第七章 辿り着く真実の先に 4話
「というわけだ。」
知識の神との面会も終わり、一度家に帰った私達は、お互いの結果を話し合った後だ。
「つまり、神々も今の魔脈をどうにかしたい、と。」
ザイアスがうまく話をまとめると、カズトはうん、とうなずいて肯定した。
「結局、マナリスの魔脈が日本側に持っていかれてて、そのせいで"扉"が生まれたのは間違いないの?」
私は一応、疑問になっていたことを聞いたが、今更だがそうだな、とこれも肯定した。
「一通りの事情と原因は聞けたのがデカいな。」
カズトが帰ってきて開口一番に言ったのがコレ。事情と原因は知りたいところだったので、お茶を飲んでるカズトに聞いた。
「原因はなんだったの?」
「知識の神が話したのは、王族が関わってる、ってことだけだ。」
それを聞いたザイアスがあぁ、とため息をこぼした。
「またあいつらですか。」
「最早、隠すことすらしない位に嫌われてるのがよくわかった。」
私も察した位に分かりやすい反応だった。
「今の代の王族達は権力争いがお好きなようで、オフェリア様はそれにうんざりされて、王位継承権を破棄なされたんですよ。」
オフェリアの、あの年齢にそぐわないほどの聡明さや達観した思考は、そこにあったのか。
「恐らくやりかねないのは、第二王子だと思います。彼は王専魔術師を抱えてますからね。いつだったか思い出せませんが、一時期、その魔術師達が入れ替わりが激しかったので、もしかしたらそこで何かあったかもしれません。」
ザイアスはこっちは誰かに調査してもらいましょうか、とさらさらと書類を書いている。
「じゃ、原因がわかったところで、これからのことを考えないとね。」
「まぁ、日本側に流れてるマナリスの魔脈を元に戻すしかないか。」
私とカズトでどうするかを話し合う。
「豊穣の女神から魔脈操作の力をもらったし、日本側から私がマナリスに戻すのは出来るかな。」
「生まれた"扉"には双方から魔脈が一定量流れてることで維持が可能なんだと。」
だとすると、急がないとマナリス側の魔脈が消えたら"扉"が消えちゃうことになる。
「なら、日本側の魔脈をマナリス側に戻した上に、相互からの魔脈で"扉"を維持する分だけ流せば、大丈夫?なのかな。」
「後は出来るか、だな。」
カズトも知識の神から魔脈操作の力をもらったみたいだ。代償は凄いことになってるのか心配したが、返ってきた答えは、
「薄い本は神様にも通じるんだな。」
というとんでもない回答だった為、何が代償か聞く気も失せた。
「方針が固まったところで。」
ザイアスは笑顔で私達にあるものを差し出した。
見た所、黒い手帳にみえるが、私はそれが何かを一瞬で悟った。見覚えがあるからだ。
「え、なんでザイアスがこれを持ってるの。」
「さすがにアカネさんにはバレますか。」
笑顔で話すザイアスから、カズトが受け取って中身を開いて、驚愕した顔を見せた。
「け、警察手帳、なのか。」
そう、ザイアスが手渡したのは警察手帳だ。きちんと私達の顔が入っていて、下には警視の文字。
何故、私が見てわかったのかというと、実は父さんが元神代町警察署の署長だから。小さい頃や定年退職間近に見せてもらったのをよく覚えている。
「今回の調査で日本側にいる際に、必要だったら使ってください。」
「これ、まさか偽造とか?」
まさかー、とニコニコした顔つきでザイアスは否定する。ガチの警察手帳らしい。
「日本政府に掛け合って特別に作って頂きました。ただ、"扉"の調査の時のみですがね。」
恐ろしいものを手に入れてくるザイアスに、私は固まっていると、カズトはへぇ、とすぐに興味をなくして懐にしまった。肝据わりすぎ!
「じゃ、早速参りますか?」
先にマナリスにある魔脈の調査をするべく、向かった先は"扉"の前。
ここに集中してるということは、逆とたどればどこに魔脈があるか、解るんじゃないか、という考えである。
「アカネ、見えるか?」
カズトが地図を広げながら、私に聞いてくる。
足元から周囲を確認しながら、魔脈のラインを確認し、地図にペンで線を描く。
残念ながら、細いそのラインは魔法による千里眼でも、マナリス中は見えなかった。とりあえず、見えてる範囲だけ書き込んでいく。
ただ、私よりもカズトのがはっきり見えてるようで、最終的にはカズトが全て書き込んで、調査終了となった。
ザイアスとその場で話し合ったが、やはり"扉"に向かって吸い込まれていく魔脈を確認している以上、急ぐ必要があると判断。
「このまま、日本側へ向かいましょう。」




