敵襲?
2020年3月30日 ウェアの名前を書き加えました。
商店街の方はすぐそこなので、走れば三分もかからない。
途中ですれ違う人からは焦りの色が見られたので、アインの情報は本当のようだ。
『マスター、さらに敵の増援を確認。数が二体から五体に増えました。
方向からすると、こちらの索敵範囲外から来たと思われます。』
僕はその報告を聞きながら商店街の方をじっと見る。
敵はおそらく“バーバリアンキング„だ。しかも服装の色が赤色と青色の、違う奴がそれぞれ一体ずつと、それの取り巻きとして只のバーバリアンが四体。
『マスター、それといましがた完成した新ウェアと武器を装備してもらってよろしいですか?』
「うん、別にいいけど、どんな感じの装備なのさ。」
アインも最近色々な物沢山作るなぁ。
『簡単に言うと、パージ可能な全身鎧と、盾、中村さんの使っているような槍、それと小型銃内蔵の大型ランスに、専用の大剣“スカルモルド„をメイン武装として、身体能力と格闘系アシストにより、通常よりも格闘戦特化にしてあります。
ですが、その分射撃アシストは殆ど無くランスの銃もしょせん牽制用程度の物で、鎧も相当思いので機動力は下がってしまうのが問題点としてあげられます。』
そうすると、秋葉原で使った射撃戦特化の奴とは正反対のウェアなのか。
となると…また新しい服着ないといけないの嫌だなぁ。
そう言いながらも、新しいウェアは戦力アップになるから、背に腹は変えられない。
我慢するしかないのか……
「…アイン、その新ウェアをお願いして良い?武器は…任せる。」
『了解しました。』
僕がそう言うと、すぐに体を光が包み込み、今まで着ていたシンプルなワンピースから灰色の鎧になり、頭にも光に包まれ丸型の視界を覆わないタイプの鎧兜が装備されると同時に、長さ百五十センチを越える大剣が右手に握られる。
「おお…すごいね。」
『この“フルプレートナイト„ウェアの鎧は生半可な攻撃は全く通さない分厚い装甲と、敵を確実に叩き斬る大型の剣。
…鎧を装備した時機動力の低下は目をつぶってもらえば、今現在一番の防御力を誇ります。
ですが、今回みたいにたかがバーバリアン数体程度であれば余裕です。』
僕はアインの自信満々の説明を聞きながら大剣を両手持ちにして、商店街にいるバーバリアン達に向かって駆け出す。
勿論バーバリアン達はそれに気づいて、キングの方は火と水の玉を飛ばして来るが、普段よりも遅く感じヒョイと簡単に避け、前衛のノーマルバーバリアンが槍を構えこちらに向かって来る。
けれど槍の長さは僕の持つ大剣よりも少し長い程度なので、避けた直後には敵の体に剣が入り、二つに分ける。
『左右からまもなく攻撃してきます!』
僕はその声を聞いて数秒後、バーバリアンの槍を胴体を少し動かして回避した後、左から右へ大きく剣を横凪ぎに降った。
二体は腹部をおもいっきり斬られ、その場にバタリと倒れる。
ここで一息つきたかったが、そこに火の玉と水の玉が時間差で二発飛んで来るが、その場に少しだけ屈むことで避けれた。
「アイン、あれくらいだったら耐えきれる?」
『それどころか、ノーマルの状態でも余裕です。』
僕はアインのお墨付きをもらったので、魔法をどんどんと放ってくるバーバリアンキングのいる八百屋の近くに向かって駆け出す。
奴らは僕を虚ろな目でじっと見ながら的確に容赦無く魔法を飛ばすが、全ての攻撃が当たった後に消滅していく。
その光景を見た敵は後退しながらもなお最後の抵抗と言わんばかりに飛ばす。
「うおぁぁぁ!」
僕は剣の届く範囲に敵の一体を捉えると、空を切る音を鳴らしながら振り下ろし、肩から真っ二つにする。
その直後に敵の火の玉が飛んで来るが、肩に当たるだけで何の意味も無かった。
「……」
バーバリアンキングは一瞬目を見張り、すぐに背中を見せて逃げ出すが、そのさでは到底逃げ切れるものでは無かった。
僕は逃げるバーバリアンキングに追い討ちをかけようとしたその時、アインから報告があった。
『マスター、後方から未確認の反応が後ろより接近してきています!』
僕は咄嗟に後ろを振り向くとそこには、あの不審者の人が剣と丸型の盾を持ちながらこちらに向かって走って来ていた。




