運命の赤い糸?
「ご、ごめんなさい!前を見てなくて…」
僕は急いで謝り、その場から立ち去ろうとした。
卯月と一緒に出掛けると、極まれに僕と卯月のことが姉妹に見えて、ナンパをしようと寄って来る人がいるのだ。
そういう人は、今謝っている人みたいなのが殆どだから、扱いは少しは慣れている。
「ねぇキミ、俺とカフェ行かない?もちろん俺が驕るからさ。
きっと楽しいと思うよ?」
男の人はぶつかって来た時とは打って変わり、下心丸出しで近づいて来る。
「い、いえ。結構です。」
『…マスター、こいつ不愉快です…こんなのと関わらないで早く逃げましょう。』
アインは知らないからこういうことが言えるのだ。
ああいう人達はとにかくしつこいのだ。
数年前に一回無視して、卯月と急いで逃げたことがあった。
その時は相手も一人だったから、その時は振りきれたのだが数日後、今度は取り巻きみたいのを三人引き連れて話しかけられた。
どうやら僕達を逃がさないようにするのと、威圧をかけて逃げにくくしているようだった。
幸いにも、たまたま通りかかった警官の人に助けられたのだが、その日から一ヶ月間卯月は余り外に出たがらなくなってしまったという苦い記憶がある。
「あの、急いでるので失礼します。」
僕は男の横を通って逃げようとしたが、肩を掴まれた。
「なぁ、別に良いだろ?十分だけ!十分だけだから。」
あぁ面倒になった。こうなったら、警察呼ぶって言わないと引かないやつだ。
僕は最終手段の「警察呼ぶぞ」作戦をしようとした時、男の後ろから三人組の少女が目についた。
その女の子の一人の、甘栗色の髪をポニーテールにした少女はウィンクを僕に向けてすると、大声で男に話しかけた。
「ちょっとあんた!何してるのよ!その子嫌がってるじゃない!」
「そうそう、速くどこか行きなさい。みっともないわよ。」
それに便乗するように、ショートカットの黒髪の子が少しバカにするように言った。
「ああん!なんだお前。」
男は三人組の女の子を睨み付けるが、三人の内の誰も引き下がらなかった。
「というか、その子わたしの連れなの。」
甘栗色の髪の少女は男を突き放すように言った。
「あんたなんかと関わっているの、とっっても時間の無駄なの!」
「なんだと!」
……なんだか僕を置いていって話が進んでる。
すると、ここで甘栗色の髪の少女が爆弾を落とした。
「ちなみに、私は政府所属の魔法少女なの。逆らったらどうなるか解るわよね?」
そう言うと、ポケットからカードを見せた。
「ちっ……」
男は顔をひきつらせながら走るように逃げて行った。
「大丈夫?」
「あ…ありがとうございます。」
甘栗色の髪の少女は僕の手を優しく握った。
「何もされてませんか?」
そう言って手を差し伸べたのは__卯月だった
「へぇっ!」