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30話



 何もかも終わった。もちろん、いい意味でね。


「ユウリ、今までどこに行っていたのかな?」


 これ以外は……。


「あははは……誠にすみませんでした!!」


 悠理は即座に土下座した。なぜなら、ルイの顔が今まで見たどの笑顔よりもドス黒かったからである。



◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 無事に魔物の大群の一掃を終えた悠理は、ルージャの背に乗って王都に速やかに帰還した。


 そんな悠理を待ち構えていたのは……大歓声を上げる国民と真っ黒な笑みを浮かべるルイだった。


「おかえりユウリ。会いたかったよ」


 悠理がルイの執務室に入ると、ルイは仕事する手を一旦止める。


 ヒィィイイ!? ルイ、笑顔が怖いよ!! ブラックな笑みだよ、それは!!


「た、ただいま、です……ご、ご心配をおかけしました」


 ルイのブラックな笑みにあてられ、思わず声が震えてしまう。


「へえ……心配をかけたことは分かっているんだね」


 ……ヤバイ、あの笑みはヤバイ。


「も、申し訳ありません。居ても立っても居らず……その……」


「ユウリ、言い訳は聞きたくないんだよ? 言葉じゃなくて行動で示してくれないかな?」


 ……言葉じゃなくて行動で示せ? へ? 一体何をすればいいの?


「……行動で示せとは一体何をすればいいんですか?」


「ふふ、自分で考えてみて」


 クスリと笑うルイに、悠理の脳内がそろそろ爆発しそうだ。


 く、くそ~~!! 「自分で考えてみて(キラ~ン)」だと……目の毒だ!!


「わ、分かった。ルイのお願いを一つだけ聞くことにする。私にできることならばなんでも聞くわ」


 悠理がそう言うと、ルイの口元に笑みがこぼれた。


「ユウリ、それは本当? 本当に私の願い事を一つだけ叶えてくれるの?」


 ズイズイと近寄ってくるルイに、後ろに後ずさる悠理。


 あれ? 私、なんか間違った?


「え、えぇ、女に二言はないわ!! わ、私にできることなら一つだけルイの願いを叶えてあげる」


「言質はとったよ? その言葉、忘れないでね?」


 今にもスキップしそうな勢いで自分の机に向かい、一枚の紙とペンを持ってこちらにやってくるルイ。


「じゃあ、これにサインしてくれるかな?」


「……サイン?」


 悠理は、ルイから手渡された紙に目を通す。


 そこには謎の文字が書いてあった。


「何これ? なんて書いてあるの?」


「その文字は、“神の契約文字”と呼ばれている。王族の一部の者にしか、これを読解することはできない」


「へぇ……ちなみになんて書いてあるの?」


「教えてあげるよ。その前に、ここにサインして。そうしないとこの文字について話してはいけない呪文が、私にはかかっているんだ」


「ふぅん、変わった呪文ね」


 悠理はそう言って、紙にサインをする。


「ありがとう、ユウリ。これで私たちは晴れて夫婦だよ。それも神に祝福された夫婦」


「……ん?」


 はて、この人は何を言っているんだろうか?


「ここにはね、“神と女神の名の下に夫婦となることを誓う”って書いてあるんだ」


「……な、なんですってェェェエエエ!!!!」


 その日、悠理とルイは神と女神に見守れながら書類上夫婦となったのである。


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