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第三章 魔導具製作 2話

あれこれ話し合った結果、私達は杖を選択した。

ミズハには腕輪を作り、魔法発動制御を仕込むことにした。

初等学校の教員や学校長にはきちんと話をし、了解を得ているので、安心だ。

カズトの場合、メインは死霊魔法や技巧魔法にする為に、杖と両手が空く腕輪の両方を作るそうだ。

「旦那さんが死霊魔法、奥さんが聖光魔法とは、まぁ、凄いご夫婦ですよ。」

リゼルとザイアスがうなずき合いながら、そんなことを口にした。

「そうなの?」

「普通、相反する魔法系統同士は、意見が対立しがちです。」

まぁ、そりゃそうだろうからね、と同意する。

「夫婦なんて尚更です、昔の記録に夫婦喧嘩で町が一個消滅しかけた、なんて話もありますからね。」

ザイアスから恐ろしい話を聞いて、さすがにそれはしないようにしよう、と固く誓った。



私の杖は、さっきの杖を加工する形にした。

「アカネさんには長いようですから、多少は加工する方がいいかと。」

確かに身長的には長いかも、持ち運びには適さない。

「あとは、アカネさんがどうしたいですか?」

「うーーん、もうちょい細くできる?」

リゼルに様々なリクエストしたが、快く引き受けてくれた。

「大丈夫です。カズトさんの加工は時間がかかりそうですが、アカネさんのは明日でもいけますね。」

「まぁ、あっちは一から作る気だしねぇ。」

カズトとザイアスは綿密な打ち合わせをしながら、杖や腕輪の準備をしている。

「あ。」

杖の持ち運びを考えていたが、やはり私も小型杖を持とうと思い立った。

「やっぱり2本持ちたいかな。短杖とかはどうかな?」

リゼルに話すと、少し考えてからうなずいた。

「なら、私のお古にはなりますが、加工しましょうか。そうなると、魔石がないですね。」

技巧魔法に特化したリゼルの杖を譲り受けても、魔石はリゼルが調整したものの為、魔石を変えないとダメらしい。

「ザイアス、あてはあるか?」

リゼルの問いに、ちょうど打ち合わせを終えたザイアスが考えこんだ。

「しまったな、多分ここの魔導師協会にはないかもしれない。中央都市の魔導師協会にならあるかもしれないな。」

打ち合わせにつかったメモ等をまとめたザイアスは、確認してきますよ、と部屋を後にした。

「なら、短杖はまた今度になりますね。」

そもそも、魔導具を2つ持つのも相当特別ですからね、とリゼルは呟いた。

私達は、聞こえない振りをした。



今日は講義ではなく、魔導具作成にとりかかることにした。

リゼルが技巧魔法を使い、硬い木の杖を加工するのをみて、カズトも同じように自分用の杖の削り出しを始めた。

その間の私は、というと。

「地味な作業だ。」

取り外した魔石を両手で包むように持ち、魔力を通し続ける作業である。

これにより、魔石が新たな魔力を吸収し、その魔力が馴染めば成功らしい。

「(大事な作業だから、きちんとすべきよ。)」

ただ、真横で応援をしている存在がなければ、地味なままだった。

そう、先程現れた、人から精霊となった元魔導師アリスだ。

ザイアスが去った後、魔導具作成に入った辺りでまた現れたのだ。

「(ザイアスに挨拶しなくていいの?)」

精霊との交信は言葉を念じても通じるので、カズト達の邪魔しないように、あえてこの方法を取った。

「(ちょっと、会いづらいのよ。)」

アリスは困った笑みを浮かべた。私が気になって、顔色を伺いながら、問いかける。

「(なんで?ザイアスも待ってたっぽいよ?)」

「(ずっと反対されてたから。精霊になることを。)」

窓際にいたアリスは、空を見上げながらそう呟いた。

「(長い時を生きるには、辛いよって。)」

エルフ族であり、200を超えるザイアスから、身に染みるアドバイスだった。

「(周りはすぐに逝ってしまうよ、って。)」

「(そりゃね。)」

私が同意すると、アリスは視線を私に戻す。

「(けど、今は寂しくないから。精霊王もいるし。)」

「(精霊王かぁ、私もそのうち会えたりして。)」

私が魔石を掴んだまま、椅子にもたれ掛かる。アリスはフフ、っと柔らかい笑みを浮かべる。

「(もしかしたら、会えるかもよ。)」

「(いつか時が来たら、ね。)」

アリスと視線を合わせると、カズトが杖の加工を終えていた。ふと、カズトと視線があい、一瞬固まったのに気づく。

「(あら、私に気づいてる?)」

「(作業に集中してるから気づくのが遅かったんだね。)」

すぐリゼルに次の作業の話をふられ、カズトはそちらに集中しはじめる。

「(聞こえてるからな。)」

と、ぼそっと一言が聞こえ、私達は顔を見合わせた。そういや、素質的にはあるから、この会話にも入れたのか。

「(しばらく奥さん、お借りしますね。)」

「(喋る程度なら。)」

アリスの言葉にまだ一言で済ませ、カズトは作業に戻った。

私はそんな会話を聞きながら、魔石に目を向けた。

赤かった魔石が、紫色に変わっていたのだ。

「(あら、キレイな色になったわね。)」

「(紫色好きだからこれはありかな。もう魔力は通さなくていいのかな?)」

アリスに同意を求めると、嬉しそうにうなずいた。

「(大事に使ってね。)」

そういうと、また来るね。とアリスはふわっと透明になって消えていった。

「アカネさん、杖の削りが終わりました。魔石はどうですか?」

リゼルの問いかけに、我に返った私は魔石を渡した。

「キレイな色ですね、紫、というよりは赤紫でしょうか。」

「名前の通りに茜色になっても良かったなー。」

そんなことをいいながら、私も杖の触感を確かめながら、魔導具作成に集中することにした。


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