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第六章 日本へ里帰り 4話

久々に見る日本の景色は、山の上から町を見下ろす形だった。

"扉"があるのは、標高の高い富士山の近くだ。晴天で綺麗な空気を吸い込むと、懐かしい感覚になってしまった。

「では、ここからアカネさんのご実家に転移しますので、先にポイント登録をしてください。」

魔石の杭を受け取り、指定の場所でポイント登録をする。杭は静かに溶けるように消えたのを確認すると、私達はザイアスに向き直った。

「ではまずはアカネさんのご両親の家ですね。」

またザイアスの魔法範囲内に入り、詠唱を待つ。瞬く間に懐かしの風景が飛び込んできた。

洋風の造りの家は昔と変わらず、駐車場を挟んで野菜畑には収穫を終えた枝が残るのみ。家にすぐ近くには神代山の山道に繋がる裏道がある。

「ん?」

そこで気づいたのだ、その裏道に沿ってまたあの線が見えるのだ。しかもかなり明るくて太い線が。送迎会をしてくれた時にはなかったはず。

「アカネさん、ポイント登録を。」

ザイアスが魔石の杭を渡すので、気にせずに受け取り、ポイント登録をする。無事完了すると同時に家から人が出てきた。

「来る頃だと思ったわ。」

「母さん!」

勿論、出てきたのは私の母親だった。久しぶりの母親に私はいつものように抱きついた。

「いらっしゃい。」

「おばあちゃん!」

ミズハを続けて飛び込んでくる。嬉しそうな母親の顔に心底嬉しくなった。

「ただいま、母さん。」

「おかえり、アカネ。何か、久しぶりな気がするわ。」

「半年だよ、久しぶりでしょ。」

母親の声が嬉しくて話していたいが、客人がいるのでそこまでにした。私はオフェリアの隣にたち、

「母さん、手紙で教えた私の友人のオフェリア。」

「はじめまして。アカネのご母堂。」

「あら、ホントに日本語なのね。オフェリアちゃん、狭いけどゆっくりしていってね。」

やはり見た目から子供に見られたらしい。オフェリアがむすっとしたので、慌てて母さんに話をする。

「母さん、オフェリアは成人してるから。立派なレディだから。」

「あらっ!ごめんなさいね。オフェリアさん。」

訂正したことでオフェリアの機嫌を取り戻したところで、ザイアスが頭を下げながら挨拶をする。

「お久しぶりです、ユリコさん。」

「ザイアスさんもこんにちわ。今日は賑やかになりそうね。」

母さんは客人が増えて嬉しそうだが、ザイアスは首を横に振る。

「申し訳ないですが、私は別件でご一緒出来ません。また機会があれば。」

「残念だわ、ザイアスさんが好きな炊き込みご飯を用意しようと思ったのに。」

「夕飯頃には来ます。」

まさかのザイアスの手のひら返し。見事な変わり身に私は思わずガン見した。素知らぬ顔をしてザイアスは挨拶をして、転移魔法で去っていった。

「ザイアスの意外な一面を見た。」

「あの人、よっぽど炊き込みご飯好きなのね。」

母さんは私達の荷物を持ちながら、家へ案内をしてくれた。相変わらず、来客が来ても困らない部屋数のある広さの家だ。兄夫婦は市街地の高層マンション住まいのため、ここにはいない。

「さあ、どうぞ。」

家の玄関に入り、荷物を置いてから、オフェリアへスリッパを進める。私はオフェリアに、

「私の屋敷と同じように靴を脱いでもらえる?」

「おお、日本式というやつだな!」

オフェリアは靴を脱ぎ、スリッパに履き替えると母さんの案内で部屋に向かった。私達も荷物を持って、いつも使う部屋に荷物を置きにいく。

茶の間に向かうとすでにオフェリアが父さんの歓迎を受けていた。

「ただいま、父さん。」

「おかえり、アカネ。」

私達の挨拶もそこそこに真っ直ぐ向かったのは、言うまでもない。

「ミズハ~!おっきくなったなぁ~!」

可愛い孫娘ミズハのところだ。抱き上げて高い高いすると、無邪気に笑うミズハに満面の笑みの父さん。

「おじいちゃん!大好きっ!」

ミズハのこの一言がたまらないようで、しばらく離さないでいた。その為、篭から出してもらったリリィが少し羨ましそうに眺めている。

「おじいちゃん!リリィだよ!私のつかいま、なんだよ!」

「おお!可愛いな!じいちゃん、撫でていいかな?」

父さんがリリィに触ろうとすると、ミズハはわざわざ抱っこをして手渡した。

「(アカネのパパさんよね。はじめまして。)」

「おお!喋るのか!」

少しの反応が楽しいらしい父さんの嬉しそうな顔に、私は心底嬉しくなった。ふと私の肩にいるアメリにも気づいたのか、父さんが話しかける。

「アカネの肩にいるのが、孵化させた鉱石トカゲか。」

「そう、アメリよ。アメリ、ご挨拶しなさい。」

「(ママのパパさん、はじめまして。)」

すでに普段のアメジスト色の滑らかな肌に戻したアメリが、父さんの方に顔を向ける。恐る恐る触るが、その後は気持ちいいのか撫でるのが止まらない様子。

「(くすぐったい。)」

「お、ごめんな。カズトは連れてきてないのか?」

父さんがカズトに聞くと、すでに母さんからお茶をもらってリラックスしてたカズトは首を横に振る。

「まだ決めてなくて。」

「カズトは何を使い魔にするんだ?」

「ドラゴンはやめておこうと思います。」

思いもよらない答えにその場の全員が吹き出した。スケールの違う話に、父さん達は笑いが止まらなくなっていた。

つい半年前の歓迎会で見た雰囲気となり、幸せな再会になった。



一旦、落ち着いてお茶をしながら、オフェリアとこの後の予定を決めていく。

「日本の文化を知りたい!」

というリクエストに、観光案内が得意な母さんがガイドをつとめ、神代町観光巡りとなった。

「アカネ達はお金とか大丈夫なの?」

しばらくこっちにいなかった為に心配したのか、母さんが不安げに聞いてきたので私達はすちゃっと財布を取り出す。

「ちゃんと両替してきたよ!」

検査中にあの爬虫類が苦手な女性に、金貨と日本円の両替をお願いしていた。一応レートは聞いていたが、思ったよりも金額が上がっていたので私達はびっくりした。金貨1枚がまさかの7000円相当になり、20枚持ち込んだ私達は15万程の大金を換金したことになった。

「思ったよりも高額でビックリしたよ。」

「ついこないだ、異世界商品を海外向けにも開放するってニュース見たわね。その影響かしら?」

母さんがそんなことを口にするも、とりあえずは観光へ行こうと話はまとまった。

そして、オフェリアが初めて乗る車に大興奮し、ペットボトルの飲み方が分からずあわてふためく姿が可愛かったことを記しておく。

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