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第三章 魔導具製作 1話

移住して二ヶ月が過ぎた。

文字に起こせば簡単だが、濃密な月日だった。


魔法言語も覚えたし、魔法もいくつもあるジャンルから得意な魔法に特化して訓練を始め、マナリスの一般常識もある程度は理解できた。


あと、何より。

「いってきまーす!」

ミズハが初等学校へ通うようになった。

毎日楽しく通っていて、帰ったら学校での出来事を話し、友達と仲良くお茶会したり、勉強会する姿を見て、親として凄くホッとしたことだ。

初等学校では魔法を使わないように言い含めたが、命の危険があった場合は身を守る魔法のみ使うように教えた。

が、あの歳の子が約束を守れると思えなかった。

そこでザイアスに相談すると、

「ちょうど良い機会です、皆さんの魔導具を作りましょう。その過程で魔法発動を制御する魔導具を作れますよ。」

提案してくれたので、乗っかることにした。



「魔法発動するのには、本来は魔導具を通します。その方が魔力を効率よく使えますからね。」

ザイアスとリゼルが講義の為に、本やら杖やらを並べ始める。

「簡単な魔法はなくてもいいので、後回しにしてましたが、お二人、いや、ミズハちゃんを含めたらハイスピードで習得してますからね。もうご用意しようと思った所でした。」

会話を聞いてるとやはり、私達は相当特別なんだ、と実感してしまう。

「魔導具は魔法を発動する為の"魔石"が付いていれば、どんな形でも大丈夫です。」

「そうなの?」

「ええ、一般的には杖が多いですが、私のように腕輪等にしている魔導師もいますよ。」

ザイアスが右腕を見せた。銀色の細やかな細工の腕輪には、緑色の宝石のような石がはめられていた。

「へぇ、私は腕輪のがいいかなぁ。」

「あ、アカネさんは杖をオススメします。」

リゼルが会話に割り込み、テーブルの上にある杖を手に取る。

「あ、そうなの?」

「精霊魔法、聖光魔法は共に触れてなくちゃいけなかったり、精霊の名を刻んだりするので、杖のが便利なんですよ。」

ザイアスとリゼルがあんなことにも、と付け加えて説明しはじめる。渡された杖をじっと見つめた。木から削り出した杖で、先端に赤い石が付いている。

「それは昔、精霊魔法で名を馳せた魔導師、アリスが最初に使っていた杖です。」

「へぇー、でもなんで持っているの?」

「彼女は私の弟子でしたから。」

ザイアスはあっさりと白状したので、余計にビックリした。

「良い子でしたね、ただ精霊に近づきすぎた為、死後魂は精霊となったそうです。」

もしかしたら、会えるかもしれませんね。とザイアスは思い出を笑顔で語った。

「人間が死後、精霊になれるのか?」

カズトが興味深げにザイアスに問いかけた。

「彼女は特別なケースですね、精霊王にも愛されたのもあるでしょうし、彼女自身もかなりの素質がありましたから。」

「そんな簡単に精霊になれたら、さらに魔導師が減ったでしょうね。」

リゼルも苦笑いしながら、そう答えた。

私は杖を振ったり、かざしたりしながら話を聞いていた。

そして、ふと窓際に目がいった瞬間。

「!!!」

まるで今までもそこにいたかのように、一人の女性がいた。

見た目は金髪に藍色の瞳の少女だが、漂わせるオーラはかなりの圧力があると、私は感じた。

一瞬、息を吸い込むが、吐き出す時にはいなくなっていた。

突然の出現に、私が戸惑っていると、

「彼女、来ましたか。」

ザイアスの声にさらにビックリして、肩を震わせる。

「ザイアス、まさか、気づいてた?」

「可能性はあると思いましたから。」

なら言ってよ、と私はため息をこぼす。ザイアスはその反応を楽しんでるようだ。

「すみません、彼女があっさり現れた所から察するに、貴方はアリス以来の素質があるようですね。」

「次の精霊候補扱いですか。」

ザイアスは首を横にふった。

「精霊王と仲良く出来る精霊魔導師候補、というところです。」

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