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甘くて酸っぱい味がした

「来たばかりなんだっけ?」

「はい。新人です」

 ルタは一つのグループに声をかけ、リーダーと思われる青年と話をする。

「んー、まあ人手は欲しいっちゃあ欲しいが……」

 考えている青年の声を聴き、ルタも考える。

(見た目も格好いいな、少し低めの声だし、こういう人と一緒に働きたいな)

「えーと、だ。ルタさんだったかな」

「はい、そうです。ルタです」

「俺たちはこれから、地面に埋もれた遺跡の調査に行くんだけど」

「暗い所やじめじめしたところですか?大丈夫ですよ」

「それは頼もしいね。なら、一点だけ聞かせてほしい」

 青年の顔つきが真剣になる。

 ルタも緊張した感じで返事をした。

「粉塵爆破って知ってるかい?」

「はい?」

 予想外の質問にルタは言葉に詰まり、しばらく考え込む。

「わかった。今回はご遠慮するよ。また機会があったら、その時はよろしく」

「待ってください、まだ――」

「一度、荷物を置いてきたら?」

 ショックを受けているルタに別の青年が話しかける。

「宿はここを出て……」

 話していた青年は地図を描きだす。


「いきなり聞かれても困るんですけど!」

 宿の部屋につくなり、ルタは荷物を整理しながら一人愚痴る。

 荷物からは服、小物、生活品、いろいろなものが次々に出てくる。

 部屋の間取りに合わせ、ルタは自分の使いやすいところに置く。

「一応調べておこうか」

 荷物の中から出てきた魔導書を開き、ルタは魔法を唱える。


 魔法を唱え終えると本が浮き、ページが捲れていく。

 白紙のページを開くと、そこに文字が現れ光りだす。

「えーと『空中に舞う小さな粉に火の粉がついて燃え上がる』ことか」

 浮かび上がった文字を読むと、ルタはけげんな顔をする。


「これがどうして断られる理由になるのよ!」

 ルタは魔導書を閉じ、何度か深呼吸をしだす。

「次いこ次!もっといいところがあるはずよ」

 ルタは頭を切り替え、気合を入れなおして部屋を出る。

 部屋を出て扉に鍵をかけた瞬間、一階から食べ物の香りが鼻をくすぐる。

「先に食事にしよっか」

 ルタは階段を降り、そのまま食堂に向かう。


 ランチを注文するルタ。

 出てきたのは白身魚のチーズソテーとサラダとスープとベーグル。

 それらをテーブルに運び、椅子を動かして座り、ドレッシングを探すルタ。

 スープを一口飲みサラダを食べ、チキン、ベーグルの順に食べるルタ。

 テーブルの上にはご自由にお使いくださいとジャムがあった。

「杏の香り……少しだけ使おう」

 ルタはベーグルにジャムを塗り、食べていく。

「出ばなはくじかれたけど、結果オーライよね」

 ルタは笑顔とやる気を取り戻していく。


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