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帰還

僕は卯月達と別れた後、すぐに近くの建物の影に隠れて変身を解く。


「なんとも濃い一日だった……」


武器のデータを取るために家に出た後、ナンパされて卯月達に救われて。


その後は戦闘に参加して、新しい武器を創ってもらって、それで一段落したのがもう四時半。


でも、卯月が普段どんな人と遊んでるかも知れたし、新しい友達もできたから決して無駄では無かったと思う。


『マスター、本日もお疲れ様です。』


「ありがと。」


僕は小声でそう言い、建物の影から出た。


「にいさん?」


でも僕とアインはうっかりしていた。


卯月が近くにいたことだ。


「あ、ああ。卯月か…」


「にいさん、どうかしたんですか?」


卯月は首を傾げながら僕をじっと見つめる。


僕は若干テンパりながらも返事を返す。


「いや、何でもない。」


でも卯月は納得していないのか、ジト目で僕を見てくる。


「にいさん何か隠してないですか?

そもそも何でこんな路地裏から出てきたんですか?」


僕は苦笑いしながら場を濁す。

それでも時間稼ぎにも余りならない。


「に、い、さ、ん。」


「うぅ…モフモフしてそうな猫を見つけて追いかけていたら、ここにたどり着いたんだよ…」


「ふぅん……」


卯月は僕の嘘に納得したのか、追及はしてこなかった。


「そ、それより今日のご飯どうするの?」


このままだと、またこの話をされるかもしれないから話を変える。


「今日は梅の筑前煮と焼き魚だよ。」


でもそれ以上話が続かなかった。


なんだか気まずいような空気が流れる。


「……にいさん今日私新しい友達ができた」


そんな空気を打ち破るように卯月が今日あったこと話し始める。


「家を出た後、深雪ちゃんと春香ちゃんと町の商店街とか色々な所を回って買い物したの。

それで終わった後にマスタードーナツに向かっていたの。」


僕は相づちをしながら卯月の話を聞く。


「それで向かっている時にね、男の人に絡まれている私よりも二歳位歳上の女の子が絡まれてたの。」


新しい友達の下りからなんとなく解ってたけど、やっぱり僕のこと話してるよ…


すごい恥ずかしい。


「その子はヴァルハラさんって言う人で、とってもキレイな人だった。

顔もキリってしていて、光が当たると髪がシルクみたいに見えて、出る所は出ていて……

私は足元にも及ばない位に凄い人だった。」


卯月の話を聞いているとさらに恥ずかしくなる。


…顔から火が出ちゃいそうだ。


「……きっとその人も綺麗な人かもしれないけど、卯月はとっても可愛いよ。」


卯月にこれ以上褒めさせると本当に僕が恥ずかし過ぎて死ぬ。ということで、またも話を反らすために卯月を褒める。動機が不純過ぎるけど。


でも今僕が言ったことは紛れもない僕の本心だ。


「にいさん……」


卯月は話すのを止めて、僕と目を合わせないようにする。


そこからまたも微妙な空気が流れ始めたので、僕達は一言も話さないで帰った。


とりあえずは羞恥心で死ぬことは避けられたから良かったとしよう。






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