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序章 今に至るまでの物語 2話

気づいたら、一家3人で夜逃げのように、大切な物だけ持って、車の中にいた。

ミズハには酷だが、今の現状を分かりやすく伝えて、理解してもらった。

そして、私達の告げた一言は、

「ミズハはどうしたい?」だった。


ミズハにはまだ選択肢が残ってる。

それも伝えた上で、私達は確認した。


「ママやパパについていく。」

それが、生きる選択肢でないことを理解してのことだった。



それからは、まるで地獄なんてなかったかのように、家族旅行を始めたのだ。

海に行ったことがないミズハの為に、海沿いの道を走ると、窓を開けて大騒ぎだった。

日も暮れて、夜が始まる頃。

私達は、無理心中の準備を始めた。


月がキレイな夜だったのを、覚えている。






「まだ、死ぬには早いと思いますよ?」

今に至る原因となる、男の響く声だった。



突然現れたその男に、驚きのあまり使う予定だった道具を落としてたことすら気づかなかった。

カズトは警戒し、ミズハは私にしがみついた。

さらに驚いたのは、その男の姿だった。

銀髪は月の光に煌めき、潮風になびき、そして、髪から見え隠れする、長く尖った耳があった。

明らかに普通の日本人ですらない男は、静かに語りだした。

「貴方達がここで死を選ぶことは許されないですよ。」

その言葉に、私は借金取りの一人か、と思い当たった。

すぐ警戒に戻り、ミズハを抱きあげ、逃げる準備を始めたが、

「あ、申し遅れました。私、こういうものです。」

それよりも早く、男は名刺を差し出した。

おずおずとカズトが受け取り、内容を確認し、眉をひそめた。

表情が読み取りづらいカズトが、表情を変えたことに、私はその名刺に興味を覚えた。

横からのぞきこもうとする気配を察したカズトが、私に名刺を渡してくれ、内容を確認する。


「エレナス公国魔導師協会 異世界人招致担当責任者

ザイアス・シルフィ・エレノール」


見慣れない文字が並び、私は余計に困惑をした。

カズトはそんな中なのに、ザイアスという名刺を差し出した男との会話を続けてた。

ザイアスの話は、数年前から遡って説明された。


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