いざ秋葉原へ…(棒読み)2
福田さん達女性陣に一通り着せ替え人形にされた後、お昼になったので解放された。
「また来てね♪星谷ちゃん。」
僕は会釈だけして、急いでその場を離れた。
「光希。」
ビルの入り口には翔大が壁に寄りかかってニヤニヤしていた。
僕は殴りたくなる衝動を押さえながら、精一杯の怒りを込める。
「翔大!ニヤニヤするな!」
「おお、こわいこわい」
でも翔大はふざけたように返してきた。
「なんだよ、折角翔大のために来てやったのに。」
僕はむくれたように言うと、翔大はやっぱりヘラヘラしながらこう言う。
「お前、お人好しだからなぁ。頼み込めば大抵のことしてくれるよな。」
「…確かにそうかもしれないけど、それを利用し続けるのも問題あると思うんだけど。」
「でも、その代わりに飯とか本買ってやってるだろ?
お前は飯や本を奢ってもらう。その代わりに俺は福田さんら女性グループに袋叩きに合わない。
ウィンウィンの関係だと思うけど?」
「う…」
確かに、翔大に奢ってもらっているお陰で助かっている部分も結構あるから、それ以上僕は何も言えなかった。
「…チョロ過ぎ…」
翔大が小さな声で何か言ってたようだけど、僕には聞こえなかった。
魔法少女研究会を出て向かった先は、僕が「本を奢ってほしい」と言ったので、ここ辺り近辺で一番大きい本屋に向かう。
この町は、五年前の怪人出現の時に都内で唯一発生した所で、多くの死傷者が出て、町も結構壊されたと言うのにこんな短期間で町も人通りも戻るとは凄いことだ。
「光希、なにボーッとしてんだよ!」
横から翔大が僕の横っ腹を突っつく。
「うひゃ!やめてよ!」
「ホントお前面白い反応するわ!」
翔大がちょっかいを出して、僕が撃退するのを繰り返していると、すぐに本屋が入っている大きなビルの入り口が見えた。
「星谷、俺は適当にフラフラしてるから決まったら探してくれ。」
そう言って、とっとと行ってしまった。
僕はため息を吐きながらも、それなりに人が沢山いる本屋の中に入った。
電子書籍が普及してから何十年と経過したが、今現物の本がまた人気を盛り返している。
僕の産まれた頃も普通に電子書籍も使われていたが、自分の手でページをめくるのが僕的には好きだからこうして、本屋に寄っている。
まず一番先に向かうのはやっぱりコミックコーナー。
人気の連載マンガとかが沢山あり、なんだかワクワクする。
『マスター、さっきとは打って変わって楽しそうですね。』
「わざわざ福田さん達に遊ばれるのを我慢したご褒美みたいな感じだからね。」
あの魔法少女研究会に素直に行くのは、本かご飯奢るとかの代価があるからだ。
僕はとりあえず今読み進めているマンガを数札持ってきたカゴの中に入れ、今度はライトノベル売り場に行く。
その時、ふと窓から見えるビルの外が騒がしいことに気づいた。
まるで何かから逃げるように人が走ってる?……
僕は急いで窓に近づき外を眺める。
そこに広がっていた光景はバーバリーアンが槍や剣と盾を持って人を追いかけている様子だった。
僕はすぐに本屋を走って出ながら、変身しようと口を開けようとする。
『マスター!ここで不特定多数の人間に貴方の変身姿を見せる訳にはいけません!
変身するのでしたら、せめて人目の付かない所で!』
「くっ……」
僕は目を細め、急いで男子トイレに駆け込む。
幸いな事に人は居なかった。
「アイン頼んだ!『変身』!」
そう叫ぶと、体を光が包み、着ている緑色の長袖の長袖にジーパンが一瞬でシンプルな純白長袖ワンピースになる。
何時着ても恥ずかしい。
だけど、今この近くで怪人に対抗できるのは僕だけなんだ。
『マスター、それと新武装“対魔法生物用ライフル„とこちらはまだ改善の余地のある代物ですが“対魔法生物用低出力マシンガン„の設計が終わりました。』
「ありがとうアイン。それじゃ、行くよ!」
僕はトイレから出て、ビルの外へ出る。
外は解ってはいたが、バーバリーアンが何十体も居る。
『マスター、この場合はマシンガンが有効です。』
そう聞こえた直後、僕の手にはエアガンとかでよくありそうなマシンガンが握られていた。
「くらって!」
僕はマシンガンの引き金を長押しをしながら、左から右へ掃射される。
銃口からは幾つもの赤い光が吐き出され、頭部や胴体に当たっていくが、いくら弱いとは言え、バーバリーアンは一発当たった位ではやられない。
けれど、こちらの圧倒的な連射能力の前にどんどんと倒れていく。
でも、その中の一体だけは盾で防して持ちこたえる。
『マスター、今度は威力の高いライフルが良いです。』
今度は、持っているマシンガンが消えて、その後にマシンガンとは形が大きく違う銃があった。
おそらくこれがライフルなのだろうが、何かの機会で見たサバイバルゲームとかの特集に載ってたようなライフルの形とは大きくかけ離れていた。
けれども、今はそんなことに気を向けている時では無いので、急いで生き残りのバーバリアンに向けて、銃口を向ける。
相手は盾を構えながら僕に突進して来るのが見える。
『マスター、あれくらいの盾でしたら貫通させれます。』
「了解。」
僕はライフルをただ両手で構え、狙いを付けて撃つ。
後で調べた事だけど、ライフルにはちゃんとした構え方があるらしいが、それを知らない僕は我流で撃っていたらしい。
けど、反動とかは元々ほぼ無いらしいし、身体能力とアインの優秀な射撃補正のお陰で狙いはほぼ当たっているから結果オーライとしよう。
ライフルから放たれた魔力は真っ直ぐに進み、盾に穴を開けても速度は変わらずにバーバリアンの胸板を貫き、倒れる。
『敵はこの町の数ヶ所に現れている事から、“門„が開いていると思われます。』
門_五年前の怪人出現と共に現れた穴。
その中の中から怪人が現れている。
門は基本的には魔力を少しでも纏っている武器や魔法が当たるだけで、崩壊する脆い物だ。
しかし、門の発生する原因は解っておらず、門の中には誰も行ったことは無いので、門の先には何が広がっているのかは誰も知らない。_
「それじゃあアイン、急いで門を潰すよ!」
『了解。マスターを全力でサポートされていただきます。』