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第四章 魔導師のお仕事 5話

「魔法の効果だけ消すとか、抜くとかは無理なのかな?」

「カズトの魔法を打ち消すような実力を持つ魔導師なんて、今のマナリスにはいないですよ!」

ザイアスとリゼルが頭を抱えているようだが、私はあっと一人思い当たったのだ。

「いるじゃん、一人。」

「アカネさん、そんな冗談は今通じな・・・。」

「あっ。」

カズトも思い当たったようだ。まぁ、魔法制限があるが、打ち消すだけなら覚えて貰っても問題ないし。

「ザイアス、ほらほら、一人いるでしょ?」

「・・・ミズハちゃんか!」

ようやく頭が働きだしたのか、ザイアスも思い出したようだ。そう、私とカズトのハイブリッドであるミズハならカズトの魔法を打ち消せるはず。

「ミズハちゃんは、今何処ですか!?」

「そりゃ家でしょうね、時間的に。」

魔導時計が差した時間は5時を過ぎた辺りで、今日は夕飯まで私達はいないので、ミューラとお留守番しているはずだ。

「急いでミズハちゃんを呼びましょう。」

「いや、この依頼は明日までですから、屋敷に持っていけばあちらで出来ます。」

ザイアスとリゼルが慌てて支度をし、厳重に包んだオルゴールを持って、屋敷に向かう。

「カズト。」

早歩きになるザイアスたちに追い付きながら、私がボソッとカズトを呼んだ。

「貴方のそういう思いやり、大好きです。」




バタバタと家に帰り、早速ミズハにオルゴールを見せる。

「黒いモヤモヤがみえる。」

「ママと一緒に、モヤモヤさんにバイバイしようか。」

と私が手助けするように、魔力消失魔法を唱えるとオルゴールにかかった死霊魔法は消えていった。

やはり、ミズハの力を借りるのは正解だったようだ。

「ミズハちゃん!ありがとう!」

ザイアスにも撫でられ、皆に感謝されたミズハはとても嬉しそうだった。

「今の魔法はね、魔法を打ち消す力があるのよ。ミズハが魔法を使う悪い人に会ったら、今の魔法を使いなさいね。」

「うん!分かった!」

うっかり他の子に使わないように!と教えるときちんと返事をしたので、まぁ信用してみることに。

「ミズハに消失魔法かけられたら、魔導師がさらに減りそうですね。」

「恐ろしい魔法を教えた気がしてなりません。」

リゼルとザイアスが暗い顔になったので、ミズハは元気よく明るい声で答えた。

「ザイアスお兄さんたちには絶対しないよ!」

「頼みますよ、ミズハちゃん。」

ミズハの言葉に苦笑いしながらも頭を撫でるザイアス。オルゴールは明日、依頼主に渡す話になり、ザイアスは協会に戻っていった。

カズトは杖を見ながら、んーっと首を捻る。そんな仕草を見ながら、私がふと疑問を投げかける。

「そういや、受けた依頼って、あのオルゴールだけなの?」

「いや、最初は美術品の修復で、その後魔石生産だったかな?で、あのオルゴールだったような。」

意外とたくさんこなしていたようだ、そのおかげで騒がしかったのね。

「美術品の修復なんて、元の状態分からないのによく出来たね。」

「ん?いや、調べたよ?」

カズトが何を言ってるの?的な言葉を言い出したので、私もん?とはてなマークを浮かべる。

「なんか資料でもあったの?」

「いや?魔法で。」

そんな魔法があるのかと思っていたら、隣に居たリゼルが気づいたようで青白い顔をする。

「まさか、カズト。次元魔法まで使えるとか言いませんよね?」

「あれ?次元魔法だったのか?ちょっと【前の姿】を見たい、と念じたら、うっすら見えたからそれをそのまま・・・・。」

カズトがそう話すと、リゼルは膝から崩れ落ちた。あまりの反応に私は愕然とした。

「それ、ある意味、次元魔法っぽくない?」

話を聞く限り、物質の過去の形を読み取る訳で、過去を読み取る時点で、次元魔法に近い気がしていたが、

「なのか?」

「そうですよ!あああっ、カズトが怖すぎる!」

リゼルの反応ではっきりした。さすが"魔王"、次元すら操りますか。

私、微妙についていけません、私がやっても無理だろうなぁ。

「アカネ、今、自分もやりたい的な想像しましたか?」

「出来ないだろうな、でやめときました。」

「懸命です。次元魔法は場合によっては命を削る禁断の魔法。カズトも次から使用しないで下さい。」

リゼルに叱られ、カズト自身も察したのか、もう使わないと約束をした。

「まぁ、とりあえず一件落着したし、夕飯食べようよ。」

私の言葉を合図に、全員で食卓へ向かった。

ハードな1日が、ようやく終わりを告げた。

明日は森へ薬草採取にいくから、今日よりも気を引き締めないとなぁ。

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