再会できた仕事先
「よかったら、うちに来る?」
食事を終えてロビーに向かったルタは、何件か断られた後声を掛けられた。
声をかけてきたのは女性。
服の着こなしも身長も歩き方も大人びている女性に、ルタは見覚えがある。
「スウさん!久しぶりです!」
「落ち着いて。ルタさん。改めて自己紹介してね」
「はい!私はアルタイスア、ルタって呼んでください」
何度目かの自己紹介をするルタ。
「私はスウピカ。スウって呼んでね」
スウも自己紹介をする。
「スウさんのところはどんなお仕事なんですか?」
「街のお手伝い屋さんだよ。やってみる?」
「はい!」
「なら、行こうか。会社に案内するね」
「でも久しぶりですよね。数年前に引っ越されて以来ですよね」
「少し前にこの大陸に来たの。」
それからしばらく、ルタとスウは一緒に行動する。
「おばあさん、お買い物してきましたよ」
「いつもありがとうねえ、スウさん。お茶でも飲んでいくかい?」
「なら少しだけ」
「おやそちらの子は?」
「新しく入った子よ」
「ルタって言います。よろしくお願いします」
ある時は荷物、またある時は買い物の代行をするスウ。
「お茶いただいてもよかったんでしょうか」
「話し相手になるのも大切だよ。交流とかもかねてやるのが会社の方針なんだ」
ルタはスウに言われたことをメモを取る。
「聞きながらメモとっても良いよ」
「良いんです?前いたところは話を聞き終わってからとれって」
「人と場所によりけりかな」
ルタの質問を微笑みを交え、スウは答えた。
「今日はこの後エプロン買って終了かな」
「何か作るんですか?」
「明日は小さい子たちの相手をするからそれ用かな」
「わかりました」
エプロンを選び始めるルタ。
いくつかを眺めて、ルタは腰だけのエプロンを手に取った。
「赤ちゃんの相手もするから、前掛けもあると便利よ」
エプロンを選びなおすルタ。
星や人形が描かれたエプロンを選ぶルタ。
スウが頷いたのを見てルタは会計に向かう。
「必要なものはたいていこの店か、近くの図書館で探すと良いよ」
「なにからなにまでありがとうございます。スウさん」
買い物が済むと、ルタは改めてスウにお礼を告げる。
「知った仲だし、またよろしくね」
ルタとスウ、磯の香りがする街を歩いていく。