新月
世界システムは、親が作っていた。
「タスクは、大阪で生まれたの」
マイが剣美咲の前で言う。
それは誰もわからない情報である。
どうやって知ったのかは不明である。
マイはなんでも知っていた。
「貰い手がいたのか」
「知ってるの」
「ギフテッドと、何かを持っていると、誰かから紹介された」
笑っている。
まさかなと、剣美咲は笑った。
「私の王子様」
「いいや戦争の抑止力だ」
対立するかのように言う。
彼女の言っていることは正しい。
だがそんなことは……
マイは激高していた。
だって、だって。
「好きなんだもん、傷つけたくはないでしょ!」
「当たり前のことを言ってくれるな、日本はどうなる」
廊下を優雅に歩いていく。
何か策があるかのようでもある。
マイは泣き崩れた。
「なんで平和にならないの……」
((あの人))
「うおおおおおおおおおおおお、死んでる!」
ゆっくり降りていく。
どうにもならない。
俺の力じゃないけどな。
「やるな。地球の使途、その極致よ」
「何の話をしているんだ」
「お、お前は」
「佐部佑、21歳」
「そうなのか」
「大丈夫か、過去から来たって」
「ああ。言語は少し違うらしいが」
「すごいな。データどうりだ、昔の人って」
「どうしてお前は知ったんだ?」
「これ見ろよ」
「まさか……」
「そう、お前の子供たち」
二人は黙る。
「じゃあな」
俺は手を振った。
後ろにむかってである。
ゆっくり歩いていく。
「いい、いい、生き方だった」
彼は泣いている。
なんでだろうな……
「俺もだよ」
「そうだな」
彼は、まるで幻のように消えていった。
それはほのかなる希望のような、感覚がほとばしるようなそんな感覚に酔いしれる。
風が吹く。
そうなのだ。
また俺たちは明日へ向かう。