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始まり

数ヶ月前から考えて、書いていた作品です。


どうかお付き合いしてもらえると嬉しいです。


※2020年1月4日一部書き足しました。

僕が寝ているベッドの近くにあるカーテンから光が眠りを邪魔するよう良い感じに差し込んできた。


僕の名前は星谷ほしたに 光希みつき女顔がコンプレックスの今年高校生になる一応まだ中学生3年生だ。


「…んん…あさぁ…起きなきゃ…」


僕はゆっくりとベッドからモゾモゾと動いてからゆっくりと立ち上がると、部屋の扉を開け、階段をえっちらほっちら目を擦りながら降りおわり、短い廊下を歩いてリビングに入った。


リビングの中はなんだか香ばしいような匂いが少ししていた。


「にいさん、おはよう!」


「…おはよう、卯月。」


リビングのキッチンで料理をしているのは、サラサラとした長い髪に少し幼さを残した顔、胸はそんなに大きく無いがそれが清楚感を出している少女、それが今年3年生になる義妹の星谷 卯月。


卯月は交通事故で家族をみんな失ってしまい、弟だった僕のお父さんの所に引き取られた子だ。


始め来た頃は俯いてばかりだったが、今はそんな姿は見せずに何時も仕事に忙しい両親に代わってご飯を作ってくれる優しくて少し内気な性格の可愛い妹だ。


「今日の朝食はベーコンエッグサンドですよ。」


卯月は僕が座っているテーブルの上にベーコンエッグサンドを置いた後、僕の向かい側の席に座った。


「いただきます。」


「どうぞ召し上がれ。」


ハムエッグトーストを頬張る。

中からはカリカリに焼かれた美味しいベーコンと熱々の半熟の黄身が口に広がる。


「にいさん、美味しい?」


卯月は僕の顔をニコニコとした表情で見つめていた。


「うん、とっても美味しいよ。特に僕が好きな半熟卵にしているのが良かった。」


「それはもちろん数年間にいさんにご飯を作っていたから好みくらい解りますよ。

それよりも!今日は私と一緒にショッピングモールに行く日って事忘れていませんよね?食べ終わったら着替えて早く行きましょう!」


「わかった、わかった。だから少し待ってよ。」


僕は少し急いでベーコンエッグサンドを頬張って食べ終わった後、自室に戻り、急いで着替え始めた。

もう三月も最後の週だと言うのにまだまだ寒い日が続いていて少し着替えるのが億劫だ。


「にいさん早く早く!」


「解ったら少し待ってよ。」












家から一緒に出た僕達は歩きで大型ショッピングモールへ向かっていた。


僕達は東京の西の方に小さい頃から住んでいて、首都のように人で溢れ返る事は無いが、近くにマンションやアパートがあるため近隣に住んでいる人達が多くいる繁華街。


さらに今日は休みの日だからか、駅近くのロータリーにはいつもより二倍くらいの人が歩いていた。


「にいさん、着いたら専門店街に行こう。」


「はいよ。じゃあその時本屋に寄って良い?」


「別に良いけど、少し後になるよ?」


「そんなこと大して気にならないから大丈夫だよ。」


僕がそう言うと、卯月は「ありがと」と一言。


僕が「どういたしまして」と言おうとした時、「うぅぅぅぅ………」と低いサイレンの音が聞こえて来るとほぼ同時に卯月の腕時計型のケータイが音楽とバイブレーションを鳴らし始めた。


「……何でこんな日に……」


卯月は女の子があんまりしてはいけなさそうな表情を浮かべる。


このサイレンの音は怪人と呼ばれる生き物が半径一キロ圏内に出現したと通報があった時に鳴るサイレンだ。


怪人_五年前に世界中で起きた地震の直後から現れた謎の生命体。

一応怪人とは言われているが、人の形をしていないのも多く、さらに個体差は有るものの、当時も今も怪人に対して現代兵器はほぼ効かなく、軍隊_日本では自衛隊_が毎日のように出動しても被害が食い止められず、一時は世界の終焉だと騒がれた事もあった。



「…にいさん……」


卯月は申し訳無さそうな表情をしながら僕の方を見た。


「……行ってきな。連絡も来ているんでしょ。」


僕は卯月を見つめながらそう言った。


「でも……」


「大丈夫、きっとこっちに来る前に卯月がみんな倒してくれると思うし、最悪何かあった時はちゃんと逃げるから安心して。」


卯月は一応納得したようで、変身しようとするが見られているのが恥ずかしいのか、頬が少し赤く染まった。


「解った。じゃあ…『炎の精霊達よ 私に力と加護を!変身』」


その時、卯月の周りに沢山の火の玉が現れ体の中に入って行く。


それだけ見るとただの怪奇現象で、普通なら命の危険を感じると思うが、卯月も僕も驚かない。


するとさっきまでは白いスカートに少し厚手のジャンパーを羽織っていた姿が、ピンク色フリルの付いたスカートに、所々に赤い宝石のような物がちりばめられたまるでドレスのような服に変化した。


その姿を何度も見ているが、何時見てもとっても美しく、まさに炎の精霊だ。


魔法少女_怪人の出現と同時に、一部の魔力と呼ばれる謎物質を体に一定以上取り込むことのできる十代から三十代の少女と女性達で、その名の通り魔法を使い怪人達と戦う今の人類の救世主。

彼女らが居なければ、人類は滅んでいたと言っても過言では無い。


ちなみに、彼女達の魔法は魔力と呼ばれる特殊な微粒子が怪人の出現と同時に世界中に蒔かれたことによって、魔力を体内に貯められる女性が俗に言う魔法少女のこと。


その貯まった魔力を上手く使えるようになると、卯月がやったような変身や魔法攻撃などの摩訶不思議な現象を起こすことが可能になった。


ちなみに、卯月が言うには「体に魔力があれば基本的には誰でも使えるはず」と言ってる。


本当かどうかは解らないが。


「にいさん、ここに居てね。すぐに終わらせるから安心して。」


そう言うと卯月は人混みを縫うように走り、あっという間に見えなくなってしまった。


周りにいた人達は近くに魔法少女がいるからか、落ち着いて町の至る所に設置されている地下シェルターにどんどんと入って行った。


僕も最寄りのシェルターに入るために並ぼうとしたその時、シュウッという音が微かに聞こえた後


ドコォォォ!!


並んでいる列の前の方で大きな爆発音と衝撃波、土煙が僕達を襲った。


「流れ弾…そんなに近くで戦っているの?」


僕はそう呟きながら目を細めた。


そして土煙が晴れるとそこには、先住民族のような服装に槍や剣のような物を持った灰色の肌をした人間が4人と、杖を持ち冠を被った老人のような人がゆっくりと歩いて来ていた。


「…怪人だ!みんな逃げろ!」


集団の中の誰かがそう叫ぶと、茫然としていた人達は我に返り逃げ始めた。

中にはパニックを起こして泣き叫ぶような声を上げながら逃げる人もいる。


僕も人が沢山逃げていなさそうな方向に走ろうとしたが、人の波に揉まれて結果的にショッピングモールの方向へ流されてしまった。











「はぁはぁはぁ…なんとか脱出できた。」


僕は十数分もの間、人の波にもみくちゃにされて流された後、結局今日行く予定だったショッピングモールの一階にある、広いエントランスにたどり着いた。


そこではシェルターに入れなかった人が暗い顔をしながら沢山集まっていた。


僕はヘトヘトになっていて、あまり人の居ない階段の辺りで落ち着いて休むために人を避けながら最寄りの階段までゆっくりと歩く。


そんな中、従業員専用通路が開いているのが目についた。


確かに別にただ開いているだけだったら別に何とも思わないが、そこ辺りに赤い何かが床に擦れながら付いている。


僕は背中から汗が流れる感覚を感じながら唾をごくりと飲んだ。


僕は何だか嫌な予感もしたけど、それと同時に一応は保険委員会にも小中学校生活の中で5年間入っていたから、その場にある物で応急処置くらいはできるし、もしかするとこの先に傷ついている人がいるかもしれないと考えると、放っていけ無かった僕は、恐る恐るその赤い何かを辿って歩き出した。


その赤い何かはどんどんと量が増えてきていて、僕はさらに嫌な予感が増えていき、歩く速度も速くなった。


まさか死体が……


そんな事を考えると冷や汗が止まらなくなり、顔が真っ青になってしまいそうだった。


そんな不安を抱えながらも歩いて行くと赤い何かはいきなりそこで途切れていて、消えた地点の近くには扉があった。


僕は深呼吸をして息を整えると扉をゆっくりと開けた。


「誰だ!」


そこには一人の老人がロッカーを背にしながら拳銃を僕に向けていた。


しかし、体には擦り傷が至る所にあり、息は乱れ、そして脇の下辺りから赤黒いような血が流れていた。


そして背中に何かを隠すように銀色のケースを置いていた。


「こっちに近寄らずに今すぐ立ち去れ!」


老人は鬼のような形相で肩を怒らせながら、怒鳴る。


僕は一瞬ビクッとなってしまったが、引き出しから探して見つけた軍手にロッカーの一つから、キレイそうな大きめのエプロンと、机に置かれているペンたてからハサミを借りて、座りこんでいるおじいさんに近づいた。


「おいガキ、近づくなと……」


「怪我人を見捨てて立ち去れませんよ。

ほらおじいさん、傷口見せてください。それくらいの傷だったら応急処置でどうにかなりますから。」


僕がエプロンを良い感じの長さに手早く切り、長さが足りない事を想定して軍手が入っていた所から運良くあった小さい裁縫セットを借りて、長い一本の包帯を作っているのを見ると、おじいさんは少し困ったような表情を見せながらも、拳銃を自分の近くに置いて僕に傷口を見せてくれた。


「傷からすると最悪という訳でも無さそうですね。

ちょっと待っていてください。今すぐ作りますから。」


傷口は何故か血が沢山付いるが、血は流れて出ていなくてまるでそこに穴が開いているだけだった。


それでも、何時血がまた流れ出すのか解らない以上、圧迫するだけでも


「…なぜそこまでする?見ず知らずの人間で武器を構えてきたのに?」


おじいさんは僕の作業している手元を見ながらそう言った。


「なぜって言われても…さっき言った通り、怪我人を見捨てて行けませんし、何よりおじいさんは本当は僕に銃を撃つつもり無かったんでしょ?」


「なぜそう言い切れる?」


おじいさんは不思議そうな表情をしながらそう言うと僕は微笑みながら


「だって本当に撃つ気があったらすぐに撃ってきそうなのに、撃ってこなかったし何よりおじいさんは優しそうな雰囲気がしたから?」


僕がそう言うと、おじいさんはいきなり大声で笑い出した。


「かっかっかっかっ……

全く…そんなセリフ長く生きて来た中でもそんな事言ったやつはおらん。

お前、お人好しというか、ずいぶんと甘い奴だな!」


「……笑わないでくださいよ。僕はお人好しでも甘い奴はもありませんから。多分。」


僕は軍手を着けて、今日一度も使っていないキレイなハンカチで傷口を圧迫、その後包帯の代わりの細く切ったエプロンを手早く巻いた。


「…ふぅ、これで応急処置終了。

これで後は外が落ち着いたら病院に直ぐに行ってくださいね。あくまでただの応急処置な上に素人がやったんですからね。」


僕がおじいさんにそう釘を刺して立ち上がった。


「どこへ行く?」


「外の様子を少し見て、他の人に話を少し聞いて来るだけです。

すぐに戻って来て来ますから安心してくださいね。

そうだ、おじいさん喉乾いていません?ということで飲み物も買って来ます。」


僕がそう言うとおじいさんは申し訳無さそうな表情を見せるが、すぐに話を帰るように結構関係の無い話を始めた。


「そういえばお前、なぜここにいるのが解った?」


「何故って……だって血の跡がここまで続いていたから。」


僕がそう言うと、おじいさんは一瞬目を見開いたが、すぐに元に戻った。


「……おいお前これを…」


そう言って近くにあったバックから何かを取り出そうとした時


ドゴォオォォォォ!


爆発音と衝撃、その直後人の叫び声が辺りに響く。


「ちっ……もう嗅ぎ付けれたか。仕方がない…」


おじいさんはジュラルミンケースについている、番号式の南京錠を手早く開けた。


その中には手のひら程のサイズの二つの懐中時計があり、その一つの羽の付いた兜を着けた女性が彫られたシルバーの懐中時計を取り出すと僕の手に無理やり持たせた。


「え?何?」


「詳しく話している暇は済まないが無い。

この時計は人類と精霊族の技術の粋を集め作られた世界の希望。

しかしそれと同時に絶望ともなり得る代物でもある。

本当だったら託す者はもう少し時間をかけて考えたかったが致し方があるまい。

お主その懐中時計が開かないようにボタンを長押しして『変身』と言え。」


おじいさんからは何か迫る物を感じた僕は断る事も詳しく聞く事もせずに言う通りに懐中時計の蓋を指で押さえながらボタンを長押しして「『変身』」

と言った。


その瞬間、僕の視界は白い光に遮られ眩しさの余り目を瞑った。







今回、怪我人の応急治療が描写されていましたが、作者はそういうのは全く知らないので、誤りがあると思うので絶対に真似しないでください。


(それと誰でもいいので、このような場合の正しい応急処理の仕方を教えてください…お願いします。)

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