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19話 心霊現象

レイジとの話し合いを終えた後、リリと今後について相談する為私は彼女を寮の自室に招いていた。

メアリーに頼んで紅茶と軽食としてサンドイッチを用意してもらう。

メアリーには下がってもらい早速私は話を切り出した。


「リリはアンジュの魔法の事、知ってた?」


「全く知らなかったわ。ゲームの中じゃそんな設定無かったもの、そもそもこの国に存在する『魔法』の事だって一部のルートでしか明かされないものなのよ」


「それって王子のルート?」


レイジが動いてくれたようだからそうなのかと思い、聞いてみればリリは首を横に降り少し視線を落としてポツリと呟いた。


「………ユーイ…私の元婚約者のルートよ。今はアンジュの取り巻きになってるけど…ユーイは四大公爵家の一人でね、将来レイジ殿下と一緒に国を運営していく立場の人間だから色々詳しいの。だから彼のルートを選ぶと『魔法』の事を知る事ができるの」


目を伏せ微笑むリリに胸が締め付けられる気がした。

きっとリリはその相手の事が好きなのだろう…けれど、そのユーイとか言う奴はまんまとヒロインに攻略されてしまったのだ。

ぶっ飛ばしてやりたい……。


「……そんなことより『魔法』の力を手にいれたあの子が、何を企んでその力を使ったかが気になるわね」


ぱっと雰囲気を変える様に話題を戻したリリに、今度は私が目を伏せる番だった。


「…………アリス?」


目を伏せたまま言葉に詰まってしまった私を不審に思ったのか、リリは心配そうにこちらを見つめる。


「実は……」


私は言葉を選びながらジェード様がアンジュに狙われている事を話した、そして私とジェード様は婚約していることも。



「はぁ!?しんっじらんない!!マジ意味わかんないんだけどあの女!!あれだけイケメン侍らせて逆ハー作っておきながらまだ足りないって!?王女様の婚約者に堂々と手を出すとか何様!?ヒロイン様とでも言うつもりかしら!」


「どうどう、落ち着いてリリ」


「落ち着いてなんていられないわ。アリス、今から乗り込んであの女縛り上げましょう!」


ガタンと立ち上がり拳を握るリリを当てて宥める、感情のままにそんな事をしても何も解決しないのだ。

とにかく今は少しでも彼女に関する正確な情報を集めて、証拠を集めなければならない。その為にレイジだって動いてくれているのだから。


「リリ、私は大丈夫だから。今はまだ証拠とかいろいろ足りてないもの。追い詰めるのはもう少し待って」


「アリスはそれでいいの?」


「感情的になったって良いことは何もないもの。なら確実に証拠を掴んで逃げられないようにしてから仕留めた方が確実でしょ?逃げ道なんて残さないわ」


そう言って私が微笑むとリリは目を瞬かせ大人しく椅子に座る。


「アリスって意外と容赦ないわよね…」


「そう?」


そんなつもりはない、ただジェード様を誰にも渡したくないだけだ。

首をかしげる私にリリが何とも言えない微妙な表情を浮かべた瞬間、カチャンと音がしてテーブルからティースプーンが落ちた。

それを見た瞬間、私達は動きを止める。


誰も触っていない、ぶつかることもない位置にあったティースプーンが勝手に落ちたのだ。


「………リリ…今、これ勝手に落ちなかった?」


「や、止めてよ!私そういうの苦手なのっ!何かの弾みで落ちただけよ、きっと」


気のせいにしようとするリリだが、そんな彼女の言葉を否定するように今度は反対側からまた音がした。

今度は少し重く、ドサリと。

反射的にそちらを振り返ると壁際にあった本棚から一冊の本が床に落ちている。

その本はしっかり棚に収まっていたはずだ、何かの弾みで落ちるような場所には無かった。絶対に。


「………っ」


分かりやすく青ざめたリリはガタンと椅子をひっくり返して私にすがり付いてくる。

その手に自分の手を添えながら本が落ちた場所をじっと見つめていると、ゆらりと何もない空間が揺れて白い影の様なものが現れた。


「ひっ…!」

「姫様!何事ですか!!」


私が叫ぶより早くドアを開けてモップを手にしたメアリーが飛び込んできた。


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