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コンセント·コンセプト  作者: なつミカン
2章 敵だらけの劇場
22/75

計画通り

今回短いです、ごめんなさい

「あっちゃ~~~~! 一発KO! 良い感じの展開だったのになぁ!」


「あのプラグは……間違えて実戦用のプラグが混ざりこんでいたのでしょうか」




 同時刻、ギャラリーでは数人の上位戦闘員と中位戦闘員がカリヤとタイガの顛末を見ていた。

 つまりはギャラリーの前の方だけではなく、後ろの方で悠々と傍観していた面々までどよめいていた。




「あいつ、すげぇ速さで懐に飛び込んだぞ……」


「あのちっちゃい子もすごーい! あんなにハンマーが大きくなるなんて!」



 彼らが注視していたのは、タイガの俊敏さとその資質。そして、カリヤの意外性のある資質だ。


 資質とは本来、いかに使いこなせるかにも寄るが、実際は持って生まれた資質の基礎量次第で大方善し悪しがはっきりと分かれる。

 資質が良ければ大きく、鋭く、速く、重く、便利なプラグを手にすることができ、

 資質が悪ければ小さく、鈍く、遅く、軽く、不便やプラグしか扱えない。


 いわゆる、使いこなせるかどうかというのは本人の器量や技術によるということだ。



 カリヤの手にした物がなんであれ、肥大化する瞬間を目の当たりにした戦闘員達はカリヤの資質が良いものだと勘違いした。



 つまりはこれが狙いだったわけである。





 (実際は巨大化したのではなく、元のサイズがあの大きさなのよね)

 実質、プラグを展開した途端に肥大化するだけのハンマーであり、それ以上でも以下にもならない些細なプラグ。

 しかしこの場では大きな意味を持つ。


 アズキは自分の思った通りの展開になったことによって安堵の表情をしていた。

 アズキがこの試合で仕掛けた反則は三つ。


 一つは、カリヤに実戦用のプラグを持たせるためにクルックにプラグをカリヤの頭上に落下させたこと。


 一つは、タイガとカリヤが試合をするようにトーナメントをクルックに言って弄らせたこと。


 一つは、カリヤが気絶するようにクルックにプラグの痛覚機能をオンにさせたこと。




 (バレた時はクルックが全責任を負うから大丈夫ね)




 アズキの脳内にクルックが泣きっ面でひたすら叫んでる姿が浮かび上がったが、すぐに消えていった。



「この試合はタイガに華を持たせるためのものなのだから、カリヤにはまだ眠ってもらわないと。」




 それに、帰った後でカリヤにお仕置きするのも密かな楽しみになっていたりするのだ。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「かっ……カリヤ君……!!! しっかりしたまえ…!!」



 ルーカスは床に倒れたカリヤの肩を、掴んで手前から奥へと大きく揺さぶる。

 その目にはうっすらと涙さえ浮かべていた。



「落ち着けルーカス! 気絶しているだけだ!」




 慌ててスカーレット監督官はカリヤの元へと駆け出し、ルーカスの手を止める。

 彼女は何故カリヤが気絶したのかが分からず、困惑するばかりであったが、この場では唯一の責任者でもあるため、深呼吸をしてから大きな声を張り上げた。



「私はこれからカリヤを医務室へと運ぶ! それまでは試合は一旦中止とする! 全員、隣の控え室にて待機するように!」



 そう言ってカリヤの腕を引き上げ、軽い体を持ち上げると駆け足でスカーレット監督官はその部屋から出ていった。



 さて、残された者たちである。



「あいつ、瞬殺だったな」

「プラグは確かに凄かったけど、なんか拍子抜けっていうかー」

「タイガってやつの方がすごくね?」




 小声ではあるが、静かな空間でははっきりと聞き取れる程のざわめきにタイガは小さく舌打ちをした。




「(何故、あんなにも弱いんだ)」



 タイガは自分と同様にアズキのお眼鏡にかなったという奴が自分と同じくショート対策軍に入隊した。という知らせを聞いて、相対したいという気持ちで溢れていた。

 しかし、実際の奴は小さく、ショートを殲滅するという軍には相応しくないほどチャラチャラとした男だった。


 それだけでも不愉快だというのに、挙句には試合中に間の抜けた行動、油断だらけの体勢。その全てがタイガは気に入らなかった。




「(その気になれば俺に一太刀、いや一打ち浴びせることも出来たはずだ)」



 しかしどうして自分の主たるアズキは自分にこんなことをさせたのかが一番の謎である。いつもならば頭にリンゴを乗せたクルックさん目掛けて剣を振れと言うような人なのに。


 ―――――いや、十分謎か。





 タイガは自分のプラグを肩に担ぎ、背負われていったカリヤが向かった先をしばらく見つめていたが、ふい、と踵を返し、控え室へ向かっていった。






「カリヤ君…………っっっ!!! カリヤ君ーーー!!!」





 尚、一名引きずられていった模様。










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