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始まり3

扉を開けた先の廊下には、壁や柱に罅が入っていたり、コンクリートの欠片が至るところに落ちていて、崩壊してくる可能性も十分にあった。


「おじいさん、ここはもう持たないかも…」


「あいよ。とりあえず、お主と儂はここを進んだ先にある裏口から出る。

そこから先は近くにいると思われる敵に攻撃を仕掛けてくれ。」


「解った。」僕はそう言おうとしたが、ここで重要な事を思い出した。


「ちょっと待って!

僕魔法使えないし、武器も無いよ。まさか素手で殴り合うの?」


僕はおじいさんにそう言い、詰め寄った。


「言って無かったか?

そいつは音声認識で欲しい武器とかを言うと、AIが時計内部に記録された武器だったら造り出す事ができるぞ。

どうだ!無から有を造る。まさしく魔法だよこれが。」


おじいさんは鼻息を荒くして、興奮しながら僕にそう力説した。


「わ…解ったよおじいさん。

それで何が造れるの?」


『現在製作できるのは、刃渡り30センチのダガー、それとピストル。

どちらも対魔法生物用になっており、怪人や、魔法少女に大きな効果があります。』


内蔵されているAIは僕の質問に的確に答えるが、最後に言っていたことが心に引っ掛かった。


「ちょっと待って……それ魔法少女にも効いちゃうの?

て言うことは、もしも頭に当たったら……」


僕は、もしも当たったらという想像をしただけでも、一瞬で身体中の血の気が引くような感覚がする。


「何度目か解んなくなってきたが、お主本当に落ち着きが無いな。

さっき言ったが、魔法少女は、魔法攻撃に対する耐性は高い。


頭を撃たれても、衝撃で吹き飛ぶだけじゃし、その攻撃で変身が解けたとしても、やられた時体から放出される魔力で防御されるから、政府や野良の魔法少女と戦わなくてはいけなくなっても安心しろ。」


そんな事を話しているとすぐ近くで爆発音がした後、土煙に僕達は覆われた。


「ごほっ、ごほっ、ごほっ。

奴ら、もうすぐ近くまで来ているのか。しかもこの爆発からすると、やはり魔法が使える奴もいるな。

……情けないが、頼むぞお主。」


「おじいさんも気をつけてね。

あと、僕の名前は星谷光希だよ。また会ったときまで覚えていてね!」


僕は煙が来た方向に走りながら、振り向いておじいさんに手を振った。


おじいさんも手を振り返してくれたのが、少し嬉しかった。


やっぱりおじいさんは解りにくいけど優しい人なんだな。







僕は壊れたコンクリートの破片を踏み、落ちている段ボール箱をジャンプして避け、従業員用の押し扉を勢い良く開けて、建物の中にある広場に出た。


「キャャャャ!!」


その瞬間、僕の耳に幼い少女の叫び声が聞こえた。


叫び声の方向に目を向けると、外にいた先住民族の服装をしたのが2体が灰色の髪の少女を追いかけ回していた。


僕は咄嗟に相手の注意を惹き付けるために、落ちていたペットボトル飲料を投げつける。


ペットボトルは見事に敵の背中に当たり、怪人は飛んで来た方向を見て僕を見つけた。


さらにもう一本投げつけようとすると、怪人はもう一体の奴に何か指図すると、目標を少女から僕に変えた。


少女は僕の方を見ないで、一目散に逃げる。


「『召喚、ダガー』」


そう言うと、僕の右手のひら近くに小さな魔方陣が浮かび上がると、僕の手の中には一本の少し湾曲したダガーがあった。


『心拍数の上昇を確認。

マスター、ご安心ください。攻撃の命中補正はワタクシがやります。』


敵はいきなり飛び出してきた僕のことを警戒しているのか、まだ手を出してこない。


『敵データ照合完了。バーバリアンと断定。

バーバリアンには基本的に知能は高くなく、持っている武器を振り回す位しか取り柄はありません。』


僕は覚悟を決め、持っているダガーを握り締めて一番近くにいる槍を持っているバーバリアンの懐の中に入るために突撃する。


バーバリアンは僕が突撃して来るのを見て、即座に槍を突く。


「…遅い…」


僕はバーバリアンの一撃を体を少し捻れさせ回避。


そして、ダガーでバーバリアンの首を切った。


帰り血は浴びなかった。なぜなら怪人には血なんて元々無い、この世の生物とかけ離れた存在だからだ。


それでも、いくらこの世の生物とは違うとは言え、倒すのには罪悪感がのし掛かるが、今はおじいさんの言っていた「周りの人や、大切な人を守りたいのなら迷わず戦え」と言われたのを信じるしか無い。


それに、今は躊躇っていられるような状況では無いので、誰かを助けれるからと思い割り切るしかない。



もう一体のバーバリアンは、味方がやられたのを気にもせずに、隙を突くために槍を構え走って来る。


僕はその気迫に押されて一瞬後ろに下がってしまったが、ダガーを構え応戦の構えを取る。


敵は僕の腹辺りを刺そうと槍で突こうとする。


けれど、槍の動きは全然早く感じなかった。これも魔力によって反射能力が上がったからなのかもしれない。


結果、バーバリアンの一撃は難なく回避し、ダガーの間合いに入った敵の腹を思い切り刺し、右に引いた。


バーバリアンはほんの少しの間、動いていたが姿勢を崩して倒れた。


ダガーの性能が良かったのか、それとも、対魔法生物用だからか、分厚い肉を切ったのに、まるでカッターで少し厚い紙を切る位の抵抗しか無く、刃も別段欠けていたりしていなかった。


「なんてすごい性能なんだ…普通だったら折れても仕方ないのに。」


そう言いながらダガーを見つめる。装飾は何も無い少し無骨でシンプルな物だ。


『当たり前です。なんて言ったって、これは魔法生物を倒すのに特化した武器何ですから。』


AIはなんだか誇らしそうに言う。


機械だけどここまで感情が豊かなんだな、と思っているといきなり爆発音と少しの揺れを感じた。


『マスター、外に敵の出現を確認しました!』


「AIちゃん!敵の位置教えて!ここにあんな子供がいたんだから、外にまだ逃げ遅れた人がいるかもしれないから!」







次からは週一月曜日に投稿になります

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