表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

子どもの世話と裁縫と

 翌日、ルタはスーと一緒に小さな子どもの相手をする。

 目の前を子が駆け抜けていく。

 視線を他に移すと、ぬいぐるみを抱きしめている子もいる。

 せっせと積み木を積む子もいて、ルタはあっけに取られた。

「いろんな子がいるんですね」

「そうね。ここはそういう場所だから」

 ルタがスーと会話していても、何人かの子どもが近くを走り抜ける。


「あー!」

 気がつくと、ルタのエプロンの先端が切断されていた。

「さっき、走っていった子かな」

「買ったばかりなのにー」

 ルタはエプロンを先端を確認する。

 両端とも同じように切り取られたエプロンを、ルタは見つめていた。

「まあいっか。これはこういうデザインと思えば」

「メンタル強くてうらやましいわ。お昼寝の時間に繕っておこうか」

 気持ちと切り替えたルタは、スウの言葉にまた困った顔をする。


「裁縫は苦手で……」

「慣れておこうか」

 お昼寝時間になり、スウと別室に向かうと、そこには青年がいた。

「こんにちは、スウさん。それと……」

「はじめまして。私はアルタイスア、ルタって呼んでください」

「僕はデーネブ。ネブって呼んでね」

「ネブさん、ルタさんエプロン切り取られちゃってね」

「わかった。ちょっと待ってね、裁縫道具持ってくるよ」


「持ってきたよ」

「……ありがとうございます」

 裁縫道具をルタは困った顔で受け取る。

「お手本見せようか」

 ネーブはゆっくりと丁寧に説明しながら、エプロンの片側を繕う。


「こんな感じかな」

「ありがとうございます。やってみますね」

 ルタは針に糸を通し、エプロンを塗っていく。

「少し休憩しようか。お茶、淹れてくるよ」

 半分ほどで針が折れ、糸をほどくルタを見て、ネーブは席を立つ。


「なかなか難しいですね」

「慣れがいるからね」

 作業をしていたルタは背筋を伸ばし、腕を上にあげる。

 こわばった肩と首の緊張がほぐれていく。

「向こうではアイル君がやってくれた?」

「あ、はい」

 ルタは少し遠い目をしてスウに話す。

「代わりに料理とか掃除をやってました」

「そっか。アイル君は今?」

「自分を試してみたいって、前の職場で別れたっきりです」

「なら、ルタさんはいろんなことに挑戦しようね」

「どうして?」

「自分を磨いておくってのはすごく大切なことよ」

 ネブがお茶を持ってきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ