よかった
「端末を2001年ベースでも世界を新たに構築していたのであれば、可能です」
「わかった次に変わろう」
二人はわかっていた。
タスクの意識を別の世界に飛ばした。
「まて本当に」
剣は眠っているタスクに口づけをする。
「何事もタスクからだな」
タスクも同じように笑っている。
「残り40分」
剣は肩唾を飲み込んだ。
「ねえ、お父さん」
「う?」
お父さんはゆっくりと、言葉を選んでいる。
「ここには何があったの」
「あ、まあここに昔の精神病院があった」
二人は静まり返った。
「お前が産まれたのは、ここかもしれん」
「へえ」
まわりを一望する。
「お父さん。昔は宇宙のUFOが下りた場所に、精神病院ができてるって」
「しらん」
コロちゃんと、ララちゃんがゆっくりと廃墟を見る。
なんでこんな話をしているんだろうか。
そして気づいた。
「お父さん愛しているよ」
「どうした、急に」
なぜか遠くに行くかもしれない。
たとえ、世界が窮屈でも。
「ありがとう」
お父さんが答えた。
そうして、世界が割れるような衝撃が端末から届いた。
ニューロン加速思考機が再起動したことだ。
「お父さん、次の宇宙が見つかったって」
「へえ」
二人は笑いあった。
よかった。




