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2話 婚約者

午前の授業を終え昼食を取るべく食堂に向かう。

この学校には生徒全員が無料で使える食堂があり、メニューも豊富だ。

ただ昼の時間しか開いておらずその時間を逃せば無料のご飯は食べられない。

けれど食堂の隣には購買があり、こちらでは朝早くから夜遅くまで軽食からちょっとしたお菓子まで販売している為、時間外だとしても困ることはない。




食堂に向かう廊下の途中で見知った姿を見付けて私は声をかけた。


「ジェード様!」


こちらに気がつくとジェード様はふわりと笑みを浮かべて近付いてきてくれる。


私は婚約者であるジェード様と一緒に留学していた。

留学、と言っても学生として来たのは私だけでジェード様は護身術を教える教師として来ている。

彼はフォトン国でも腕の立つ騎士でその剣術は隣国でも評判がいいらしい。

『是非教師として未来を担っていく若者達に、護身術でいいから剣の扱いを教えてほしい!』とフローライト国の国王に頼まれたそうで、今回私と一緒にこの学校にお世話になる事が決まった。


「アリス様、これから昼食ですか?」


「はい!ジェード様は?」


「私もです。よろしければご一緒しても?」


「もちろんです!」


即答して頷くとジェード様はポンポンと優しく私の頭を撫でてくれる。

それが嬉しくてつい頬が緩んでしまう。



私とジェード様の婚約関係は極めて順調だ。

十歳ほど歳の差はあるが関係無いくらいお互いを大切に想っている。

二人きりになれば手を繋いだり、頭を撫でてもらったりするし時々抱き締めてもらったりとスキンシップもするのだけど…キスとかその辺の事は私が十八歳を過ぎてからと兄と父に約束させられているらしい。念書まで交わされたと聞いている。

ジェード様は真面目人なのでその約束をきちんと守っていた。



一応恋人っぽいことは出来てるし、大事にしてもらっているから不満はないけどちょっと不安はあるのよね……。



なんと言っても私の婚約者殿はモテるのだ。

隣国に来て知ったけれど彼の顔付きはこの国ではかなりの美形に分類されるらしく、すれ違う女子生徒達が頬を赤くしているのを見ると「この人は私の婚約者ですから!」と独占欲を露にしそうになる。

そんな子供みたいな事をして嫌われたくないので我慢してるけれど。


「どうかしましたか?」


「いえ、なんでもありません。ジェード様は今日から先生としてお仕事なさるのですよね?ジェード様の授業、楽しみにしてます」


「…あまり期待されても応えられるか分かりませんが、精一杯勤めさせていただきます」


そういって苦笑交じりに微笑むジェード様を見てまた数人の女子生徒が頬を染めていた。



本当にジェード様はおモテになります。


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