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ミズハは緊張していた。

緊張しすぎて心臓が喉から飛び出るアニメのシーンが頭を駆け巡る。

胸元にある以前助けたフェアリーがくれたペンダントを握る。

すると体がほんのりと暖かくなり、大丈夫だよというフェアリーの声が聞こえた気がした。

同じ言葉を、自分の両親やミューラおばさんたちからも聞いたから、次々と顔が頭の中に浮かぶ。

「こんどは、だいじょうぶ。」

ミズハは小さく呟いた。

思い出すのは悪い記憶ばかり、日本の小学校に通っていた時のことだ。

きっかけは、仲が良かった女の子の友達が、

「ミズハちゃんのパパとママ、しゃっきんしてるんでしょ?」

だった。素直にうなずくと、その子が醜い顔で笑って指差してきた。

「いやだー!わたしのママがいってたの!しゃっきんするのはバカだけなんだって!」

子供ならではの曲がった解釈、それが自分の両親への侮辱とわかったミズハは、その子を叩いたのだ。

「パパとママをバカにするな!」

取っ組み合いのケンカが始まり、元々細い体のミズハはあっという間に負けた。

「バカのきんがうつるから、ちがづかないで!」

勝ったその子はすぐ先生に泣きながら事情を説明しに行った。

このことがきっかけで、腫れ物扱いを受け始めた。

気づけば、先生たちや関わりたくないクラスメイトは離れていき、孤独な日々が続く。

ミズハを劣等感の対象に仕立て上げた女の子は、その後も優越感を楽しむように、いじめの首謀者となり手下を引き連れ、いじめ始めた。

物がなくなるのは当たり前、教科書は常に水浸し、ランドセルを冬の川に投げられた時が一番辛かった。

それがきっかけで、両親はいじめを知った。

いじめを知られたミズハは生きる選択よりも、両親と共に眠るように死ぬことを選んだ。

最後になるだろうと、海辺の町に旅行した時は本当に幸せだった。

初めて感じる潮の香り、浜に打ち寄せられる波に何度も楽しんだ。

やがて、満天の星空の中、ザイアスと出会うのだ。




「ミズハちゃん、緊張してるの?」

声をかけられた前を向くと、淡い水色の髪の女性だった。

今日から担任になる、アウラだ。

「うん。」

正直に言うと、アウラは静かに近づいてミズハの頭を撫でた。

「大丈夫!皆、ミズハちゃんと仲良くしたくて待ってるわ!」

撫で終わった後、アウラはミズハの手をしっかり握って廊下を歩き出した。

彼女は、ミズハが日本でいじめを受けたこと、そして幼いながら魔導師の素質が異常な程あることを両親から聞いていた。

私がしっかり見てあげなくちゃ、と固い決心のもと担任になると立候補したのだ。

「さぁ、ついたわ。一緒に入りましょう。」

中から聞こえる子供の喧騒に、ミズハの顔が強ばる。

アウラはまた手を握ろうとしたが、その手は空を切った。

気になってミズハを見れば、胸元のペンダントを掴んで念じているようだった。

やがてすぐ彼女は笑顔になる。

アウラは幼い彼女が気持ちを切り替えたのに驚いた。

「だいじょうぶ。」

小さく呟いたミズハに、アウラは笑顔で答える。

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