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第一章 マナリスでの異世界生活 3話

聖光魔法は当初、精霊魔法と似た詠唱を使うつもりでしたが、

イメージに合わなかったので、変更しました。


洗濯に使った桶をキッチンに片付けに行くと、次の時間に講義を控えるリゼルが待っていた。

「待った?」

私が声をかけると、ミューラが淹れたのか、紅茶を飲み終えたリゼルが笑みを見せる。

「いえ、そこまでは。」

「今日の講義は何?先生。」

「昨日の補習と、聖光魔法の講義ですね。」

リゼルがカップを片付けながら、今日の講義内容を語る。

「あら、やっと聖光魔法だね。ザイアスから軽く聞いてるとはいえ、詳しく勉強したかったんだ。」

「貴方達の勉学のペースが早いので、普通に考えたら異常ですからね。」

リゼルの言葉に、私はイタズラっ子のような笑みを見せる。リゼルはそれを見て頭を押さえた。

「ザイアスもそんなこと言ってたね。」

「まぁ、元々日本はかなり教育に力を入れている国なのもあるでしょうね。私は文字を教えるのにもっと時間がかかると思いましたから。」

屋敷の廊下を歩きながら、私とリゼルは会話を続ける。

文字の勉強は、比較的楽な方だった。

マナリス共通言語は和製英語のような感覚で、覚えやすかった。

それにかなり驚いたのが、家庭教師のリゼルだ。

ちなみにミズハは初等学校で習う為、名前だけ書けるようにだけした。

「まぁ、まだ魔法言語は難しいかな。」

「アカネは精霊魔法をメインでいくなら、覚えなくてもいいかとは思いますが。」

「ダメでしょ、多分。私達がなんでこっちに移住してきたのか、解ってるでしょ?」

リゼルはむぅ、と顔をしかめた。魔導師協会所属の魔導師には、最重要指令が下っていることを忘れてたのかな?

「魔導師が生まれなくなったことや、"扉"の調査もまだあるんだし、出来ることはやっていかなきゃ。」

私達はザイアスに恩がある。もう日本に戻れないとしても、あんな膨大な借金の完済を手伝ってくれた。だから、必ず何らかの形で恩返ししたい。

「貴方達の思い、感謝しきれませんよ。」

ザイアスはそう嬉しそうに微笑んだのを、私は今でも忘れない。



「カズト、それは違います。というか、何故違ってるのに出来るんですか!?」

リゼルは頭を抱えながら、カズトに講義をしている。

さすがは"魔王"様、理論や感覚なんてそっちのけで全部出来てしまう為、リゼルは毎度驚きと呆れを繰り返している。

カズトは無表情で首をかしげているが、

「出来てるから問題ないじゃん?」

と考えてるにちがいない。が、それじゃリゼルはいらないことになってしまう。

「カズト、頼みますから、講義した通りにお願いします。」

「そうだよ、カズト。最初はきちんとやらないと、なぁなぁになったら後が大変だよ?」

リゼルのフォローをしつつ、私が言うとカズトは渋々了解してくれる。ここまでがテンプレ状態。

「とりあえず、2人とも、教えた通りにお願いします。」

リゼルは講義に使った本を手に持ち、目の前にある大きなガラス玉に手をかざす。

「【灯火(リア)】」

詠唱の後、ガラス玉には小さな光が灯った。しかし、すぐに消えてしまった。

リゼル曰く、得意分野ではなく素質もない為、これが限界らしい。

「さぁ、アカネから。」

指示された通りに、私は両手でガラス玉を囲うように広げて詠唱する。

「【灯火(リア)】」

するとガラス玉の中には光が生まれ、周囲を明るく照らし出した。光はかなり大きく、見つめると眩しく感じる。

リゼルはそれを見て、笑みをこぼす。

「さすがにこの程度なら余裕でしたね。」

「良かった、素質があるとはいえ、出来るが心配だったよ。」

私は少しホッとした顔を見せたら、リゼルは羨ましげに笑みを見せる。

「次はカズトですが、アカネ、離れた方がいいですよ。」

「おい、それはどういう意味だよ。」

リゼルの台詞に思わずカズトが突っ込む。

「貴方がきちんと唱えたら、もしかしたら目がやられるのではないかと思いまして。」

「さ、さすがにそこまでは、ならないと、思いたい。」

カズト自身も不安げに答えた。そのやりとりが面白くて私は思わず声に出して笑った。



結果は隣の屋敷からクレームが来るほどの閃光だったことだけ、伝えておこう。

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