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第三章 魔導具製作 3話

私とカズトの杖は最終調整する為に、リゼルが部屋へ持ち帰ると決まったあと、

「次はミズハの腕輪だな。」

カズトが目の前にある腕輪のサンプルを見ながら、そう呟いた。

「あの子が気に入ればいいけど。」

「ミズハは特にこだわりないだろ?」

ぶっちゃけるとまさにそうなのだ。

「なら、見た目は可愛いのにしてあげましょうか。」

リゼルがこの辺をこんなん感じで、とスケッチを始める。ちなみにその隣にあるのは、女の子の間で人気のアニメの画集である。

参考にと、カズトが書庫から持ってきたが、持ち主は無論ミズハである。

「いやぁ、助かります。ミズハちゃんの趣味に合うように作れるか不安だったので。」

画集を見ながら、リゼルが腕輪の加工を始める。

「子供向けの魔導玩具的なのは、流石にないよねぇ。」

「もし作ったとしても、大量生産は厳しいでしょう。何せ、使うのは一時期だけですね。」

リゼルはそう言いながらも、検討する気があるらしく、スケッチは持ち帰ると言った。

「画集借りるなら、私達に話通してね。」

「流石にミズハちゃんに直接は言いづらいです。」

お巡りさんこの人です、案件は未然に防ぎたいので敢えてリゼルに伝えた。

ん?マナリスなら憲兵さん、かな。

「あとは魔石ですね、これもザイアスの返事待ちになりそうですね。」

リゼルはこの後のことを考えながら、部屋に戻っていった。

「じゃ、私は部屋で着付けの本を見てるわ。」

「ああ、明日だっけか?」

カズトと寝室に移動しながら、明日の予定を話す。

明日はまたオフェリアとのお茶会だ。今度はぜひ着物で着て欲しい、なんて言われたから結局本を見て勉強する羽目になった。

「あ、そうだ。」

窓から射し込む陽射しを見て、最初のお茶会で感じたあの違和感を思い出す。

「カズト、あのさ。」

私はオフェリアの屋敷で感じたことをそのまま伝えた。

「その違和感、俺も感じた。」

やはり魔王様は伊達じゃなかった。あっさりと話した。

「俺は視線を感じたな、見張られてる気がしたよ。」

「視線、かぁ。」

カズトに言われて、私も再度違和感を思い出すと、納得できた。

「うちら、見張られてたのかな?」

「どうだろうな、されても仕方がないだろうが。」

異世界人自体が得体の知れないのだから、オフェリアサイドが警戒しない訳がないか。

「ま、そりゃそうだね。」

私はそれ以上考えず、着付けの本とのにらめっこに入った。




「アカネ、カズト。」

リゼルが夕飯後に声をかけてきた。

「明日に間に合うように調整したよ。ザイアスから魔法で魔石が届いてね。」

昼間からほぼ休まず調整してくれたのか、顔色がお疲れに見えるリゼルは、私達に杖と腕輪を渡してくれた。

「アカネの短杖と、カズトの杖はもう少し待ってくれ。思ったよりも調整に難航していてね。」

カズトの杖はかなり時間がかかりそうだよ、とリゼルはカズトに皮肉混じりに言うが、本人は気にしてない模様。

「またお茶会が終わったら、二人とも手伝ってもらうよ。」

「わかったよ、ありがとう、リゼル。」

杖の感触に満足した私は、改めてきちんとリゼルに礼を言った。

「この働きの分は、きちんと返してくれよ。」

リゼルは少し真剣な表情に変わり、私達に言った。

"扉"の調査、そして、生まれない魔導師たちのこと。

「勿論、必ず。」

私達はそれに答えると、リゼルは再び優しげな笑みを浮かべた。




部屋に戻り、杖をベッドの近くに置き、着付けの本を見ながら、椅子に座る。

ミューラがよく眠れるようにと、ハーブティーを淹れてくれた。

「私も手伝うから、あまり無理しちゃダメよ?」

世話焼きのミューラに、私は大丈夫!とハーブティーをすする。

鏡の前には、明日着る予定の着物を掛けてある。

薄い水色と緑色に、金の刺繍が施された、カズトのお母さんから頂いた形見の一つだ。

大体は借金返済に回したので、あまり残ってないのだが、これは残しておいたのだ。

「お墓参り、行かなきゃな。」

着物に触れながら、そう呟いたのを聞いたミューラが、少し悲しげな顔をしていた。

「お義母さんは、どんな人だったの?」

「最初はやっぱり他人だし、合わないかもって思ったよ。」

ミューラの顔を見ながら、ハーブティーを飲む。

「でも互いのペースというかを守ったら、案外上手く行くもんだよ。」

まぁ、お義母さんの心の広さがあったのもあるかな。

私はその言葉を口にしつつ、ミューラに話す。

ミューラはそう、と笑って、着付けの本を横から覗く。

「さて、一回やってみましょうか。」

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