秋葉原防衛戦
僕は戦場となってしまった秋葉原の町を駆ける。
『左側からガルムが十体、それにバーバリアンが隠れています。』
「了解、アイン!」
僕は両方の手にマシンガンを持つ。
どちらの武器も、反動が小さくなおかつ衝撃にも耐えられる強靭な肉体を持っているからこその芸当だ。
「食らえぇ!」
そう言いながら引き金を長押ししながら乱射に近い攻撃の仕方をする。
マシンガンから出てくる薄い赤色の弾は接近してくる敵の頭を、胴体を、手を、足を、まるで蒸発されるかのように体の一部が消えて無くなっていき、三十秒ほどの掃射で敵は壊滅まで追い込まれ、傷つき生き残ったガルムは逃げた。
『マスター敵の反応が今も増えて続けており、また付近から送り込まれた政府の魔法少女や、一部野良の魔法少女が掃討に出ているため、敵と味方の識別が難しくなっています。
そのため、こちらでも警戒はしますが、マスターも周囲に気を配ってください。』
「そこまで増えてるって…
…来た!空から鳥みたいな人間と、なんか小さい悪魔の集団が!」
そいつらは、この秋葉原の空を自由に飛び回り時折建物を破壊しながら悠々と飛び、僕を見つけたことで狙いを変えて、確実にこっちに来ている。
『…データ照合完了。
ハーピーとグレムリンと思われます。それぞれ五体です。
ハーピーの方は足の爪などでの格闘戦をして、グレムリンの方は風魔法による近距離援護攻撃をしてきます。
中々厄介な組み合わせですね。
そうなると、マシンガンだと威力が低くなりすぎるので、ライフルにします。』
すると、両手に持っているマシンガンが光りの粒になり、その後右手にはライフルが握られていた。
僕はライフルのスコープを覗き、狙い大まかの狙いを定める。
こんな風に狙いを付けて撃つことは敵がそもそもここまで離れていることが無かったし、そもそも戦闘経験が足りていない。
当たるか緊張して汗が少し出るが、そんなのを気にしている余裕は無かった。
「そこッ!」
僕は射線上に出てきたハーピーの羽を撃ち抜いた。
撃たれたハーピーは姿勢を崩して地面へと落ちて行った。
「よしっ!」
『マスター喜ぶのはまだ早いです。敵はまだ九体います。』
喜びのつかの間、アインにそう言われまたスコープを覗く。
けれど、敵は散開して尚且つ右へ左へフラフラと飛ぶようにして、狙い撃ちされないようにしている。
「くっ…」
狙いを付けて何度か撃つが、回避されてしまう。
そうこうしていると、グレムリンの一体が半透明なブーメランみたいな物を飛ばしてきた。
僕はその攻撃をなんとか回避できた。
しかし、その避けた先にもまた飛ばしてきたので、避けれないで僕の右腕に当たってしまった。
「痛ッ!」
『ウインドカッター。
威力はそこまでではありませんが、連射できるのが特徴です。』
アインの説明を聞きながら、何発も飛んで来るウインドカッターを避け、路地裏みたいな所に一時逃げ込む。
当たった所を見るが、特に何ともなっていなかった。
「アイン、何かこの状況を打開できる良いアイデアある?」
『この戦況からすると、何時来るか解らない他の魔法少女を待つか、連射性の高いピストルによる射撃により撃ち落とす。
この二つが解決案として上げられます。
ですが、他の魔法少女が来るまでの時間が解らないうえに、マスターの目的は“門„の破壊なので、待っている時間も惜しいので、私は後者をオススメします。
さらに言えば、敵もこちらに接近していると思われるので、先ほどのように初弾以外は当たらないという事は無いと思われます。』
「…………よし。アイン、ピストル二丁ちょうだい。敵を撃ち落とす。」
『了解です。』
そうアインが言うと僕の左手にうっすらと光る少し複雑な魔法陣ができると、一瞬強いフラッシュのような現象が起こり、その後に両手にそれぞれ一丁ずつピストルが握られていた。
「アイン、敵はどこ辺りにいる?」
『敵の集団はまもなく三十メートル範囲内に入ります。』
僕は路地裏から飛び出し、空を見上げる。
ハーピーやグレムリン達も私に気づき、グレムリン達は魔法を使おうと、魔法陣を展開していた。
けれども、そのお陰でグレムリン達の動きは鈍くなり、ピストルでの攻撃がどんどんと当たる。
もちろん、グレムリン達も負けじと“ウインドカッター„を飛ばして来るが、見えにくいだけで避けるのも簡単だ。
だが、僕はグレムリンを撃ち落とすのに夢中になっていて、ハーピーの接近を許してしまった。
『マスター!左上から敵接近!』
「なっ…」
僕がそっちを見た時にはもう目と鼻の先までに迫っていた。
すかさず、ピストルを向けて撃とうとするが、それより先に左手を両足で捕まれた。