謎の幼女
「君は誰?」
僕は目の前に立ちふさがるようにしている幼女にできるだけ目線を合わせるようにしながら質問する。
「目線を合わせながら喋るとは言い心がけだ。だが、一つ言わせてもらうと、お前こそ誰だ。
この新宿支部でお前を見かけた事は一度も無いのだか?」
その子は僕の目をじっと見つめながらそう強く言う。
「えっと…僕はヴァルハラ⋅ワルキューレって言います。」
「ふぅん。そうか。で、本名は?」
目の前の子はその姿に似合わず、強い圧力を感じさせる。
『マスター!空気に飲まれては行けません!』
一瞬本名をポロりとこぼしてしまいそうになったが既の所でアインが止めてくれた。
「い、いえ。ヴァルハラ⋅ワルキューレが僕の本名ですけれど…」
若干たどたどしくなってしまったが、なんとか口にして言えた。
「そうか。では、お前は何処所属の魔法少女だ?」
『マスター、ここで下手な嘘つくと後々面倒な事になりますので…』
「…解ってる…
僕は野良の魔法少女なので、特に所属は無いです。」
すると、突然目の前の子がさっきのような何か少し怪しい雰囲気の笑みをみせはじめた。
「…嘘をここでつかなかった事、誉めてあげる。
だって知っているからね。秋葉原でお前が戦っていたのを。」
その瞬間、僕は心臓が止まるような感覚を感じた。
…なんでそれを知ってる?…まさか、アラクネの事も…
「初め見た時は、普通よりも少しできる魔法少女かと思ってたら、フォルムチェンジに広範囲を攻撃できる武器を召喚し、敵を殲滅。
あの場を見ていたアタシは鳥肌が立ったよ。」
「……」
僕は途中から目の前の子が喋った事を聞き流しながら、この状況をどうするか、考えていた。
おそらくしゃべり方や態度からすると、取引をしたりするのはとても難しそうだ。
「…おーい、話聞いてるか?」
その子は僕が話を聞いていないのに気づいたようで、ジャンプしながら目の前で手を振る。
「安心しなよワルキューレちゃん。秋葉原の事は黙っていてあげるよ。」
その子はジャンプしながら耳元でそうささやく。
「つっ…それほんと!」
「けど、その代わりに今から言うアタシの出す条件を飲んで貰うね。」
その子はまるで悪魔のような笑みを浮かべながら、僕に問いかける。
「その条件は…今週土曜日に来てから言うね!
まぁ楽しみにしていてよ。」
そう言うと、その子は銀髪をなびかせながらこの場を去って行った。
「…ワタシ、全くの空気でした…」
一方、いつの間にか退出していた嘉多山さんは、帰り道三谷さんにそう呟いていたという。




