決闘1
次の日からは普通に授業があり、前よりも少し短くなった昼休み。
僕は翔大と一緒に食べようと誘おうと思ったが、どうやら魔法少女好きで集まって食事するようで、あの集団に入ろうとは全く思えなかった。
「…アイン、それで今日の決闘の時は武器とかウェアどれにするの?」
僕は校舎の裏辺りにある花壇で周りに人が居ない事を見計らって、短いけどアインと決闘の打ち合わせを始めた。
『私の考えている作戦としては、相手が白兵戦での戦闘だと思われるので、それに合わせた“ノーマル„か“フルプレートナイト„が良いと思われます。
理由としては、“ガンナー„は中、長距離からの攻撃を主眼に考案した物で、今回はおそらくそこまでフィールドは大きく無いと思われるので、除外した結果この二つのどちらかが良いと思われます。』
「…それで一番のお勧めは?」
『私のお勧めとしては、“フルプレートナイト„が一番かと思われます。
動作や機動力が低くなりますが、そこは防御力で十分対応しきれると昨日の戦闘で確認ができたので、お勧めをしました。』
「それじゃあ今回は“フルプレートナイト„にするとして、少し聞きたい事があるだけどさ…
模擬戦って本当に怪我とかしないの……」
僕はずっと気にかかっていた事をこの際に聞いてみた。
生まれてこの方模擬戦なんてした事内無いし、使うのだって怪人を倒す用の本物の武器だって言う。
もしも嘉多山さんに怪我をさせたら、あっちも怪我と攻撃を受けて怪我をした時の恐怖を植え付けてしまうし、僕だって相手を傷つけた罪悪感と、半無限に産み出せるこの武器の恐ろしさに恐怖し、こっちもトラウマを植え付けてしまうのが目に見えている。
『だから何度も言うように、少なくとも気を失ったり、かすり傷は残るかもしれませんが、腕が無くなるだとか死亡する事は、変身解除後に攻撃されなければあり得ません。
理由は前言ったのでもう言いませんからね!』
アインはそう呆れたようにあっさりと言った。
その後、五時間目と六時間目が終わり、二年生と三年生は部活があるが僕達一年は入部届けをどんなに早く提出しても、来週からしか本格参加できないので、基本的にはすぐみんな帰ってしまう。
「…心配だなぁ…」
『大丈夫ですマスター!絶対にこの決闘、あんな奴に負けませんから!』
けど、僕はアインの慰めは殆ど聞き流しており、初めての対人戦に心臓が高鳴っているのが自分でも解った。
『…マスター、緊張してるんですか?』
「…初めての対人戦だし、本当に…戦えるか心配で…」
『余り参考にならないかもしれませんが、大体の人が初めての対人戦が一番緊張するというアンケート結果がありますし、ここで乗りきれなければもしもの時に戦えなくなってしまいます。
私からはそれくらいしか言えません。頑張ってください。』
「…うん…」
僕の声は風に消えてしまいそうな返事で、駅に向かう足も普通より遅くなっているような気がしたが、それでも確実に近づいているのがなおのこと気を重くしていた。
そして、電車に揺られること十数分新宿についた。
新宿もそれなりに来る事は来るので、なんとなく場所は解る。
『…マスター、もうそろそろ変身した方が良いかと思われます。
近くのお手洗いを借りるなりして変身してください。』
「…わかった…」
簿はため息が出そうになるのを堪えながらも、本屋にある男女兼用のトイレの中で手早く変身し、アインに新宿支部への行き方をナビしてもらった。
とは言っても、変身した本屋からはそこまで距離は無く十分もしない内に地上六階建ての何の変哲も無い灰色のビルにたどり着いた。
「…あ、ヴァルハラちゃんじゃないっすか!
まさか、柳子様が今日決闘するって言ってたのは…」
「僕の事だと思います。」
ビルの玄関で会ったのは、変身はしていないものの髪の色意外は殆ど変わらない、先日秋葉原で一緒に戦ったメリアさんだった。
「あ、一応本名は三谷 那須烏って言うっす。
それにしても災難っすね。柳子様に目を付けられるなんて。」
「あ…あははは…」
僕は苦笑いをする位しか思い付かなかった。
「それじゃあ、地下の訓練室で柳子様が首を長くして待っておられるので、少し急いだ方が良いっすよ。
あの人せっかちなんで。」
そう言うと、三谷さんはいたずらっぽく笑いながら僕をビルの中へ招き入れた。




