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第七章 辿り着く真実の先に 8話

神様はザイアスから色々話を聞いたり、初歩の魔術を教わったりと、満足したようで、

「では、またな。」

と特に何かを要求することなく、去っていった。

カスミさんは少しホッとしたのか、肩に手を当てて首を回していたので、私が近づいて肩を揉みほぐす。

「ありがとう、もうアカネちゃんがうちにいてくれたら、助かるわ。」

「また帰省した際にはご連絡しますよ、マナリスの美味しいものを土産に。」

カズトも近づいて、今回のお礼もさせてくださいと伝えた。カスミさんはふふっ、と嬉しそうに笑った。

「カスミさん、本当にありがとうございました。」

ザイアスも改めて礼を言うと、カスミさんはいいのよ、と優しく笑う。

「神様も今回のことを心配していたわ。"扉"のこと、よろしくね。」

カスミさんに見送られ、神森神社の社殿を出て、表側に移動すると、やはり観光客の賑わいがまだあった。

夕方に差し掛かる頃だが、一度マナリスに帰り、今後の方針を決めることになった。

「あっ、と。」

ふと化粧品メーカーの広告を見て、私は豊穣の女神から言われた献上品を思い出し、カズトとザイアスに相談する。

「それが代償なのか?」

「うん、申し訳ないけど、寄り道するね。」

なら、とザイアスがかばんから広げた折り畳み鞄を出して、渡してくれた。

「容量が足りるか解りませんが、使ってください。」

「ありがとう!最悪、遅くなるかもしれないから、先に戻ってて。」

それだけ言うと、私は上着のポケットの残金を確認。足りるか心配だったが、カズトが足りるか?とかなりの額を融資してくれたので、問題なく買い物できそうだ。

「帰ったら返すからね。」

「いや、豊穣の女神への献上品ですから、後程魔術師協会から補助金をお出しします。」

ザイアスのさらなる援助を頂き、私は何も心配なく買い物へ繰り出した。





冬に差しかかってるせいか、寒さを感じてこっそり魔術で暖気を体にまとわせつつ、買い物にいそしむ。

洋服関係は女神が好きなブランドショップを知っていたので、そこで済ませられた。

サイズに迷ったが、女神が積極的に念話であれがいい!と話してくれるので、端から見たら一人で洋服を吟味しているように見えるが、念話を通じて女子同士の買い物デートが開催されていた。

次に化粧品だったが、母さんとの連絡手段を持ち合わせてなかった為、ダメ元で友人が勤務してるデパートの化粧品売り場へ向かう。

夕方の買い物ラッシュに呑まれつつ、なんとか目的地にたどり着くと、見覚えのある顔を見つけた。

「良かった、いたわ。」

「(あら、あの子。魔力を感じるわよ。)」

女神の一言に、私はビックリした。よくよく考えば彼女の年齢は確かに私とカズトの間だから、可能性があったということだ。

「(今はとりあえず、献上品買いますので。)」

「(そうね、よろしく。)」

女神に一言告げてから、私は彼女に近づく。すると向こうも気づいて驚きながらも笑って迎えてくれた。

「アカネじゃん!久しぶり!」

「久しぶり、サヤカ。」

サヤカは社会人になった直後に入ったカラオケサークルで知り合った。彼女には異世界に移住した、と話してあった為に、ビックリしたんだろう。

「でも、あっちに行ったんじゃないの?」

「往き来は自由だからね。ちょっと買い物を頼まれて来たんだけど、助けて。」

と顔の前で両手を会わせると、サヤカは営業スマイルに変わる。

「アカネ、化粧品には疎いもんね。」

「そうなんだわ。で、このメーカーのなんだけど。」

女神から必死の念話でコレとコレと、と騒ぐのとサヤカの説明で頭がおかしくなりそうになりつつも、何とか目的のものは買えた。

残金も借りた分は使わずに済んだので、胸を撫で下ろした。

「しかし、アカネ。アンタ、随分金持ちになったのね。」

「ん?ああ、これは、」

と思わず女神の話をしかけたが、信じてもらえないだろうと思ったので、

「向こうで有名なセレブに頼まれたんだよ。」

念話で有名なセレブ、と言われた女神がちょっと嬉しげに照れているようだったのでそれで通すことにした。

「へぇ、マナリス、だっけ?あっちにはこういう化粧品はないの?」

「あるけど、日本ほど品質が良かったり、効果が出るものは出回りにくいんだよ。」

何て言うが、マナリスには化粧品そのものが一般には出回らず、貴族や王族くらいしか使わないのが実情だったりする。

「大変ね。」

「これからマナリスにも、日本の化粧品が出回れば、変わるんだろうね。」

サヤカにそんなことを言いながら、ザイアスから借りたマジックバッグに化粧品を詰めていく。サヤカはそんな話を聞いてか試供品もどっさりと用意してくれた。

「いっぱい宣伝よろしく!」

「はいはい。」

ありがたくそれもつめると、さっき買ったブランドバッグを背負う。サヤカが営業スマイルで礼を言う。

「ねぇ、サヤカ。」

私はふと彼女に聞いてみたくなって、背後にいるサヤカに顔だけ向ける。

「マナリス、行ってみたい?」

「えっ、行けるの!?」

ぱあっと顔が嬉しくてたまらないのか、花が咲いたように笑うサヤカ。

「今後、そうなるかもしれない。そうなったら、マナリスに旅行したり移住したり出来るかも知れない。」

私はそこまで行った後、サヤカの方を向き直り、真っ直ぐ見つめて話を続ける。

「でも、マナリスには魔物がいて、魔術があるから、最悪な場合に死ぬ可能性だってあるよ?」

「ああ、そんなこと言ったら、治安とか悪い海外だって変わんないじゃん?あ、でも魔術?は別だろうけど。」

サヤカは危険も考えてはいるが、それよりも異世界に行ける方が勝っているようだ。

「そっか。」

「何よ、なんかしんみりしちゃって。正直、アンタが羨ましくて仕方がないのよ?」

マナリスを受け入れてくれてるのは、神様だけじゃないんだ。そう感じることが出来たので、満足した。

「億単位の借金しても?」

「うわ、それは嫌だわ。つか、借金してたの?」

軽く事情を話した後、サヤカは旅行できるようになったら、ホテルがわりに使ってやるからね!と見送ってくれた。




神々達の、家族の、そして、友人達の願いを早く叶えてあげなきゃな。

そう呟いて、私はマナリスへ帰るために、"扉"へ向かうのだった。

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