出てきて息苦しくなる。

 口から出てきた“何か”を知るために、俺は両手を口に少しずつ近づけて触ってみたら……。

 そrうぁ、サラサラする赤い絵の具のような液体だったのだ。

(えっ……血?)

 血だと思わなかった俺は、“何か”の正体が分かったとき恐怖で声を上げることができなかった。

 それを一部始終、ただ立ちすくんで見ていた人達は……

「きゃーっ!誰かが、誰かがひかれたわ!」

「早く救急車をっ!!急げ!」

 丁度その時、人が多かったため周りはとても多くの野次馬ばかりで叫んでいる人達の声は耳鳴りが鳴るほど本当にうるさく混乱していた。

 周りが叫んでいる内に、俺の体からは血が口や切り傷の腕から“ドバドバ”と出血してまるで南極にいるかのように寒くなる体。

俺は不安と悲しさと死んでしまうのではないかという恐怖でいっぱいだった。

(……わい……こ、わい…怖いっ!!)

「俺……も、うじぬ、の…?」

 本当に俺は怖すぎて、涙が……瞳から溢れ出し頭を血で汚れた両手で抱えている。

 こんな歳で、死んでしまうとは思わなく遺言も残せてなかった。

(あぁ…。や、ばい……。部、屋のB、L本た…ち、どうし、よう…。)

(白、牙…。バイ…バ、イ…。ま…た、会いたかった…よ…。)

 俺は静かに…ゆっくりと涙の瞳を閉じ、そして息を引き取った後、桜木花斗としての短い人生の幕を下ろすのだった。

(さすがに、最後にも欲を言ってもいいよね…。)

 心の内の涙が一滴垂れ、

(もう少し…少しだけ…。)


─────生きたかったなぁ───。

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