始まり5
投稿できる暇があったので、投稿します。
『…マスター、いきなり冗談を言うのは止めてください。
マスターは体つきと言い、体のホルモンバランスがと言い、下半身の一部が変形しているだけで……』
「多分下半身うんぬんかんぬんは、男だから当たり前だと思うよ。」
僕は、体の力が抜けるような感覚がした。
『ですが、マスターのホルモンバランスは男性寄りの女性で……』
「僕はれっきとした男です!」
さすがにここまで言われたら、怒鳴るのも仕方がないと思う。
だって少し女の人に見えるだけで、ここまで言われたらねぇ…
『……そうなるとマスターに魔力が少ないとは言えあるのは、性ホルモンが関係しているという仮説が合っているということになります。
…世界中の学者が頑張って解明しようとしていることが、こんなに簡単に解ってしまうのはちょっと……ショックです。』
「なんかごめんなさい」
アインの声色はなんだか落ち込んでいるような感じで、申し訳なくなってしまった。
『とりあえずこの話は一旦置いておきましょう。
それで、これからの事ですが、本来の予定では政府の魔法少女隊に所属してもらいたい所でしたが、マスターが男だと解れば日本中どころか、世界中の学者が狙って来ます。』
確かに、曲がりなりにも僕は前例の無い、男の魔法少女だからなぁ。
『そこでマスターには、どこにも所属していない野良の魔法少女になってもらいます。』
野良の魔法少女_世界中の十五%から二十%位の魔法少女がこれに該当する。
彼女らは何らかの事情や、ルールなどの縛りを嫌い、政府の魔法少女隊とは別に行動する。
中には傭兵になっていたり、テロ行為を行う反社会勢力に属していることもあると聞いたこともある。
「野良の魔法少女か……確かにそれの方が良いかも。一生どこかの実験室に居るのは嫌だからね。」
こうして、これからの僕の身の振り方を決めた。
僕は誰も居なさそうな所で変身を解いて、卯月と別れたロータリー近くに急いで向かった。
「……!にいさん!どこに居たんですか!」
卯月はまだ変身を解いていない、とても目立つ服装だったのですぐに見つかった。
卯月は僕をすぐに見つけると、人混みをかき分けて、抱きついてきた。
「ごめんね。こっちの方に怪人が来てね、それで逃げていたんだ。
大丈夫、怪我も何もしてないから。」
卯月は涙目になりながら、僕をじっと見つめる。
「………本当ですねにいさん。
でもごめんなさい。私が…もっと強ければにいさんを危険に晒すこともなかったのに……」
「卯月、そんな自分の事を責めないで。卯月が頑張ってくれたお陰で今回は死人はいなかったんだから。
それどころか、自分を誇っても良い位なんだよ。」
そう言いながら卯月の頭を撫でる。すると卯月は目の下を赤く染めながら、僕のお腹辺りに顔を埋めた。




