共同戦線
「アイン、敵の位置解る?」
『敵はここから次の交差点を右に曲がり、約三百メートル直進した所に数が最低でも五体います。』
「了解した!」
僕は走る速さを上げて、次の交差点を左に曲がった。
信号無視をしてしまったけど、運よく車も来てなかったから良いよね?
でもよい子のみんなはしてはいけないぞ!
『マスター、武器はどうしますか?』
目的地と思われる所の近くまで来て、戦闘が見えるようになった。
卯月は後衛で炎系の魔法をちょくちょく飛ばしていて、近藤さんは剣を持って戦い、中村さんは槍を持って戦ってた。
ちなみに、近藤さんや中村さんの武器はおそらく、召喚魔法と言われる物で召喚された物で、体にある魔力が多ければ多いほど強い武器が呼べる魔法だ。
「とりあえず武器はピストルをお願い!後衛が足りて無いと思うから。
それにしても、疑っていた訳じゃ無いけど、あの二人やっぱり魔法少女だったんだ。」
近藤さんや中村さんも、卯月が着ているドレスと色以外はそっくりな少しメルヘンなドレスを着て戦っている。
『マスターは気づかなかったんですか?』
アインの若干呆れたような声が聞こえたと同時に、僕の手にはピストルがもうできていた。
「戦闘アシスト今回もよろしくね。」
『了解です、マスター。』
戦闘が近くに見えてくるにつれて、状況が解って来た。
バーバリアンが十体に中型犬位の大きさの犬が五匹。
戦闘は膠着状態のようで、バーバリアンの方は難なく倒せているが、犬の方は回避されていたり、その機動力を生かして高速で接近して襲っているが、こちらも回避や、武器での防御をされている。
「アイン、射程距離内に敵いる?」
『ガルムが一匹います。卯月さんの後ろの木の影。』
僕は卯月の近くを見てみると確かに伏せるように歩いている。
そいつを僕は狙いをつけて引き金を引く。
ピストルから出た閃光は見事ガルムと呼ばれた犬の胴体に当たった。
けれど、仕留めきれなくて弱りながらもこっちに向かってくる。
僕は再度狙いをつけて引き金を引いた。
こんどは目と目の間に当たり、倒れた。
「ヴァルハラさん!何でここに!」
卯月がそう言うと、二人が振り向く。
「危ない!」
しかし、その隙を付こうと一匹のガルムが目を離した近藤さんに飛びかかろう走ってきている!
僕はすぐに狙いをつけて、ピストルを撃つ。
「キャイン!」
ピストルの魔力はガルムの頭に当たり、倒れた。
「それは後で説明するから、今は戦闘に集中!」
僕は草むらから出てきたバーバリアンの顔を撃って倒す。
「…そうだね。深雪に春香、目の前の敵に集中して!」
「了解したよ!」
「了解!」
二人はそれぞれ近くの敵に斬りかかった。
「ヴァルハラさん、後で説明してもらいますからね。」
僕は頷くと、ピストルで中村さんの攻撃を紙一重で避けたガルムを撃った。
回避直後で避けきれなかったガルムの首を光が貫通する。
「ヴァルちゃんナイス!」
『マスター、敵の増援です。数はバーバリアンが十体。
残った敵も、増援も大したことは無いので、戦闘データを取るためにダガーも使ってください。』
そう言うと魔方陣が僕の左手にできたあと、ダガーができた。
「敵の増援!バーバリアンが十体。ヴァルハラさん、あともう少しです。」
「星谷さん、いきなりだけど僕は前衛に行くから。」
「え……まあ良いですが…」
おそらくこのチームのリーダーっぽい、卯月の許可を取って近藤さんと並ぶ。
「ヴァルちゃんどしたの?」
後衛だった僕がいきなりこんな前に出てきたから、疑問なんだろう。
「いきなりですが、僕も前衛をやらせてもらいます。」
僕がそう言うと、近藤さんも中村さんも目を丸くしている。
「へっ…でもヴァルちゃんは後衛だったよね?」
「接近戦用のダガーを一応作れる。迷惑はかけないようにするから安心して。」
そう言うと、僕はバーバリアンの集団に突っ込む。
「ちょっと!ヴァルちゃん危ないわよ!」
後ろで中村さんが叫ぶように止るが、それを聞かないでダガーを右手に、左手にピストルを持ちかえる。
バーバリアン達は槍を構え襲いかかる。
敵はタイミングを会わせたりはしないが群がるように僕によってくる。
しかしバーバリアンの攻撃は単調で、一回避ければすぐに接近して倒せる。
僕は回避して敵の懐に入り、首や胸の辺りを斬りつけて倒して、たまにピストルでダメージを与えてから倒すを繰り返して、ほんの数分で全滅させた。