第一章 マナリスでの異世界生活 6話
まぁ、事件はあったが買い出しを済ませて帰る頃には、町の大時計が鐘の音を鳴らした。
夕日も沈み、そろそろ夜がやって来る時間。
待ちくたびれた男衆をなだめながら、夕飯の準備だ。
「ハンバーグ!ハンバーグ!」
ミズハは混ぜる作業の手伝い。ミューラは材料を切り分け、私がフライパンで焼く作業。
今日は何故かリゼルがミューラと一緒に、材料の切り分けをしていた。
「日本の野菜を使うときいたので。」
おそらく玉ねぎのことだろうけど、目に染みる体験にリゼルは悪魔の実だ!と叫んで逃げた。
コントかよ、と思わず苦笑いしたのは言うまでもない。
出来上がったハンバーグはマナリスの馬牛という肉を使ったものだったが、日本の牛と対して変わらず、肉の味わいが濃かった為、好評だった。
いつもリクエストされるケチャップソースをかけたら、ミューラを含めた異世界人がすっかり虜になっていた。
「悪魔の実がこんな旨くなるのか。」
とリゼルは驚いていたので、玉ねぎが使われてる部分は説明しといた。
途中で投げ出すから、何がなにに使われてるかくらいは見なきゃ意味ないじゃん。
楽しい夕食も済み、片付けはミューラに任せて、就寝までは自由時間になる。
ミズハは初等までの勉強を、私は魔法言語のおさらい。カズトは早速習った聖光魔法の調整を始めた。
魔法言語は相変わらず難読ばかりで、私はかなり時間がかかりそうだ。
本の虫でもあるカズトは案外あっさり覚えれたらしい。
「俺、天才か。」
「この世界においてはきっとそうでしょうね。」
真顔でドヤ顔されて、思わずイラッとする。
私も素質的には平均よりは上だと言われてるが、さすがに近くに天才2名がいるとしょげるわぁ。
「ママー。今日はこれでいい?」
ミズハがノルマを終えて、ノートを見せてくる。
特に問題なく解けているので、頭を撫でて誉める。
「よし、今日は寝ていいよ。」
「はーい。」
ミズハはおやすみのキスを私達にして、部屋に戻っていった。
「ミズハもこっちに慣れてきたのかな。」
「これからだろ?まだ同じ歳の子と遊んでないからな。」
両親の悩みはいつもなくならない。だが、気づけば子供は成長するものだ。
私達自身もまだ戸惑いがある。ミズハと一緒に生きていければ、幸いだ。
「ママー!!」
寝ようとベッドに入ろうとした時、ミズハが部屋に入ってきたのだ。
「どうしたの?」
「フェアリーさんが、お礼くれた!」
手をみれば、キラキラ光る雫の形をしたペンダントだった。
魔力が宿っているのを見て、かなり良いものをもらったと解る。
「ママにもお礼って。」
私には別のものがあるらしく受けとると、草が入った瓶だった。
「フェアリーさんが、ハーブティーとかに使ってって。」
「そう、ありがとう。ミズハから伝えてあげて。」
ミズハは嬉しそうにうなずいて、部屋に戻っていった。
「わざわざ来てくれるとは思わなかった。」
「しかもミズハの方にな。」
両親としては嬉しい出来事のひとつになった。




