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新たな人生歩みます!  作者: りす
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誘拐されたんだけどどうしよう?

「こ、こは......」

 喉がカラカラで上手くしゃべれない。

 ここに来る前の事を思い出し、サァっと青ざめる。

「そっか...私誘拐されたのか...」

 今まで固い石の床で寝ていたからか、体中が痛い。

 周りを見るとここは牢屋のようだ。縄で結ばれてはいないから、牢屋の中は自由だ。

 いろいろ調べてみたがどうやらしゃべる事と普通に動く事は出来るようになったようだ。

 どうしよう...?

『レイラ、クラウ?......聞こえる?』

 と聞くと返事が返って来た。

『聞こえるぞ、フィナ!』

『聞こえるぞ、あるじよ。』

『良かった...。やっぱり出ることは出来ない?』

 ダメもとで聞いてみる。

『何度か試したが、できぬのじゃ。』

『そっか...』

『すまぬな。』

『いいの。クラウ達が悪いんじゃないんだから。』

 そんなやり取りをしているとガチャリと音がして、牢屋の前に、デスティラ家子爵が立っていた。

「フィナリア殿。この度は手荒な真似をして済まないな。」

 済まないな。なんて言うんならこんな事すんなよ。このデ...こほんこほん。

「何が目的です?」

「ははははは!話が早くて助かるな!王太子の情報を渡せ。お前が一番知っているのだろう?渡したら開放してやろう。」

 じゃあ不正の事は関係無いのか...?まあどちらにせよ

「断ります。」

 そう言うと

「これはやりたくなかったが、仕方がない。吐かないんだろう?」

 と鞭を持った男を呼んで言う。

「ええ。たとえ何があっても。」

「愚かな。」

 お前がな!この...こほんこほん。おお。さっきよりは言わなかった。大きな進歩だね!

「それだけですか?」

「それだけだな。せいぜいその選択後悔すると良い!あと、もう声は要らないな。『声を施錠』。」

 すると声が出なくなった。体は動くが。きっとレイラ達とも話せないだろう。

 おそらくこのチョーカーは鍵とこいつがいないと解けないんだろう。全て解錠した上で鍵を開けるとか。

 ちなみに魔法や魔道具などを使うための特定の言葉は無い。使い魔召喚などは特別だ。それっぽい事を言えば良い。

 子爵と男は出ていった。

 どうやらあの男は脅しだったらしい。

 その後も度々たびたび子爵が来て気持ちは変わったか?と聞きに来る。まあ無視するけど。



 いくらなんでも遅すぎる。あれから40分位経った。

 少しという時間を越えているだろうとアティは焦る。

 その時扉がバタンッと開き、騎士が飛び込んで来る。

「王太子様、報告いたします。何者かに副団長が誘拐されました。」

「なんだと!?」

 騎士の話よると、何か物音がするから駆け付けるとそこにはフィナの青色のリボンが落ちていたらしい。

「......父上には?」

「もう報告してあります。そして、この件については、全権限を王太子様に渡すとの事でした。」

「そうか...まずは、その時間帯に帰った者を洗い出せ。あと、デスティラ家の事も調べろ。分かったら報告してくれ。」

 騎士は、

「はっ、承知いたしました。」

 と言ってここから出ていった。

 俺は考えた。剣を持っていなかったとはいえ、魔法は使えるし、あの使い魔がいるのに、なぜ誘拐されたのだろう?と。もしかしたらそれらを封じる手段があるのかもしれない。

 俺は父上の仕事を手伝いながら、あの件についての指示を出し、誘拐犯がデスティラ家とわかり、もうちょっとだという所で母上に呼び出された。

 コンコン。扉を叩く。すると、

「どうぞ。」

 という声が聞こえた。

「失礼します。......母上、何の用でしょうか?」

 と言うと母上はうふふ、と笑って言った。

「この所忙しそうだけど、ちゃんと休まないと駄目よ?それにしても、アティはほんとにフィナちゃんが好きなのね。」

「は......?何故ですか?」

「だって、あなたこの頃この世の終わりのような顔してるんだもの。」

 そこで母上は何か思いついたように言った。

「あら?もしかしてアティ、気づいていなかったの?そうね...じゃあ、あなたが隣にいて嬉しくて、楽しくて、安心する人って誰?」

 俺が、そんな人いるだろうかと考えると思い浮かんだのはフィナだった。

「フィナ、です...」

 俺が正直に言う。

「そう。じゃあ...フィナちゃんの事をついつい目で追ってしまっている事ってない?もしそうだったらそれは恋よ!」

 鯉、コイ、こい、恋?母上の言った事を理解するのに少し時間がかかった。そして呆然と言う。

「俺が、フィナを...好き?」

「そこでお知らせよ。国王からデスティラ家に突入する許可が下りたわよ。気をつけていってらっしゃい。」

「っはい!ありがとうございます、母上!」

 すると母上は悪戯が成功したような顔をして

「あら?私は何もしてないわよ?」

 と言ったのだった。

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