31話
「ルイ、おめでとう!! 本当に聖女を捕まえるなんて……流石私の息子だ~~!!」
大号泣しながらルイを褒め称えるディオス陛下。
そう、今日は悠理とルイの結婚式である。
めでたいですなあ……ってなるか!? これは何!? どうしてこんなことになっているのよ~~!! 誰か、私に説明して!!
「ユウリ、とても綺麗だよ」
正装姿のルイが、純白のドレスを身に纏った悠理を褒める。
「ありがとうルイ……じゃないわよ! な、なんで私、花嫁姿なのよ!!」
「なんでって、今日はユウリと私の結婚式でしょう?」
ルイは、さも当たり前かのように言いきる。
「そうか……へ?」
未だに目の前の状況を飲み込めていない悠理。
「あら? 綺麗じゃない。これが化粧の力かしら?」
淡いピンク色のドレスを身に纏った姫川麻里が、戸惑う悠理の花嫁姿(?)を褒めてくれる。
ちなみに姫川麻里は、マザコンであるハルス王子と近いうちに結婚するらしい。またハルス王子とオーリア王女は、王位継承権を剥奪、そして臣下落ち。
現在ハルスは、姫川麻里の手により根性叩き直し修行が実施されるらしい。
つ、強すぎる。夫を尻に敷くザ・恐妻! って感じだ。
「姫川さんはこれからどうするんですか?」
「そうね……学校を立ち上げようと思っているの。この世界って貴族のご子息やご令嬢が通う学園はあるじゃない? 私は、平民でも通えるような教育施設を作りたい」
姫川さんって案外いい人なのかもしれない。
「素晴らしい志ですね!! 私もお手伝いできることがあったら何でも手伝います!」
「ふふ、ありがとう」
「そろそろ私の花嫁を返してくれないかな?」
悠理の肩にルイの手がそっと置かれる。
「あらあら、怖い婿様ですこと」
姫川麻里はそう言って、手をひらひらさせながら去っていった。
「ふん、油断も隙もない。結婚式の日に婿から花嫁を奪うなど……天罰に値する」
ルイは、歯ぎしりながらそう言う。
……こ、怖い!! この人怖いんですけど!!
「ユウリも私以外の人についていっちゃダメだよ?」
黒い笑みを浮かべるルイに、ユウリはただ頷くことしかできない。
「ふふ、私だけの花嫁」
ルイの指が悠理の頬の線に沿って滑る。
「く、くすぐったいよルイ」
「うん、知ってる。わざとだから。ハア……早くユウリを寝室に連れ込みたいな」
満面な笑みを浮かべてこの人は何を言うんだ!! はて、これは夢なのか!? 夢に違いない!!
「あれ? ユウリ、現実逃避してる? ダメだよ。これは現実。現実逃避するような悪い子にはお仕置きしないと、ね?」
ルイの手が悠理の顎に触れられる。そして、強引に顎を上げさせられ……。
「ッ~~~~~~~~!!」
悠理は顔を真っ赤にしてルイを睨む。
「……それは私のことを煽っているのかな?」
なんでそうなる~~!?
「あ、煽ってなんてないです!!」
「ふふ、ユウリに何もされても煽っているようにしか見えないんだよね? だから、諦めて?」
悠理の脳内にチーンという音が鳴る。
……これ、詰んだかも?
「皆んなが待っていることだし、行こうかユウリ?」
ルイはそう言って、ユウリの手を掴む。
まあ、いいか。この人となら……どこにでもついていける!
「もう、仕方ないな」
悠理はそう言って、挙式をあげる教会に足を踏み入れた。
これで一応完結となります。他サイトでは終わらせていたのですが、こちらではまだ終わっていないことに気付きました(汗)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。番外編もあるので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。




