災難
入学式が終った後、僕と翔大は昼ご飯を外で済ませることにした。
ちなみに、卯月も今日は予定が入っているし昼は外食することをあらかじめ伝えておいたので、卯月がご飯を作ってあるということは無い。
「とりあえず翔大何食べる?」
「ハンバーガーか、ラーメンかパスタ辺りでいいんじゃね?」
ということで、僕と翔大は量と安さ重視でなおかつお財布に優しいラーメン屋に行くことにした。
「…それでさ、光希。お前部活動何入る?」
ラーメンをすすりながら翔大と話していると、ふとそんな話になった。
「とりあえず候補としては…やっぱり、生物科学部に入ろうかなぁ。
虫は触ったりするのはあんまり好きじゃないけど、実験とか結構やるらしいから気になって、ボランティアは今までやった事なかったからこういう機会にやってみようかなって思って。」
ちなみにアラクネと戦った時は例外で殆ど虫本体ではなく人間の方を極力見ようと意識していたお陰で直接見続けるよりかは幾分ましだった。
…それでもあの光景は夢に出てきそうで本当に怖かったのが本音だ。
「へぇ、そうなのか。
ちなみに俺はやっぱり魔法少女研究部だな!まさかあるなんて思ってなかったけど、まさかあるなんて俺運いいなぁ!」
「あはは…」
翔大はいつも通りのマイペースを貫き通していた。
「じゃあな!また明日学校で会おうな。」
「うん、じゃあね。また明日。」
僕はこのあと秋葉原で買い損ねた本を買うために、翔大とは駅前で別れて、本屋に向かう。
しかし、そこで思わぬ人と遭遇してしまった。
「それでさあ、ちょっと前にここでめっちゃ可愛い女の子とぶつかったんだよ。」
「それマジ!どんな感じの子?」
数日前に僕とぶつかったあのナンパしてきた男の人。しかも取り巻きみたいなのが三人……
僕は目をつけられないようにすぐさま脇道に反れて逃げる。
『マスターも大変ですね。』
アインがふと呟くようにそう言う。
「…共感してもらえる人がいるだけで僕は嬉しいよ。」
そんな感じでハプニングがあったものの、無事に本屋についた。
僕は店内に入ると、早速マンガコーナーで目当ての物を探していると、明らかに体格と合っていないような少しダボダボのコートにマスクとサングラスを付けた怪しげな人が何かを探している。
その人は一応、その金色の髪が長いことから、女性なのだということが想像できるが、それ以外は全く思い付かない。
距離をとるように、会計カウンター前のお菓子売り場に避難した所で、そんな話が聞こえてきた。
「…店長、通報します?…」
「…いや待て、もしかすると何か武器を隠し持っているかもしれないから、もう少し様子を見てからにするぞ。」
距離をとるように、会計カウンター前のお菓子売り場に避難した所で、そんな話が聞こえてきた。
『マスター、逃げましょう。』
僕はアインに進められた通りに、面倒事になる前にちゃっちゃと逃げる事にしようとしたが、運が良いんだか悪いんだか警報が鳴りはじめる。
「あぁもう!何でこんなときにっ!」
すると突然、あの怪しい格好をした不審者の人が突然本屋から駆け出して行く。
『マスター、どうします。』
「…秋葉原の件もあるし、あんまり目だった行動はしたくないから、誰か襲われていたりしたら変身するってことで、ちゃっちゃと逃げますか。」
僕は最寄りのシェルターのある駅に向かうことにしたが、ここで少し遠くの方から叫び声が聞こえて来る。
これは商店街の方だ。
『マスター、駅とは反対の方向に敵の反応を確認。
どうやら今まで魔法少女と思っていた信号は、怪人の物だったようですね。
数が三体ほどなので、あの三人組かと思い注意を怠ってしまいました。
…申し訳ありません。サポートAI失格です…』
僕はアインの話を聞きながら、ポリバケツが置いてある裏路地に入り、変身する。
「それよりも他には敵はいる。」
『敵は駅の方に五体ほどいますが、他の魔法少女が対応していると思われます。
それで、先ほどの叫び声の方向ですが、駅の方とはちょうど反対の方向の商店街にいます。』
「それだったら人に被害が出る前に急がないと!」
僕はアインが言っていた、駅付近の商店街に向かう。




