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第二章 お姫様とのお茶会 1話

エレナス公国内ジェルド領地。

中央都市から半日程しか離れていない為、貴族の別荘地として使われている。

故に、中央都市で政治等を一段落させた貴族たちがジェルドに来る時期があるそうだ。

今がまさに、その時期に当たるらしい。



「朝から来ていただいて申し訳ありません。」

私とミューラは朝食をそこそこに、玄関で貴族の使者達を追い返していた。

どの使者も、お茶会の誘いばかり。

時には本人が同行していた時もあった。といっても、馬車の中で待機していたようだが、

「私達はまだ移住して間もない為、作法も何も解らないので、お応えできない。」

と表向きの言い訳を並べて、追い返す。

使者たちが帰った後、ようやく一息つき、食卓に戻った。

「すみません、これは予想外でした。」

ザイアスが机に頭を擦るような勢いで謝り出した。

実は昨日のうちに、私達の様子を見にわざわざ中央都市から来てくれていたのだ。

たまたま、このタイミングにいてくれたことに、私達は感謝しているが。

「まぁ、確かに異世界人と交流しているなんて、自慢なんてレベルじゃないよね。」

「ごもっともです。まさか、このタイミングとは。しかも招待状を見る限り、かなりの権威のある貴族が多い。」

招待状を見ながら、ザイアスは軽く説明してくれた。

ふと、とある招待状に手が止まり、徐々に顔が青ざめていく。その変化に私は戸惑いつつ聞いた。

「ザイアス?どうかした?」

「お、」

声を震わせたと思ったら、バッと立ち上がったザイアスが、

「オフェリア様もかぁぁぁ!!」

叫びながら壮大に頭を抱えた。今までにないザイアスの反応に、思わずドン引く私。

「ザイアス、落ち着いて。まず、緑茶飲んで。」

先程まで飲んでいた茶飲みに、日本から持ち込んだ緑茶をいれる。ザイアスは頭を押さえたまま、一口飲んで一息ついた。

「で、そのオフェリア様って?」

「エレナス公国を治める国王様の、姪にあたる方です。」

「はぁぁっ!?」

私も大声をあげた。まさかの王族かよっ!

「だから困ってるんですよっ!いざとなったら、国をあげて歓迎なんてされたら、"扉"の調査どころじゃないですよ!」

今まで国をあげて歓迎するのは、日本政府の外交官等の重要人物だけだった。

事実、日本の総理大臣がマナリスに来て、国交成立の署名をした際は国をあげて歓迎をして、中央都市は大騒ぎになったそうだ。

「まさか、平民の日本人までやるとは思わなかった。」

「あはは、どうしましょうか?」

ザイアスは頭を抱えたまま、招待状を開けて中身を確認する。しばらく目を通して、首をかしげた。

「この文面だと、王族とかは抜きで話したい、と言った感じでしょうか?」

「思ってた感じじゃない?」

私の言葉にうなずくザイアス。そして、テーブルに広がった招待状をまとめて鞄に詰め込んだ。

「ちょっと精査してきます。リゼルさんの部屋にいますね。」

ザイアスはすっと立ち上がり、さっさと出ていってしまった。



日々の日課をこなし、講義の途中で昼御飯にしようとした頃、ザイアスさんがキッチンに顔を出した。

「アカネさん、終わったら少しお話が。」

「はーい。ミューラ、後任せていい?」

「このソースとパスタを混ぜればいいのよね、大丈夫よ。」

昼御飯の盛り付けを任せて、エプロンをはずしながらキッチンを出る。ザイアスと共に食卓に向かうと、カズトたちと一緒に見慣れない男性が一人座っていた。

「あら、お客さん来てたならお茶持ってくるべきだった?」

「おかまいなく、話が終わればすぐ帰りますので。」

男性は立ち上がり、一礼をした。私も頭を下げ、ザイアスと共に席に座る。

「奥様には改めて自己紹介を。私は魔導師協会理事、ロッズ・アズワルドと申します。」

金髪碧眼のアメリカのロマンスグレーなイケオジを前に、私は再度頭を下げ、紹介を受ける。

「アカネです。」

「急な訪問で申し訳ないですが、早速話をさせてください。」

ロッズは懐から一枚の招待状を取りだし、私に見せた。

「先程ザイアス殿からお話を伺いました。オフェリア様からお茶会の招待状を頂いたとのことで。」

「はい、どうしたら良いですか?」

私が問うと、ザイアスとロッズは顔を見合わせた後、

「出来ればご出席頂きたいのです。」

と神妙な面持ちで答えた。カズトは話を聞いたのか、何も答えず黙っている。

「何故、その結論に?ザイアスは困ってたようですが?」

「私も最初は欠席すべき、と言ったんですが。」

話をふられたザイアスがため息をつきながら答える。ロッズの顔をうかがっているようだ。

「私はむしろ引き受けた方がよいと考えたのです。王族ともうしましたが、オフェリア様は王位継承から外れてますので、高位貴族になりますが。」

ロッズの言葉に、私が困惑しているとカズトがフォローに入る。

「エレナス王族と縁のある貴族と仲が良いなら、その格下貴族は迂闊に手出し出来なくなるだろ?」

「あー、逆に?」

私が納得するのを見て、ロッズは改めて頭を下げる。

「今回のお茶会で王族も貴族も貴方達の扱いを理解すれば、使者が押し寄せることはないでしょうね。」

ちらっとカズトを見たが、もう決まったかのような顔つきだった。

「なら、そうしましょうか。」

と同意すると、ロッズは早速とばかりに本を取り出す。

「言葉遣いは問題ないようなので、作法からですな。」

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