第六章 日本へ里帰り 9話
活動報告内に詳細がありますが、ちょっとリアル事情が変わりまして、ドタバタしてます。
体調見ながら、再開していきます。
その後夕飯の支度を済ませて、一息ついた頃。
「こんばんは。」
とザイアスが笑顔で家にやってきた。馬牛のすき焼きが相当楽しみのようだ。
「ザイアス、話がある。」
私達で呼び止め、すき焼きが出来上がるまで軽く話をすることにした。
「どうかしましたか?」
玄関の隣の部屋に誘導し、ザイアスに今日のことを話した。
「死霊が?日本でもいるのは知ってましたが。」
「明確にオフェリアを狙っていた。」
カズトはペアでお化け屋敷に入った辺りから、いるのには気づいていたそうだが、害になるかまでは分からず、様子を見ていた。
だが、お化け屋敷の中でついに牙を向いて襲ってきたので、対処することになった。
「ザイアスが狙われたりは?」
「無論、立場上はありますが、まさか死霊までぶつけてくることはなかったですね。」
今回はたまたまオフェリアに対して何かしらあった、と言う結論だった。
「お二人とも、ありがとうございます。」
改めてザイアスからお礼を言われた。その後かばんから東京土産として、お菓子を手渡された。
「日本政府とのやりとりの内容で、話したいことがあります。」
「でもとりあえずは、すき焼き?」
勿論です、と真顔で答えた為、私達は呆れて黙った。
「俺達からも話があるし、まぁ、あっちに帰ってからだな。」
カズトも楽しみのようで、食卓へ向かった。
本日の夕飯、馬牛のすき焼きはザイアスだけでなく、母さんや父さんもかなり喜んだ。まだマナリス側の食材は出回ってないので、それもあるのだろう。
昨晩同様にお酒が入り、ザイアスは父さんと仲良くテレビを見ながら、サッカー試合を見ている。
オフェリアもテレビを見て、私にルール等を解説させる。詳しくない私は母さんのタブレットで検索をかけるだけだが。
「スポーツか、エレナスにもこういったものはアリだな。」
サッカー試合を見ながら、むーっと考えるオフェリア。
「ボールは輸入しやすそうだし、ルールも大丈夫そうだよね。」
「剣や魔法を使わない、体を動かすにはいいかもな。」
カズトと私の話を聞きながら、ウィスキーを飲みながら、ザイアスも賛同する。
「スポーツ交流も出来れば、さらに国交もよくなりそうですね。」
そんな会話を聞いていたのか、母さんは少し寂しげに笑っているのが目に入った。タブレットの返却をしつつ、母さんの横に座る。
「どうしたの?」
「ううん、ただね。」
母さんはウィスキーの入ったグラスを傾けながら、視線はオフェリアに向いていた。
「やっぱり別の世界の人なのね、って。」
「あー、まぁね。気軽に行き来できちゃうと、海外みたいな感覚なんだけどね。」
母さんは次に私を見て、手を掴む。
「アカネたちが心配なの。今は平和だけど、もし何かあったら。」
「その為の移住なんだよ。」
改めて手を握り直して、私は母さんを見つめる。
「今の平和な状態を維持するにも、何にしても解決する為に、私達が移住したんだから。」
頑張るよ、と話すと、やはり親心か心配した顔は直らない。
「ユリコさん。」
ザイアスがウィスキーボトルを持って注ぎに来た。ウィスキーをグラスで受け取りながら、母さんはザイアスを見る。
「大丈夫です。彼女たちのことは任せてください。」
「ザイアスさん。」
「あなたが思ってるよりも、我々にとってアカネ達はすごい存在なんですよ。」
アリスからも救世主だ、と宣言されてる私はわざと母さんにドヤ顔を見せつける。
「アカネさん、今は顔芸は控えてください。」
「酷くないっ!?」
ザイアスに冷静に言われて、思わず突っ込む。ただ、やり取りを見ていた母さんは笑った。
「無理しないでね、二人とも。」
「勿論です。」
母さんとザイアスは再び笑い合い、グラスを重ねて乾杯したところまで、父さんもザイアスの肩に手を置きながら、そのグラスを重ねて乾杯に加わる。
その光景を見て、私も思わず混ざる。マナリスと日本をつなぐ乾杯、にどうしても混ざりたくなったからだ。
翌朝、私達はマナリスに帰るために荷造りをしていた。
母さん達からも土産としてかなりの量となり、やはりカズト手製のスーツケースは大活躍となった。
オフェリアは名残惜しそうに、初日に買ったポラロイドカメラで撮影した写真を眺めていた。
「オフェリア、用意できた?」
「あ、ああ。荷物は少ないからな。」
写真を仕舞い、荷物を持ち上げたオフェリアに、見かねた母さんが笑顔で近づいた。
「またきてね、オフェリア。私、また一緒に遊びにいきたいわ。」
母さんの優しい声音で語る言葉に、じわりと涙をにじませてオフェリアはうなずいた。
「さ、オフェリア。行こうか。」
私が玄関へ促すと、オフェリアはたまらず母さんを抱き締めた。
母さんも嬉しかったのか、頭を撫でながら抱きしめ返してる。
落ち着いてきたオフェリアは、今度は輝く笑顔で答える。
「ああ、帰ろう。」
「じゃ、母さん。またね。」
父さんと母さんは玄関で私達を見送るようで、手を振っている。
私達も手を振って返しながら、転移魔法を唱えた。
唱えたのがカズトだったせいか、一気にマナリスの自宅に着いてしまい、慌てて日本側の"扉"の前に戻った為、感動は台無しとなった。




