28話
悠理は只今、ルージャの背に乗って草原を駆けております。
気持ち良いですね~~!! 最高です!
「いや~~!! なんなのよ~~これ~~!!」
後ろの方がいなければ……。
「姫川さぁ~~ん!! 煩いのでもう少し静かにしてもらってもいいですか!!」
『この人、うるさい』
「ほら、ルージャもうるさいって言っていますし……」
「そんなの、無理に決まっているでしょう~~!! し、死ぬ~~!!」
……どうやら姫川さんにとって、ルージャの背に乗ってのデートは楽しくないらしいです。残念ですね……ルイはこれが好きなのに。
将来の相手を選ぶときに、お互いの好みが会うって大事ですよ~~。
「姫川さん、ルイの彼女となるためにはデンジャラスなことを好きになる必要がありますよ?」
「……嘘でしょう。それってつまり……」
「ルージャの背に乗ってデートすることに慣れる必要があります!! 私はこれが好きです! ルージャの背に乗っていると、風になった気分になれます!!」
『僕も、ユウリを乗せて走るのは好きだよ!!』
「この二人……頭がイかれてる……」
「ルージャ、もっと飛ばしましょう!!」
『分かった!!』
「これ以上早くなるっていうの!! イ、イヤァァァアアア!!!」
姫川麻里の大絶叫が草原全土に響き渡たった。
凄い声ですね……この声量なら地球の裏側まで届きそうです。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
無事に国境まで辿り着くことができました。ルージャって早いんですよね。なんか、自分の足に加速付与をつけていたみたいなので普通だったら、歩きで1日かかる道のりが12時間で着いてしまいましよ。
流石うちの子です!
「ルージャ、偉いです。よしよし」
ルージャの頭を撫でてあげると、ルージャは気持ちよさそうに目を細めた。
『もっと褒めて~~』
甘えるルージャを悠理はさらに可愛がる。
そしてモフモフを堪能しつつ、近くの茂みに向かって奇声をあげる姫川麻里に目を向けた。
「うぇ……気持ち悪い……」
「大丈夫ですか?」
「無理……朝食べたものが出てきそう……」
「ちなみに、朝は何を食べたんですか?」
「朝は……ステーキと、サラダと……スープ……だった気がする」
「朝から凄いものを食べてますね」
「う、うるさいわね……オェ……ウプ……」
どうやら相当まいっているらしいです。これだから、良い所育ちのお嬢様は……あ、私も実は上流家庭出身なんですけどね、テヘ。
でも、育ちの環境が違うわけですよ。
姫川麻里は、周囲から可愛がられて育ってきた。一方の悠理は、道端に生える雑草のようにしっかりと根をはって生きてきた。
雑草舐めんなよ!! 雑草だって頑張って生きているんだよ!! 時々除草剤を撒かれるけど……あと芝刈り機で刈られちゃうけど!!
そんなわけで、悠理と姫川麻里では元の持っている根性が違う。
「姫川さん、そろそろ移動しますけどいいですか?」
「む、無理」
「え? OK? 分かりました。では行きますよ」
「OKなんて行ってないわよ!! ってどうして魔法を発動させているのよ!!」
「どうしてって魔物の大群がどれほどか、ここからだと分からないので……」
悠理はそう言って、自分と姫川麻里、そしてルージャの身体に風を纏わせた。
「行きますよ?」
「え……な、何をするつもり、なの?」
「何って……空中デートです♡」
その瞬間、悠理達の体は宙に浮き始めた。
「う、嘘でしょう~~!!」
姫川麻里の絶叫が空高く響き渡たった。
正直言って、うるさいです。やっぱり連れてこなかった方が良かったかもしれないです。
姫川麻里を連れてきたことに、少しだけ後悔した悠理であった。




